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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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408話 迷いの森5

 その後、森の深部にて岩肌を見つけた俺達はその岩肌に空いた巨大な洞窟と、そこを護るように立つオークソルジャー3体を発見。

「いけっ!」

「グキャ!」

「にゃー!」

 2匹が飛び出して3体のオークソルジャーに声を上げさせる暇なく殲滅。俺はオーク肉を解体して影収納に収めてから洞窟を見やる。

 横幅4m程度、高さ5m程度の大きな洞窟である。見張り番が立っていた事を考えると、ここがオークの巣で間違いないだろう。

「敵の数は不明だがいけるか?」

「にゃ!」

「グギャ!」

 2匹もまだまだ元気そうだ。俺達は洞窟内に進入して行った。


 結果的にオークソルジャー数十体にオークメイジ10体、オークアーチャー5体にオークジェネラル3体、オークキング1体と言う大所帯のオークの群れの討伐に成功した。

 途中でオークソルジャーの余りの多さに辟易したドランが洞窟内でドラゴンブレスを放ち、洞窟内部の酸素が薄くなって敵味方関係なく咽せる事があったが、それ以降洞窟内でのドラゴンブレスの危険性を把握したドランはドラゴンクローやドラゴンテイルでオークソルジャーを切り裂き、壁に叩き付けて屠っていった。

 ヨルジュニアも洞窟内では黒雷を呼ぶ事が出来ず黒炎を吐いては剣に姿を変えた尻尾を駆使してオーク達を次々と倒していった。


 俺はと言えば王化して早速影の針、影針(えいしん)と名付けた妖術による攻撃の練習を繰り広げた。

 影針は俺がイメージした通りの強度で分厚いオークの肉を突き刺し、機動力を奪うと、倒れ込んだオークの腹を突き破って1m超えの強靱な針を形成していた。まだ伸ばした陰から出現させる事は難しく俺自身の陰から生やしたが威力は十分そうである。

 次は伸ばした陰から出現させて、遠距離攻撃手段として確立させていければ成功である。


 と、俺が影針の特訓をしている間にオークジェネラルとオークキングをも倒した2体が俺の元にやってくる。

 どの死骸も手足が炭化しており、胸に大きく3本の切り傷、ドラゴンクローの跡を残して息絶えている。

 ヨルジュニアの黒炎で手足の自由を奪ってからドランのドラゴンクローで仕留めていったのだろう。

 俺の元へとやって来た2匹は褒めろ、撫でろと言わんばかりに頭を俺にすり寄せてくる。

「よしよしよし、よくやったな。」

 だから俺は王化状態のまま2匹の頭を撫でてやる。


 50体ほどのオークを解体するのには手を焼いたが無事に解体を終えた俺は影収納にオーク肉を仕舞いこんで洞窟の奥へと足を向けた。

 そこにはどこから集めたのか、武具以外にも木箱に入れられた金貨、銀貨がそれなりの数、入っていた。

 武具には用はないが現金ともなれば話は別である。俺は残さず木箱に入った金貨、銀貨を影収納へと移し替えていった。最終的に数千万分の現金が手に入った。

 恐らくは今まで襲ってきた人間達から剥いだのだろう。これは俺が責任を持って使っていくので安心して成仏して欲しいと思った。


 さて、そんのこんなでオークの巣を2つ潰した俺達は予定していたよりも多くのオーク肉を仕入れることが出来た。

 そろそろ聖都に戻る時間である。

 俺はヨルジュニアを抱えてドランの背に乗る。

「よし、ドラン。聖都まで頼むよ。」

「グギャギャ!」

 ドランはゆっくりと飛翔して行く。

 地上数十m程に上昇したドランから見た景色は見渡す限り木々に埋もれており、先程の岩壁すらも気に隠れている。

 一見すればどこに向かえば聖都方向かわからんくなるが、そこは太陽の位置を見れば良い。

 今は夕方の時刻であるはずなので太陽が沈んでいる方角が西である。つまり南東方向は太陽の反対である。

 俺はドランに簡単な方向を伝えてひとときの空の旅を味わった。


 聖都に到着したのはすっかり日も落ちた夜であった。思ったよりも森の深くに足を踏み入れていたらしい。行きよりも帰りの方が1時間程度長くかかってしまった。

「お、おかえり。オーク肉は獲れたか?」

 帰ると早速中庭で紫鬼に出会って今日の収穫について聞かれた。

「あぁ。ドランにヨルジュニアが頑張ってくれてな。相当な量を確保する事が出来たよ。」

「そうか。そうか。それは何より。ワシらはすでに夕食を済ませておるからクロも適当に何か食べるといい。」

「あぁ。そうするよ。まだ食堂に人はいるか?」

「いや、夕食を終えて皆それぞれが自室や祈りの間に向かっていった。今は誰もおらんじゃろ。ワシも自室に戻るところじゃ。」

「そうか。わかった。じゃあな。」

「あぁ。森での様子は明日にでも聞かせてくれ。」

「あぁ。わかった。」

 そんな会話を交わしてから俺はドランの為にオーク肉を焼いてやってからドランを中庭に残し、ヨルジュニアを連れて食堂にやって来た。


 さて、夕飯はどうしようか。

 オーク肉ばかりでは飽きてしまう。またには鶏肉でも使うか。

 俺は影収納から鶏もも肉を取り出した。俺の分だけでなくヨルジュニアの分も、となるとタマネギは使えないし、親子丼はなしだな。たまにはカレー味の焼き鳥にでもするか。

 俺は影収納からスパイス類を取り出して並べていく。

 よし、タンドリーチキンを作ろう。


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