391話 ララ法国17
白狐と2人で街の散策に出た俺。
街には至る所に露店が出ており、綿飴にリンゴ飴、バナナチョコにポップコーンなど、様々な軽食後が売っていた。
気になる物は片っ端から買っていき、俺は甘辛いタレで焼かれたオーク肉の串を頬張っている。
ショウガ焼きのタレにも似ているがもっと甘く辛みがある。トウガラシでも入れてるのかな。甘味の方はハチミツか?
気になったので禿げ上がった店主に聞いてみた。
「このタレはショウガ焼きのタレをベースにハチミツとトウガラシでも入れてるのか?」
「ん?そりゃ企業秘密って言いたいところだがその通りだよ。おっと割合は企業秘密だからな。教えられないぜ?」
「流石に教えてくれないか。でも美味かったよ。ごちそうさん。」
「あいよーまいどありっ。」
そんなこんなで食べ歩き、結構お腹が膨れた。
次に白狐が目をとめたのはアクセサリーを売る店だった。
虹色に輝く指輪やネックレス、ブレスレットなどを取り扱っていた。
「クロさん、珍しいですね。貝殻で出来たアクセサリーですって。綺麗ですねぇ。」
そう言って指輪を手に取る白狐。そう言えば結婚云々言ったけど、指輪の1つも渡してなかったな。
「遅くなったけど、結婚指輪はこれでも良いか?」
「え?結婚指輪?買ってくれるんですかペアリング?」
「あぁ。ホントならダイヤモンド付きとかの方がいいんだろうけど、あまり装飾がデカいと刀持つのに邪魔になるだろ?これなら平坦なリングだから邪魔にはならないだろ?」
「はい!邪魔じゃないです!サイズありますかね?クロさんは左手の薬指はサイズいくつです?」
「測ったことないからわかんないな。」
そこで白狐が店主のあんちゃんに声をかけた。
「お兄さん、この貝殻の指輪、サイズはありますか?」
「お?お目が高いね。お嬢さん。これはおれが一つ一つ手作りしてる一点物だよ。サイズは6号から30号まで揃えてるから気になったのあったら嵌めてみてくれな。」
「私は左手の薬指は11号ですね。クロさんは大体17か19あたりじゃないですかね?嵌めてみて下さい。」
俺は19号のリングを店主から渡して貰って着けてみた。
「19だとぶかぶかだな。」
「でもあんちゃんの指は関節が太めだから17だとキツそうだな。18号にしておくといいよ。」
店主に言われて18号を渡される。嵌めてみると水かき近くだとクルクル回るけど関節で止まるし、圧迫感もなくてちょうどいい。
白狐は宣言通り11号でぴったりのようだ。
「んじゃ、この2つ貰おうか。いくらだ?」
「えっと11号と18号だから合わせて銀貨3枚だね。」
三万リラか。露店にしては高めだけど、一点物なら仕方ないか。
俺は銀貨3枚を店主に手渡す。
「はい、まいど。貝殻だから衝撃には気を付けてな。」
あまり強い衝撃を与えると割れてしまうらしい。気を付けないとな。
「クロさん、ありがとうございます。私大切にしますね。」
指輪を嵌めた左手を右手で包みながら白狐が言う。
なんか照れるな。
「万が一割れたりしたら金属の指輪に買え変えよう。それまではこれで勘弁な。」
「これがいいです。下手にダイヤモンドが付いてるリングなんかよりよっぽどこっちのがいいです。」
白狐は嬉しそうに言う。見ているこっちも嬉しくなってくる。銀貨3枚でここまで喜んで貰えれば充分だな。
その後も硝子細工の店や木彫り細工の店、ミニオルゴールを売る店などを回った。
白熱したのは輪投げのゲームを開催していた店で、一等のビッグぬいぐるみを賭けて3回もチャレンジした。俺はいいところを見せられずに残念賞のたわしが3つ、白狐は五等の小さいぬいぐるみをゲットした。
そんなこんなで時間は過ぎて夜7時を過ぎる頃には翠鷹の邸宅に戻ってきた俺達。
夕食はメイドさん達によって準備されており、白パンにクリームチーズとアボガドの生ハム巻きに半分に切られたミニトマトが乗った前菜にメインは鹿肉のソテー、それにベーコンとトマトのスープとかなんかお洒落なメニューだった。俺もメイドさん達に料理習おうかな。
「随分とお洒落な料理でんなぁ。この前菜はメイド達の創作料理でっか?」
「アボガドがいい味出してますよね。」
朱鮫がメイドさんに尋ねており、白狐も感想を言っていた。
俺も何か言わなくちゃと思ったんだが、
「このソテーは美味いな。焼き時間がちょうどいいんだろうな。」
とかしか言えなかった。もっと料理を作る者として気の利いた感想が言えれば良かったんだけどな。なんも出てこなかったよ。
その後は軽く酒を飲み交わした。
「明日のオークションは15時から開催されるから14時半には歌劇場へ向かいましょか。」
翠鷹が言う。
「んじゃワイは久々に昼過ぎまで寝ようかな。」
「朱鮫さんは朝から王化の訓練ですよ。まだ3時間に到達してないでしょうに。」
「せやったわぁ。久々に寝坊が出来ると思ったんやけどなぁ。あかんかぁ。」
「朱鮫はんは蟻退治の要やさかいに頑張って貰わなあかんわなぁ。」
「そうかぁ。ほな頑張るわ。」
そんな会話をしながらも時間は過ぎて11時にはお開きになった。
客間のシャワールームもお湯が出る高級品らしいので、各々部屋に戻ってからシャワーを浴びる。
あとは寝るだけだ。
迷宮遺物の魔道具オークション。さて、どんな品が出品されているのか楽しみである。




