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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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364話 砂の迷宮17

 初手はスフィンクスの魔法、サンドストームだったが、全員無事に避けていた。

 全員王化して戦闘態勢をとる。

 ここでも先行したのは白狐。得意の抜刀術でスフィンクスの足元を狙った斬撃を繰り出す。

「サンドウォール。」

 しかし、その斬撃はスフィンクスが唱えた砂壁の魔法によって防がれる。追撃を逃れる為、咄嗟に白狐は距離を取る。

「うぉぉぉお!断頭斬!」

 続いて跳び上がった金獅子が振りかぶった大剣をスフィンクスの頭部目掛けて振り下ろす。

 スフィンクスは片方の前脚を持ち上げてこれをガード。普通の二足歩行の動物じゃあそこまで前脚は上がらないだろう。これはただの二足歩行と考えない方が良さそうだ。


「水撃・龍翔閃!」

 蒼龍が突き出した三叉の槍の先端から高圧の水撃が放たれ、スフィンクスに向かう。

「サンドウォール。」

 またしても砂壁の魔法だ。しかし、今度は蒼龍の放った水弾に砂が浸めって泥と化してその壁が崩れていく。

 そこを見逃す俺ではない。

 すぐさまスフィンクスに近付くと黒刃・右月と黒刃・左月を振るいスフィンクスの左前脚に斬りかかる。

 時同じくして銀狼もスフィンクスに迫っていた。

 こちらは右前脚に向けて双剣を振り抜く。

 ザシュッ

 確かな手応え。

 前脚を斬った感触が手に伝わる。

 しかし、スフィンクスの前脚からは出血もなく、少しの砂が流れるだけ。

 もしかして血液の代わりに砂が全身を巡っているのか?

「サンドストーム。」

 近距離にいた俺と銀狼が砂嵐に巻き込まれる。

 体が浮き上がり竜巻に飲まれる。その間にも細粒の砂が全身を打ち、王鎧を削り取ろうとしてくる。

 上下左右の感覚も掴めなくなり、されるがままに砂嵐の中を移動する。

 砂嵐は壁に当たったことでようやく消え去り、俺達も地面に叩き付けられた。

「目が回ったな。」

「あぁ。でも王鎧は無事なようだ。」

 クラクラしながら俺が言うと銀狼は冷静に自身の様子を観察して王鎧の無事を俺に告げる。


 見ればスフィンクスに対して白狐が斬りかかり、紫鬼が蹴りを放つ。

 金獅子が再び断頭斬を放ち、蒼龍が水弾を放っていた。

 一気にかかれば砂壁によるガードも間に合わないようで、白狐の斬撃は砂壁に止められ、金獅子の斬撃もまた前脚に阻まれたが、紫鬼の蹴りと蒼龍の水弾はヒットしている。

 しかし、デカイ図体のスフィンクスには効いているのかよくわからない。

 まずはあの可動域のやばい前脚を落とす事が潜血か。

 と思っていると新たな魔法をスフィンクスが放ってきた。

「サンドショット。」

 10cm程度の砂の弾が数十、周囲に撒き散らされる。

 朱鮫のショット系魔術よりも数が多い。

 俺達は必至に砂弾を避ける。が金獅子が左肩に被弾。その威力は凄まじく転がされる金獅子。さらにそこに砂弾が迫る。

「むんっ!」

 蒼龍が金獅子の前に出て三叉の槍を回して砂弾を受け止める。

「すまん。助かった。」

 金獅子は立ち上がりながら蒼龍に礼を言う。

 威力は高かったが肩口への被弾だった為、体を捻って直撃は避けられたようだ。


 他の面々は砂弾を避けまくる。

 だが余りの煙幕に近付く事が出来ない。

「サンドショット。」

 近付く暇も与えずにまたしても砂弾を放つスフィンクス。

 魔法使いは近付ければ倒しやすい反面、近付くのが困難だ。

 こちらは接近攻撃しかないメンツの為、かなり厳しい。

 朱鮫がいれば魔術の打ち合いの合間に近付く事も出来ただろうが。

「飛剣・鎌鼬!」

 遠距離攻撃手段があった!白狐が飛ぶ斬撃を砂弾を避けつつ放つ。

「サンドウォール。」

 相変わらず白狐の攻撃だけは必ず砂壁で防ぎやがる。

 だが、おかげで砂弾が止んだ。

 これを機に皆でスフィンクスに殺到する。


「サンドウォール。」

 やはり相変わらず白狐の斬撃だけは砂壁で防いでいる。もしかして刀に弱いとかあるのか?

 俺は黒刃・右月と黒刃・左月で左前脚を切り刻む。

 銀狼も右前脚に双剣を叩き付ける。

 顔の下に潜り込んだ紫鬼が跳び上がり周り蹴りを顎下にぶちかます。

 金獅子は腹の下に潜り大剣を突き立てて尻の方まで走る。

 大量の砂がスフィンクスの体から溢れる。

 これは効いているのだろうか。

 ブレもせずスフィンクスが魔法を放つ。

「サンドストーム。」

 巻き込まれた紫鬼が空中に浮かぶ。

「サンドストーム。」

 連発してきやがった。

 金獅子が巻き込まれて空中を舞う。

「双狼刃!」

 銀狼はクロスさせた両腕の双剣を左右に振りぬき、スフィンクスの右前脚に斬りかかる。飛び散る砂。やはり血液の代わりのようだ。

 これを嫌がったのかスフィンクスがその場で足踏みを始めた。

 俺と銀狼は踏み潰されないように脚を避ける。


「はぁぁぁあ!」

 白狐が渾身の斬撃をスフィンクスの腰辺りに叩き込む。

 一瞬スフィンクスがグラついたように見えた。

 蒼龍は遠距離からの水弾を放ち続けている。

 その頃には砂嵐に巻き込まれた紫鬼と金獅子も壁に叩き付けられて地に降りてきていた。

「目が回った。クラクラする。」

「クラクラするんじゃ。気持ち悪いのう。」

 金獅子も紫鬼もフラフラだ。

「サンドアロー。」

 そんな2人に砂で出来た矢が高速で迫る。

「危ない!」

 間に入った蒼龍が三叉の槍を回して矢を防ぐ。


 お互いに決定打のないまま戦闘は続く。


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