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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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402話 オークション11

「35億!」

「さぁ、35億リラだ!他ないか?」

「35億3000万!」

「35億5000万!」

「35億6000万!」

 どんどん価格が上がっていくのを眺める。

 価格が上がるたびに観客達のどよめきが起こる。

「40億!」

 遂に40億リラに突入した。

「さぁさぁ、ここで40億リラに乗った!他ないか?他ないか??」

「40億100万!」

「40億200万!」

 さすがに上がっていく額が刻み始めた。

「40億350万!」

「40億360万!」

 遂に十万単位になった。そろそろ落札者が決まりそうだ。

「出ました!21番様が40億520万リラ!さぁー他ないか?」

 会場に静けさが戻った。皆司会者に注目している。

「はいっ!決まりです!では飛行船の模型、40億520万リラで21番様がご落札!!」

「「「「おー!」」」」

 会場にどこからともなく拍手の波が起こった。俺達も拍手に参加する。

 40億か。一般人なら16人くらいは一生働かずに食っていけるくらいの額だな。一般人の生涯年収は2億5000万リラくらいだって聞いたことがある。そんな高額落札者はどんな奴なんだろう。

 覗き込んでも21番の姿は遠くて見えない。

 きっと何処かの貴族様だろうな。


 その後もオークションは続き、一足だけ『ペガサスの靴』も出品されていた。だがサイズが28cmとの事で俺のサイズにはデカイ。他のメンバーの足のサイズを聞いておくべきだったな。

 結局『ペガサスの靴』は1億3000万リラで落札されていた。手が出ない価格でもなかった為、サイズ違いだったのが悔やまれるところだ。

 その後は完全に熱を遮断する手袋やら受けた衝撃をそのまま反射する大盾、それに中に入れると完璧に保温するマジックポットや無限に飛び出すボックスティッシュだのと多種多様な魔道具が出品され、大盛況のうちにオークションは終了したのだった。


 時刻は21時半。すっかり辺りは暗くなり完全な夜が訪れていた。

 今から藍鷲にゲートを開いて貰うのも悪かろうって事で今日も翠鷹の屋敷にお世話になる事になった。

 邸宅に帰るとメイドさん達の手によってすでに夕食の準備がされていた。

 メニューはオーク肉のステーキに彩り野菜のサラダ、透き通ったコンソメスープだ。

 ステーキは帰ってから火を入れたようで血が滴るレアの焼き加減がちょうどいい感じだった。

 食事を終えるとメイド長さんから1冊のノートを渡された。

「こちら当方で把握している料理のレシピ集になっております。」

 確かに開くとビッシリと手書きで様々な料理のレシピが書かれていた。

 いつぞや食べたボロネーゼソースのレシピもある。

「おぉ!ありがとう!こんなに沢山のレシピ書いて貰っちゃって悪かったね。」

「いえいえ。当方の料理を気に入って頂けたとのことでしたので、今回お出ししていないメニューまで書いてしまいました。不要でしたら読み飛ばして下さいませ。」

「いやいや。参考にさせて貰うよ。ありがとな。」

 俺はレシピ集を影収納に仕舞いこんだ。

 さすがにメイドさん達の前で影に手を突っ込んだのは驚かれた。俺独自の術だと説明すると

「買い出しの際にはとても便利そうな術でございますね。」

 とメイドらしい感想が返ってきた。


 明けて翌日。

 俺達は朝から起き出して軽い朝食を食べると通信用水晶で藍鷲に連絡をしてゲートで迎えに来て貰った。

「ほな、また家の事は頼んましたえ。」

「「「行ってらっしゃいませ。」」」

 とメイドさん達に見送られて聖都に帰還した。

 中庭に到着するといつも通りドランが駆け寄ってきて思いっきり体当たりされる。

 そろそろサイズ的にも体当たりされると吹き飛びそうになるのだが、当のドランはまだまだ子供らしく戯れてくる。

 すでにドランは5m程の体長をしており、蒼龍を乗せて飛ぶことも出来るようになっていた。

 遂に蒼龍もドラゴンライダーとして戦場に出る日も近いかな。

 まぁその前にもう少しドランに戦闘経験を積ませる必要があるな。次の甲蟲人の襲来までの時間は迷宮に向かう予定もないからドランを連れて散策がてらの特訓にでも行くか。

「ドランもたまには外で思いっきり飛び回りたいよな?」

「グギャッ!」

「ホントにドランは言葉が分かっていそうな返事しますよね。」

 そこに白狐がやって来てドランを撫でながら言う。

「古竜なんかは人語を話すって聞いたことあるぜ?ドラゴンは人語を理解してるって事だろ?」

「それは古竜は永い時を経て人語を解するように進化しているって話ですよ。ドランみたいな成竜にもなっていないような子供が人語を解するなんて聞いたことありませんよ。」

「そうなのか?普通に会話出来てるもんだと思ってたよ。」

「まぁ生まれた時から人語に触れているからあながちあり得ない話でもないかもですけどね。」

「ドランちゃんは生まれた時からお世話にしとるん?」

 それを聞いた翠鷹も話に入ってくる。

「あぁ。魔族領を進んでる時に卵を見つけてな。俺が孵化させたんだ。」

「へぇ。そら珍しいなぁ。」

「普通ドラゴンの卵は親ドラゴンが必至に護りますからね。」

「卵を見つけたのもたまたまだったしな。」

 そんな事を話しながら皆がいるであろう祈りの間へと向かったのだった。


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