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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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343話 甲蟲人:蜂5

 獣王達は順調に甲蟲人:蟻と対峙している。

 獣王の大剣が頭を潰し、牙王の双剣が首を刈り、龍王の槍が腹部を穿つ。

 兵士達もそれにならって肘関節や肩関節、首などの関節部分を狙って攻撃を繰り出すことで甲蟲人:蟻を撃ち倒していく。

 前線での混戦のため、甲蟲人蟻の持つロングソードに腹部を切り裂かれる者、胸部を穿たれる者、手指を切断される者もいるが、即時に聖王の聖術が温かい光となって対象者を包み込むと、受けた傷が癒えていく。

 部位欠損は治らないまでも傷口が塞がることでまど戦える状態となる。

 敵後方には相変わらず魔術師連隊の術者達が魔術を放ち大爆発を起こしている。

 やはり朱鮫の開発した魔石魔術は有用で、術式の詠唱無く魔術を放てるため、隙間なく爆撃が可能となっている。


 聖王と魔王を囲む障壁を守るように位置する4人の王達も迫り来る甲蟲人:蟻を1体ずつ、確実に仕留めていっていた。

 特に猛威を振るっているのは地王の手にしたバトルハンマーである。

「アースクエイクぅ!」

 局所的な地震を発生させては甲蟲人達の動きを止めて1対1に持ち込んでいる。

 仁王も両手にウォーアックスとバトルアックスを持ち、果敢に攻めている。

 賢王も近付いてくる甲蟲人:蟻達に電撃を与え痺れさせながら直近の敵を穿ち倒していく。

 精霊王も遠距離から中距離、近距離と多岐にわたる攻撃を繰り出していく。

 未だ敵の数は多いが飲み込まれる程ではない為、安定した戦線を維持していた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 またしても空中に逃げられてしまった。

 翅を1枚失った為に高速飛行は出来なそうではあるが、位置の有利はあちらにある。

「ニードルショット!」

 空中からまたしても魔力針が降り注ぐ。

 副碗を左右共に切断した為にその数は減ってはいるが、それでも一帯を埋め尽くす程の量である。

 俺は黒刃・右月と黒刃・左月を振るい、降り注ぐ魔力針を弾く。

 白狐も白刃・白百合を縦横無尽に降り回し魔力針を防ぐ。

 紫鬼はスピードに自信のある斬鬼形態の為、降り注ぐ魔力針をギリギリで躱している。


 そんな中に甲蟲人:蜂が急襲する。

「ドリルニードル!」

 俺に向けて全身をドリルの如く回転させて細剣を突き出して急降下してくる。

 俺は黒刃・右月と黒刃・左月を交差させてこれを正面から受け止めた。

「ぐぎぎぎぎぎっ!」

 重い。途轍もなく重い一撃である。

 思わず声が漏れた。

「ぐがぁっ!」

 黒刃・右月と黒刃・左月を振りあげて細剣を突き上げる。

 しかし、威力を殺せなかった為に左肩に細剣を受けてしまった。

「ぐわっ!」

 王鎧すらも砕いて左肩の肉をごっそり持って行かれた。もう左腕を動かす事すら難しい。

 やられた。


 甲蟲人:蜂は俺に突進してきた勢いそのままに再び上空に飛び上がる。

「飛剣・鎌鼬!」

 高速機動は出来ないと見た白狐が飛ぶ斬撃を繰り出す。

 ガキンッ

 細剣で飛ぶ斬撃を防ぐ甲蟲人:蜂。

 だが斬撃を受けたことで体勢が崩れる。

 そこに紫鬼が跳び上がりかかと落としを敢行。

 避けきれなかった甲蟲人:蜂が墜落する。

 一緒に落ちて行く中で紫鬼がさらに追撃を行う。

 回し蹴りが腹部にクリーンヒットし、甲蟲人:蜂が吹き飛ぶ。

 さらにその墜落地点に素早く移動した白狐が斬撃を繰り出す。

「抜刀術・飛光一閃!」

 高速で振り抜かれた刀により放たれた一閃は甲蟲人:蜂の腹部を切り裂く。

「抜刀術・閃光二閃!」

 抜き身の白刃・白百合を目にもとまらぬ速度で振り上げると甲蟲人:蜂の胸部を切り裂く。

「抜刀術・発光三閃!」

 その剣閃が通った先では甲蟲人:蜂に3連撃を与える。

「抜刀術・残光四閃!」

 一気に4度振るわれた刀により腹部、胸部、左腕を切り刻む。

「抜刀術・無光五閃!」

 1度に5度振るわれた刀が甲蟲人:蜂を切り刻み、その体を吹き飛ばす。

「ガハッ!ヨクモ、ヨクモヤッテクレタワネ!アタクシノレイピア捌キデブチ殺シテアゲマスワ!」

 吹き飛んだ先で甲蟲人:蜂は立ち上がり、ゆっくりと上昇していく。

 白狐の剣技によって残った3枚のうち1枚の翅も切り裂かれていた。残っているのは左右一対の前翅だけである。


「喰ライナサイ!ドリルニードル!」

 次に狙われたのは紫鬼だった。

 武器を持たない紫鬼は両腕にはめた手甲を交差させてこれを受け止める。

 しかし、あの攻撃は予想以上に重いのだ。

 案の定、紫鬼も右腕を穿たれた。

 前腕部分を大きく抉られたが、辛うじて切断は免れた。

 そこに温かな光が舞い降りて紫鬼を包み込む。

 緑鳥の聖術だろう。

 俺も左肩を抉られてるんだが?緑鳥には見えてなかったのかもしれない。

「緑鳥ぅー!俺にも回復をたのむぅー!」

 俺は大声で緑鳥に回復の聖術を頼んだ。

 すると温かな光が俺を包み込むと、肩口の抉られた肉が盛り上がり傷口が塞がる。

 流石緑鳥の聖術。これでまだ戦える。

 だが抉られた箇所の王鎧は砕けたままである。


 お互いに満身創痍な状態である。

 こちらで無事なのは白狐くらいなもんだ。

 俺も紫鬼も聖術による回復は受けたが攻撃を受けた箇所の王鎧が砕けている。

 白狐含め3人伴に肩で息をしている状態だった。


 決着の時は近い。


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