表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

371/552

370話 砂の迷宮21

 早速宝箱に向かった俺は罠がないかを入念に調べた。そしたら1つの違和感を感じた為、宝箱の後ろ側に回った。

 あった。なにやらボタンらしきものが付いていた。このまま宝箱の蓋を開けたらこのボタンを押すことになって何かしらのトラップが発動する事になるようだ。

 俺は慎重にそのボタンを外して蓋を開けても圧迫されない位置へと移動させた。これで大丈夫。

 俺は宝箱を開けて中身を確認した。

 そこには片手で持つには難儀しそうな、されど大きすぎない瓢箪が入っていた。

 これはなんだ?ボス戦を終えて手に入れた物だからそれなりに価値のある物だと思いたいが全く何に使うのかすら分からない。

 試しに皆にも見せたがやはり分からないとの事。

 仕方ない。鑑定して貰うまでは影収納に仕舞っておこう。


 なんにせよ、俺達は猶予を1日残して7日目に迷宮を攻略したのだった。

 この日は疲れたので100階層で休む事にした。

 明日からは緑鳥の描いてくれた地図を元に上階を進むだけである。

 2、3日あれば地上に出られるだろう。

 最初はそう思っていた。


 異変に気が付いたのは緑鳥だった。

「あら?この道は直進していたはずなのに分かれ道がありますね。」

「ん?書き忘れじゃないのか?」

 銀狼が問いかける。

「いえ、進んでいない道でも別れ道は分かるように描いていました。」

「って事はもしかして道が変わってる?」

「むぅ。もとより砂で出来た壁だからな流動すると言われればしそうな気もするな。」

 金獅子も道が変わっていてもおかしくないと言い出した。

「ひとまず階段の方向だけはかわらないはずですし、地図を見て進みましょう。」

 白狐が冷静に言った。

 確かに地図上の道とは所々異なっていたが、最終的に上階への階段の位置は変わらないようだった。

 これなら何とかなりそうだな。

 にしてもまさか登りと降りで道が異なるとは。もしかして毎日地形は変わってたのかもしれない。日を跨いで道を戻ることはなかったから今まで気付かなかっただけかもな。

 なんにせよ地図があって良かった。

 時々元々の道が行き止まりになっていたり、迂回しないと階段のもとへは行けなくなっている階層もあったが、2日目には地下50階層にまで上がってきた。


 地下50階層はもともとの造りと変わっておらず、階段を昇ってから真っ直ぐに伸びた通路があり、その先には200m四方はありそうな広々とした部屋に繋がっていた。

 違っていたのはその部屋の中央に凹んだ窪みがある事だけ。その窪みは中心部に向けて砂が流動していた。

 俺達はその流砂を知っていた。アリジゴクだ。

 階層ボスがいなくなった部屋にアリジゴクが住み着いたらしい。

 今度は部屋いっぱいに窪みがあるわけではなく、中心部のみである。

 部屋の隅を通れば素通り出来る。

 だがここで白狐が言った。

「折角だから倒していきましょうか?」

「いや、ワシはまた砂に埋もれるのは勘弁して貰いたい。」

「埋まる必要ないですよ。敵は窪みの中心部にいるって分かっているんですから遠距離から攻撃はしちゃえばいいんですよ。」

 そう言って白狐は剣を構える。

「飛剣・鎌鼬!」

 飛ぶ斬撃を窪みの中心部に向けて放つと、砂の中からアリジゴクが飛び出てきた。

「Gyiiii!」

「ならオレも。双飛斬!!」

 銀狼が手にした双剣から斬撃が飛びアリジゴクへと向かう。

「我も出よう。水撃・龍翔閃!」

 蒼龍が突き出した槍の先端から高圧の水撃が放たれ、アリジゴクへと向かった。

「Gyiiii!!」

 何度も遠距離攻撃を繰り返すうちにアリジゴクは息絶え、窪みの砂の流動も収まった。

 暫くするとアリジゴクの亡骸が砂に埋まり、代わりに宝箱が浮かび上がってきた。

「あっ!宝箱ですよ!クロさん出番です!」

 俺は白狐に急かされて窪みの中心部に降りていった。

 今回の宝箱には罠はないようだ。

 すんなり開けるとそこには革製に見えるグローブが入っていた。

 行きの宝箱で手に入れた靴と言いグローブと言い、防具系が出る迷宮なのかもしれないな。


 そんなこんなありながらも順調に俺達は上階へと進み、ボス戦から5日目に地上に出てくる事が出来た。

 1日休憩したとは言え思ったよりも時間がかかってしまったものだ。

 そこからは地上を進み、来たときと同じく2日かけて獣王国に戻った。

 来るときとは違ってサンドゴーレムの襲撃も無く、実に快適に進むことが出来た。


 獣王国に着いた俺達は早速通信用水晶で藍鷲に連絡してゲートの魔法で迎えに来て貰った。

「おかえりなさい。結構時間掛かりました?大変でしたね。」

「あぁ。行きと帰りで通路が異なっていてな。まるで迷路でまさしく迷宮だったよ。」

 銀狼が代表して答えていた。

 聖都に戻った俺達はドランからの熱烈な歓迎を受けながらも残ったメンバーに話を聞いた。

 碧鰐、茶牛、翠鷹、紺馬の4人は王化継続時間が3時間に達したそうだ。藍鷲と朱鮫はまだ2時間半強と言ったところらしいが、充分な成長である。

 俺達は迷宮から持ち帰った3つの迷宮遺物を見せたがやはり効果はどれも分からなかった。

 だから早速『ミラの鑑定所』を訪れる事にしたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ