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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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358/551

357話 砂の迷宮10

 ギガントセンチピードを倒した部屋の奥に宝箱が鎮座していた。

「宝箱♪宝箱♪」

 白狐ごウキウキで鼻歌を歌っている。

 俺がさっと確認したところトラップはなさそうだった。

「開けるぞ?」

 俺は皆に言ってから宝箱の蓋を開けた。

 中に入っていたのは一足の靴。かかと部分に羽根のような意匠が付いている。

「靴か?」

「靴ですか?あーぁ。脇差しでも出れば良かったのに。」

 金獅子が箱をのぞき込んで言うと白狐は明らかにテンションダウン。

 ひとまずは影収納に収めた。どんな効果があるのかは迷宮を出てからのお楽しみだ。


 ギガントセンチピードとの戦いに結構な時間を要した為、3日目は地下52階層までの進出となった。

 下階に降りる階段も見つけた為、今日はここで休む事にした。

 階層内にいた魔物は相当数倒してあるのでここではゆっくり眠れる。

 夕飯はその場で簡単に調理したオーク肉のショウガ焼きだ。

 精をつける為にニンニクを多めに入れたがそれがいい味出していた。

 皆で食事を終えてから見張り番の順序を決めて交代で寝た。


 4日目、早速地下53階層に降りる。

 早速遭遇したのはサンドゴーレムとマッドゴーレム。

 マッドゴーレムってのは砂で出来たサンドゴーレムが水分を得て泥と化した奴だ。

 こんな砂で出来た迷宮のどこにそんな水分があったのか不思議だが、サンドゴーレム23体にマッドゴーレム9体が行く手を阻んでいた。

 この数はスタンピードの第3波だろうか。

「マッドゴーレムは泥団子を吐き出してくるぞ。気を付けろ。」

 傭兵団時代に相対していたのだろう。銀狼が皆に警告した。


「ゴッ!」

 早速先頭にいたマッドゴーレムがその口から泥団子を吐き出してきた。

 だがその速度は泥団子とは思えない程の威力を生み出していた。

「うぉっ?!」

 泥団子を受けた紫鬼が吹き飛ぶ。ガードは間に合ったようだが長身のガッチリ体型の紫鬼が吹き飛ぶ程の威力だ。

「かなり重い攻撃だな。」

 すぐさま起ち上がった紫鬼が腕を振りながら言う。

 泥団子が当たった腕が赤く腫れ上がっていた。

「大丈夫か?」

「あぁ。腕に当たっただけだ。骨まではいってない。」

「先にマッドゴーレムから仕留めましょう。まずは私が飛びこみます。」

 白狐が先陣を切った。

「ゴッ!」

 マッドゴーレムが泥団子を吐き出すも白狐が一刀のもとに叩き斬り、マッドゴーレムの首を刎ねた。

 だが元サンドゴーレムだけあってやはり体内の核を砕かないと止まらないらしい。

 大きさが少し変わったが頭がまた生えてきた。


「倒し型はサンドゴーレムと一緒ですね。細切れにして核を探して潰す感じですね。」

 白狐がマッドゴーレムを相手にしながら皆に言う。

 その言葉を聞きながら俺もマッドゴーレムに突っ込んでいた。

「ゴッ!」

 泥団子は直線的だから避ける分には問題ない。

「ゴッホ!」

 フルスイングでのパンチが迫る。俺は仰け反ってパンチを避けた。

 上体を起こした勢いそのままに両手のナイフをマッドゴーレムの脳天に突き刺す。

「ゴボッ。」

 運良く頭部に核があったらしい。マッドゴーレムは泥溜まりに姿を変えた。


 その頃には白狐が2体目のマッドゴーレムを斬り刻み、金獅子と銀狼、蒼龍も1体ずつ倒していた。

 手こずっていたのは紫鬼。繰り出す拳が泥の体表に捕らわれてなかなかダメージを与えられないようだ。

「相性が悪そうだな。マッドゴーレムは俺達に任せて紫鬼はサンドゴーレムを頼む。」

「すまんな。泥に打撃が吸収されてしまうようじゃ。任せた。」

 俺は紫鬼に代わってマッドゴーレムに向き合う。


 殴りに来るマッドゴーレム。俺は紙一重でその拳を避けると振り抜かれた腕をナイフで切り落とす。

 ここには魔石は無かったようだ。

 腕が無くなった分、体の体積を減らして新たな腕を生やしてくる。

 まぁ腕には魔石はないだろうとは思っていたさ。でも体積が小さくなった事で的は小さくなった。

 俺は左右のナイフを振るいマッドゴーレムの体を削っていく。

「加勢しよう。」

 蒼龍もやって来た。

「ふんっ!」

 三叉の槍がマッドゴーレムの頭を刎ねる。

 どんどん体の泥を削っていったおかげで身長も同じくらいになっていたマッドゴーレム。頭の部分を失ってさらにサイズが小さくなる。

「3連突き!」

 マッドゴーレムの腹部に大きな穴が空く。

 さらに小さくなるマッドゴーレム。

 俺が手足を削り、蒼龍が頭部や腹部を削る。

 気が付けばマッドゴーレムのサイズは1m以下になっていた。

「おりゃ!」

 俺が頭部に突き入れたナイフが魔石を砕いた。

 あちこちにマッドゴーレムから削り取った泥溜まりが出来ている。

 さらに本体を倒した事で泥の塊が出来上がった。


 残るはサンドゴーレムのみ。

 その数も紫鬼が張り切ったおかげで随分減っていた。

 だがここの階層のサンドゴーレムは一味違った。

 砂を吐き出してきたのだ。

「うわっ!目に砂がっ!」

「気を付けろよ。攻撃を仕掛けても砂が舞うようじゃ。ワシは攻撃の瞬間目をつぶっておるわ。」

「なるほど。戦闘中に目を瞑るとは盲点だったな。」

 ここのサンドゴーレムは体を構成している砂が上階のものよりも細かいようだ。

 同じサンドゴーレムでも違いがあるんだな。始めて知ったぜ。

「俺様には砂など通用せんわ!」

 大剣を振るって盛大に砂を撒き散らす金獅子。

「うわっ!兄貴、ちょっとこっちに砂撒かないでくれよ。」

「む?すまんな。」

 もうサンドゴーレム如きでは相手にならない。

 和気あいあいとサンドゴーレムを倒していく。


 戦いが終わった後には砂溜まりと泥溜まりが出来ていた。

「ふぅ。終わりましたね。」

「むぅ。同じサンドゴーレムでも質が違うんだな。今まで砂を吐くサンドゴーレムは始めてだったな。」

「砂を吐くのはハイサンドゴーレムって言われてるんだよ。魔物ランクは普通のと一緒なんだけどな。」

 白狐の戦闘終了を宣言すると金獅子が感想を言う。銀狼はさすがに傭兵団として様々な戦闘経験があり、ハイサンドゴーレムとも戦った事があったらしい。

 ハイサンドゴーレムか。色々いるもんだな。


 その後、俺達は下階への階段を見つけて地下54階層へと降りて行った。

 次はどんな魔物が現れるだろうか。


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