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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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355話 砂の迷宮8

 ギガントセンチピードは攻撃と同時に砂に潜っていく。

 巨大な口を開けて跳びかかってきたと思いきや、避けるとそのまま床や壁の砂に潜る。

 頭を出しているタイミングは攻撃を仕掛けてくる時だけ。

 おのずとカウンター攻撃が必要となる。

 床からギガントセンチピードが姿を現した。

「俺様に任せろっ!」

 金獅子に向かってきたギガントセンチピード。それを大剣を振るって迎え撃った金獅子。

 ゴギンッ!

 まるで金属同士がぶつかり合ったような音が辺りに響く。

「むぅ。硬いな。」

 ギガントセンチピードの額に当たった大剣は弾かれてしまった。

 発達した頭板に覆われている為、攻撃が通らないらしい。

 ギガントセンチピードはそのまま壁の砂の中に潜っていった。


「頭部を狙うのは難しそうですね。やはり胴節部を狙いましょう。」

 冷静に白狐が言う。

 確かに砂に潜っている間、胴節部は無防備だ。

 だが、左右に付いた多脚が攻撃を防ぐ。まるで剣を無数に生やしたかのような胴体なのだ。

 背中部分は頭板の延長だからきっと硬いのだろう。

 そもそも空中を行くギガントセンチピードの背中を狙うのも難しい。

 となれば腹部1択である。


 天井部からギガントセンチピードが顔を出した。

 突進が来ると身構えた俺達であったが、ここで新たな攻撃手段を見せてきた。 

 口内に溜まった粘液を飛ばしてきたのだ。

 粘液には牙から滴る毒も混じっている。生身で受ければ毒に侵されるだろう。だが、俺達には王鎧がある。当たっても毒は免れるだろう。

 しかしながらあの粘液も油断出来ない。粘性のある唾液だろうが、当たればその粘性ゆえに動きが制限される。

 そのタイミングを狙って体当たりでもされた日には避けようがない。

 俺達はポンポンと吐き出される粘液を避け続ける。

 しまった!床に落ちた粘液に足を取られた。

 俺の動きが止まる。すると待ち侘びたかのようにギガントセンチピードが俺に向かって突進してきた。

 これはヤバい。足は粘液に囚われている。避ける術がない。

 俺は黒刃・右月と黒刃・左月を交差させて衝撃に備える。

 と、そこに割り込んできてくれたのは紫鬼だった。

「どりゃ!鬼拳!」

 俺に迫るギガントセンチピードの横っ面を紫鬼の拳が打ち抜く。すると軌道を変えたギガントセンチピードの頭部が俺のすぐ横を通り過ぎる。

 その後迫ってきたのは無数の多脚。

 俺は黒刃・右月と黒刃・左月を交差させたままこれを受けた。

 まるで剣士の連撃を受けているかのようだ。

 剣のような多脚が次々とやってくる。

 一定間隔の為、ガードする分には問題なかったが、牙だけでなく多脚も脅威だ。


 壁へと潜り込むギガントセンチピード。

 その尾節が通り過ぎた際には俺は振り向きざまに黒刃・右月を振るった。尾節は他より硬度が弱いようで、始めてギガントセンチピードこら出血した。緑色に近い液体が宙を舞う。

「Gyishaaaa!」

 砂の中からギガントセンチピードの叫び声が聞こえた気がする。

 これは効いたか?

 壁からの姿を現したギガントセンチピードは緑鳥達の方向へと向かう。

「大丈夫だ。」

「うむ。我等に任せよ。」

 銀狼と蒼龍が緑鳥の前に出る。

 突進するギガントセンチピード。

 示し合わせたように下段から双剣と三叉の槍を振りあげる2人。

 ガギンッ!

 ギガントセンチピードの顎をかち上げた。

 ギガントセンチピードはそのままの勢いで天井部に潜っていく。

 銀狼と蒼龍には胴節部に生えた多脚が襲いかかる。

「ぐぅ。」

「むぅ。」

 剣士の連撃のような多脚の攻撃を2人も防ぐ。

 と、そこに白狐が潜り込むと、ギガントセンチピードの腹部に白刃・白百合を突き立てた。

 刀の切っ先がギガントセンチピードの腹部に入り込む。

 ズサァァァ!

 ギガントセンチピードは己の勢いを利用されて腹部を切り裂かれた。

 と言っても傷は浅い。飛び散る緑色の血も量的には少ない。

 が、やっぱり腹部になら刃が通る事が実証された。

 さすが白狐である。


 壁からの頭を出して粘液を吐き出したギガントセンチピード。

 だが避けられない速度ではない。

 今度は足元にも注意を払いつつ、粘液を避ける。

 あ!紫鬼に粘液が当たっちまった。

「うぉっ?!」

 粘液は暫くすると固まってくるようで粘液を引き剥がそうとする紫鬼の動きが止まってしまった。

 突進が来る。

 さっき助けて貰ったんだ。次は俺が助ける番だ。

 俺はギガントセンチピードに走り寄りその横っ面に黒刃・左月と黒刃・右月を叩き付ける。

 それでも直進方向には紫鬼がいる。

「てりゃぁぁぁぁあ!」

 俺は思いっきり飛び上がりドロップキックをぶちかます。

「Gyishaaaa!」

 ようやく頭部が紫鬼を避けた。

 だが安心は出来ない。次は多脚の応酬が来る。

 俺は紫鬼の前に立ち、迫り来る多脚を弾く。

 弾く弾く弾く。

 まるですり潰すかのような多脚の連撃である。

 30mもある体には一体何本の脚が生えているのだろうか。

 ようやく多脚が終わり尾節部が横を通り過ぎた。


 一安心している場合ではない。

 紫鬼に付いた粘液を取らないと。

 すでに固まっている粘液はナイフで削っていった。

 どうにか自分で動ける程度まで削ると紫鬼が体を動かして粘液を剥がし始める。

 パキッバキッバギッ。

 相当強固に固まったらしい。

 やっぱり粘液にも要注意だな。


 再び砂に潜ったギガントセンチピード。

 次は何処から出てくるのか。

 緊張感の続く中戦闘は継続する。


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