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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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394話 オークション3

 翌日も昼頃まで惰眠を貪った俺は朝から熱めのシャワーを浴びてから1人食堂へと降りていった。

 すでに3人は着席しており、昼食の準備待ちの状態だ。

 今日の昼食のメニューはボロネーゼソースのパスタだ。挽肉がゴロゴロ入っていて大変美味そうである。

 だがそれよりも俺の目を惹いたのはパスタの横に並ぶオニオンスープだ。

 透き通った黄金色のスープには刻まれたタマネギが舞っている。これはタマネギ汁ではなくオニオンスープだ。あの苦い皮の味が蘇ってくる。1種のトラウマだな。美味いスープで流してしまおう。

 ボロネーゼも美味かったが、やはり記憶に残ったのはオニオンスープの方だ。タマネギの甘味が存分に引き出されており、よく煮込まれたタマネギの微塵切りは舌で潰せるほどにトロトロだった。

 せめてこのオニオンスープのレシピだけでも手に入れて帰らねば。

 俺はメイド長さんにお願いしてオニオンスープのレシピを夜までに用意して貰えるように頼んだ。

 メイド長さんはにこやかに了承してくれた。ありがてぇ。


 この日も14時半には会場となる歌劇場へと向かった。

 相変わらず観覧席用の入場口には長蛇の列が出来ている。

 2日目となる今日も新たにパンフレットが配られ、出展品の一覧が記載されていた。

 飛び出すナイフに鉛玉を射出する短筒、液体から特定の成分だけを抽出する機械に湯沸かし器などなど。

 簡単な説明文だけではどう言う物かイメージ出来ないようなものまである。


 暫くすると昨日と同じ進行役が壇上に上がりオークションのルールを再確認した。

 今回のオークションでは最低でも10万リラの上乗せ入札が必要となる。100万リラから始まれば次は110万リラ以上の値を付ける必要があると言うことだ。一気に200万にする事も出来る。

 入札者は札を上げながら入札金額を司会者に伝える。

 最後の入札から一分経過した所で次の入札がなければ最後に金額を提示した者の落札となる。

 万が一、所持金以上の金額を提示して払えない自体になった場合には2割増しの条件でオークション開催側が金を貸し付ける。つまり2割増しの覚悟さえあれば無限に金額を上乗せして入札出来る。


 説明を終えた進行役が壇上の左脇に移動したところで、バニーガール衣装の女性が動くトレイに乗せて一品目の出品物を壇上中央まで運ぶ。

 最初は刃が飛び出すナイフだ。バネ式の飛び出すナイフはすでに流通しているが、これは魔力的な力で射出する為、射出した後に自動的に刃が柄に戻るらしい。これは飛び出すナイフの1度射出したら最後という欠点を補う素晴らしい品である。

 だが、俺には黒刃・右月と黒刃・左月がある。投げナイフもまだ大量に影収納に仕舞ってあるので不要だな。

 その後出てきたのは振るうと刃がワイヤーで繋がれた幾つもの鏃に分割され、鞭のようにしなってからまた元に戻る長剣が出てきた。

「あれって今の技術なら再現出来るんじゃねーの?」

 気になったので朱鮫に聞いてみた。

「いや。長剣が鞭のようになるってのは再現出来ても1度分割されてから元に戻るような伸縮性のあるワイヤーなんてもんはないわな。伸びたら伸びっぱなしになるわ。」

「ふーん。難しいのか。」

 やはり元に戻る辺りに魔力的な力が働いているらしい。

 でも使いこなせる者が居ないため、これも不要だな。


 暫く不要な品が取引された後、気になっていた湯沸かし器が出てきた。

 これは約5リットルほどが入る鉄鍋で、なんと水を入れて蓋をし、1分まてば火にかけずともお湯が沸くと言うものだった。これは欲しい。

 火にかけずとも1分でお湯が沸くと言うことは調理中に2口コンロが1つ空くと言う事で料理の幅も広がると言うものである。鍋型なのも都合が良い。そのまま調理に使えるのだ。これは落札するしかない。


 スタート価格は50万リラ。そこまで高額って訳でもない。

「60万!」

「70万!」

 金額が上がっていく。

 俺も大声で金額を言って107番の札を上げた。

「100万!」

「おっとここで107番様が3桁の大台に乗せた!さぁ他ないか?」

 進行役が声を上げる。

「110万!」

「はい!78番様が110万!さぁ他ないか?」

「150万!」

 俺は強気で値段を吊り上げる。

「おぉ!107番様が150万!さぁ、他ないか?」

 これで決まりか?と思ったところで

「160万!」

「はい!78番様が160万!さぁさぁ他ないか?」

 むむ。78番が食いついてくるな。

 ここで一気に上げるか。

「200万!」

 札を上げて叫ぶ。

「おぉーっとここで107番様が200万!他ないか?」

「210万!」

「おぉー!78番様が210万!まだまだ上がるか?さぁ他ないか?」

 んー食らいつくな。仕方ない。10万乗せるか。

「220万!」

「はい!107番様が210万!お二人の接戦になってきましたね。さぁ他ないか?」

「230万!」

「240万!」

「250万!」

 刻むと着いてくるな。なら仕方ない。

「300万!」

「はいー!ここで107番様が300万!さぁさぁ他ないか?」

 流石に78番も黙り込んだ。勝ったか?

「さぁお時間いっぱい!他ないか?ないですね?では300万リラで107番様ご落札!」

 なんとか落札出来た。

「おめでとう。黒猫はん!」

「湯沸かし器に300万とかクロさん散財が過ぎません?」

「いや、1分で火にもかけずにお湯が沸くんだぜ?料理するのにちょうどいいだろ。」

「黒猫殿、後で品見せてぇな。どんな仕組みで動いとるんか。再現出来るモノか確かめたいわ。」

 やんややんやと言ってる間にもオークションは続く。

 俺は湯沸かし器を無事に落札出来てホクホク顔だ。

 さて、他にも良さげな品はないかな?


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