表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

372/547

371話 聖都セレスティア32

 今回は鑑定に興味があると言う紫鬼、銀狼、金獅子、それと白狐を伴って『ミラの鑑定所』へと向かった。

『ミラの鑑定所』は街の外れにあるボロ小屋だ。

 看板に『ミラの鑑定所』って描いてなかったらただの小屋だと思ってスルーしてしまいそうな雰囲気だ。

「ここが鑑定所なのか?」

 銀狼がその外観を見て驚く。

「もっとしっかりした建物だと思ってただろ?」

「あぁ。さすがにこの外観は想定外だ。」

「まぁ鑑定士は信用出来るのであろう?店の外観などは気にしない人間なのであろうよ。」

 金獅子が言って早速店の扉を開けた。


 中に入るとカウンターだけがあり、店としての広さは三畳ほどしかない。

 カウンターの中には先日も居た白髪の老婆が座っていた。

 俺は声をかける。

「ミラはいるか?鑑定を頼みたい。」

「ふぇっふぇっふぇつ。お客さんかい?いるよ。ちょっと待ってな。」

 怪しく笑いながら老婆は店の奥へと消える。

「今のが鑑定士ではないのか?」

 紫鬼が聞いてくるので答える。

「あぁ。店番みたいだな。ミラを見たら驚くぞ。」

「見たら驚く?」

 そんな会話をしている間に奥から頭にゴーグルを乗せた、金髪をおさげに結んだミラが出てきた。

「お?あんたらかい。また迷宮に潜ったのかい?」

「あぁ。今度は砂の迷宮に行ってきた。」

「おい。ちょっと待て。こんな子供が鑑定士だとでも言うのか?」

 銀狼が聞いてくる。

 確かにミラは見た目13歳くらいの子供に見える。

「誰が子供だ!あたしはこう見えても19歳の大人だよ!あんまり失礼な奴だと鑑定してやんないよ!」

「そうなのか?これはすまない。幼く見えたのでな。」

「ふんっ。いいさ。慣れてる。鑑定するんだろ?さっさと物を出しなね。」

 ミラにせっつかれて俺は影収納から3つのアイテムを出した。

 1つ目は。かかと部分に羽根のような意匠が付いている靴。

 2つ目は片手で持つには少し大きいくらいの瓢箪。

 3つ目は革製らしきグローブだ。


「ふーん。こっちの靴は見た事あるね。でも一応鑑定しとくかい?」

「どんな効果があるか分かるのがか?」

「多分だけどね。」

「多分か。なら正式に鑑定してくれ。効果は明確に知っておきたい。」

「はいよ。ちょっと待ってな。まずは靴から見ちまうからね。」

 ミラは頭に乗せていたゴーグルをはめて、まじまじと靴を見始めた。

「ふむふむ。ほぉー。なるほどなるほど。」

 1人呟きながら靴を検分するミラ。

 靴底を覗き込み、靴の後ろまで細部を確認していく。

 暫く待つとミラはゴーグルをまた頭の上にずらして言う。

「分かったよ。この靴はやっぱり『ペガサスの靴』って言われてるやつだね。片足ずつ、2歩分空中を歩けるって代物だ。靴のサイズは22.5cmだね。」

「ほう。空中を歩けるのか。」

 金獅子が感心している。

「結構出回ってるのか?」

 銀狼が問いかける。

「まぁそうさね。あたしは3回鑑定したことがあるよ。そこまで市場に出回っているかって言われると難しいところだね。なんたって魔道具だからね。絶対量が少ない。」

「そうか。」

「あ、私の足のサイズ22.5cmですよ。」

「ん?ちょうどだな。でも翠鷹と紺馬、それに緑鳥も履けるかもしれないからな。帰ってから相談だな。」

 白狐が言ってきたが俺はとりあえず保留にした。


「そいじゃ次は瓢箪だね。」

 ミラは再びゴーグルをはめて瓢箪を検分し始めた。

「ふむふむ。ほうほぅ。ん?ほぇー。んん?なるほど。あー。あ?なるほどね。こいつは凄い。」

 ミラはゴーグルをまた頭の上にずらして言う。

「こいつは凄い性能だね。名前は『砂防の瓢箪』。この瓢箪の中には無尽蔵に湧き出る砂が入ってて、自動的に持ち主をあらゆる攻撃から守る砂壁を作るみたいだ。砂壁の耐久性は一般的な鋼の盾と同等。物理攻撃だけでなく魔法攻撃も防ぐようだ。どうだい?これなら大白金貨3枚は出すよ?売らないかい?」

 おぉ。30億リラか。って事は買うならそれ以上の金額になるってことだな。

 耐久性が一般的な鋼の盾って言うとたいしたこと無さそうだけど、自動的に防御するってんならかなり使い道はありそうだ。売るのはなしだな。

「残念だけど売る気はないよ。俺達にも有用そうだし。」

「そうか。それは残念。」

 あまり残念そうに見えない軽さでミラは言う。


「ンじゃ最後はグローブだね。」

 ミラは再びゴーグルをはめてグローブを検分し始めた。

「どれどれ。ふむふむ。ほぉほぉ。んん?あ?あー。はぁー。なるほどなるほど。」

 暫く待つとミラはゴーグルをまた頭の上にずらしいて言う。

「こいつは『力のグローブ』って呼ばれてるやつだね。着けると握力が5kgから10kgくらい上がるってやつだ。『ペガサスの靴』よりも市場に出回ってるやつだね。魔道具の中ではあんまり効果的とは言えないかな。売るなら金貨5枚ってところだね。」

 あんまりな効果でも500万リラか。言うても魔道具だな。やっぱり高額だ。

「俺様には必要ないな。」

「オレも不要だ。」

「ワシも手甲があるでな。グローブはいらないな。」

 金獅子達はいらないらしい。俺もいらないかな。

「そうだな。他の仲間達にも聞いて不要だったら売りに来るよ。」

「はいよ。そん時ゃヨロシク。んじゃ3品の鑑定で金貨2枚だよ。」

 俺は金貨2枚を支払い、3品を影収納に仕舞う。

「また迷宮遺物を手に入れたら持ってきな。3回目からはお得意さん料金で鑑定してやるからね。」

 ミラのそんな一言を後ろに聞きながら俺達は『ミラの鑑定所』を後にしたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ