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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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342話 甲蜂人:蜂4

 前線にいたことで聖王はすぐさま法王の重篤なダメージに気が付いた。

「親愛なる聖神様、その比護により目の前の傷つきし者に最大なる癒やしの奇跡を起こし給え。ハイヒーリング!」

 癒やしの光が離れた位置に倒れている朱鮫に届く。

 だが法王は動かない。

 まさかと思う。

 死者には回復の奇跡は通用しない。

「親愛なる聖神様、その比護により目の前の傷つきし者に最大なる癒やしの奇跡を起こし給え。ハイヒーリング!」

 再び回復の光が飛んでいくと倒れた法王を包み込む。

 だがまだ法王は動かない。

 その後も聖術をかけ続ける聖王。

 まだ法王は動かない。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 流石に3度目ともなれば甲蟲人:蟻の対策も万全である。

 遊撃隊と鳴った獣王と牙王、龍王は口々に関節部を狙えと兵士達に指示を出しながら甲蟲人:蟻と対峙する。


 獣王達は順調に甲蟲人:蟻と対峙していた。

 ロングソードを持つ腕を狙って大剣を振り下ろす獣王。見事に腕を切断、残るサークルシールドを持つ腕でのシールドバッシュを巧みに躱して首を断つ。

 牙王もロングソードを片手に持った双剣で受けると残った方の双剣で肘関節を切断。

 武器を失った甲蟲人:蟻の頭部を切り裂いた。

 龍王も巧みに三叉の槍を使いロングソードを絡め捕ると甲蟲人:蟻の腹部に三叉の槍を突き入れて上半身と下半身を分かつ。


 障壁に護られた聖王と魔王を守るように位置する地王が魔道具のバトルハンマーで大地を叩く。

「皆飛べぇ!アースクエイクぅ!」

 局所的な地震に見舞われて甲蟲人:蟻達が蹈鞴を踏む。

 仁王、精霊王、賢王は事前に跳躍して地震を回避、蹈鞴を踏む甲蟲人:蟻達へと躍りかかる。

「風刃!」

 仁王は早速魔道具のバトルアックスによる風の刃を多用する。甲蟲人:蟻の外骨格を傷付ける程度の威力だが足止めにはちょうど良かった。迫り来る甲蟲人:蟻の足止めをして1対1での戦闘を継続して甲蟲人:蟻の首を刎ねる。

「スパークショット!」

 賢王も新たに手にした魔剣の細剣で雷撃を放ち離れた敵を痺れさせて足止めしつつ、1対1に持ち込んで甲蟲人:蟻の首を穿つ。

火炎矢!」(かえんし)

 精霊王は火の精霊の力を借りて燃え盛る火炎の矢を放つ。

 射られた甲蟲人:蟻達は頭や体を燃え上がらせながら火を消そうと藻掻く。

 体を燃え上がらせながら近付いてくる甲蟲人:蟻は鳥打が金属の刃で構成された弓でその頭を刎ねた。


 敵後方へは魔術師連隊が魔術を放ち盛大に爆発の連続が起きている。

 前線に躍り出る甲蟲人:蟻達も兵士達によって行く手を阻んでいた。

 敵の数はまだまだ多いが前線の維持は出来ている状態であった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 地上に降りてきた甲蟲人:蜂であったがま打まだ油断は出来なかった。

「ニードルショット!」

 魔力針を放ちつつ、自身も特攻してくる。

 突き出された細剣を受け止めたのは白狐。

 そのまま細剣を弾いて袈裟斬りにする。

「グギッ!」

 外骨格に阻まれて切断には至らなかったがエクスプロージョンを受けたことで外骨格にも罅が入っており、関節部以外でもダメージが通るようになった。

「クソガッ!スピアニードル!」

 その場で自身を槍の如く加速させて細剣を突き出す甲蟲人:蜂。

 これも白刃・白百合で受けた白狐であったが威力に負けて後退させられる。

「影移動!」

 その背後に回り込んだ俺は甲蟲人:蜂の残った副碗を黒刃・右月で切り裂く。

「ウギャーッ!ナニスンノヨ!」

 振り向きざまに細剣を振るってくる甲蟲人:蜂。それを黒刃・左月で受けて、さらに黒刃・右月を腹部に突き入れる。

 腰の関節部を狙ったのだがこれは躱されてしまった。

 俺は大きく飛び退き距離を取る。

 そこにエントリーしたのは紫鬼。

 素早い連続蹴りを繰り出す。

 だが流石に目はいいらしく、その全てをガードする甲蟲人:蜂。お返しとばかりに細剣で突きを放ち、紫鬼の胸部を穿つ。

「ぐっ!」

 その突きは想像より重く鋭く王鎧に穴を空けるほどの威力である。

 それでも負けじと蹴りを繰り出す紫鬼。

 暫く紫鬼が蹴りを放ち、甲蟲人:蜂がこれをガードする攻防が続く。

 そんな中に急襲したのが白狐である。

 蹴りをガードしている甲蟲人:蜂に向けて抜刀術を繰り出す。

「抜刀術・飛光一閃!」

 高速で振り抜かれた刀により放たれた一閃は細剣でガードされた。

「抜刀術・閃光二閃!」

 続いて抜き身の白刃・白百合を目にもとまらぬ速度で振り上げると甲蟲人:蜂の腹部に亀裂が入る。

「抜刀術・発光三閃!」

 その剣閃が通った先では胸部に出来た罅をさらに深くした。

「エエイッ!邪魔ダッ!ニードルショット!」

 副碗を左右共に失ったにも関わらず魔法は健在だった。

 甲蟲人:蜂を中心に四方八方に魔力針が飛ぶ。

「くっ!」

「がっ!」

 魔力針が白狐の左肩を貫き、紫鬼の右足太腿に刺さる。

 俺は迫り来る魔力針を黒刃・右月と黒刃・左月を振り回してどうにか避ける。


 足を刺された紫鬼がターゲットに選ばれた。

「スピアニードル!」

 全身を槍の如く伸ばして突きを放ってくる甲蟲人:蜂。

 これを正面から迎え撃つ紫鬼。

「鬼蹴!」

 繰り出された突きをギリギリで左に避けると太腿に魔力針が刺さったままの右足で大きく蹴り上げる。

「グギッ!」

 大きく上空に投げ出された甲蟲人:蜂は残った3枚の翅を広げて滞空する。

 1枚を失った為に高速軌道は出来ないが、滞空する事は出来るらしい。


 またしても上空に逃げられた事で勝負は振り出しに戻った。

 だがやはり朱鮫の放ったエクスプロージョンが効いていた。

 滞空する甲蟲人:蜂もどこかフラついている。


 勝負はそろそろ佳境を迎える。


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