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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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341話 甲蟲人:蜂3

 一方他の王達も戦場へと到着していた。

 今回は聖王のたっての希望もあり、聖術が届く範囲の30mを維持して前線に聖王と魔王を囲った障壁を展開している。

「聖術による癒しが必要なのはより前線にいる方々です。どうかわたしを前線に配置させて下さい。」

 との聖王の言葉だ。

 確かに聖王の言う通り、1番傷つき癒しが必要なのはより前線に近い位置で戦っている者達である。

 もちろんその中には夜王達も範囲内に入れるように位置関係は調整してある。

 そして障壁を展開しているからといって前線に聖王達を放置する訳にもいかないため、仁王、地王、精霊王、賢王は障壁の周りを囲み防御しながら甲蟲人:蟻と対峙している。

 残った獣王、牙王、龍王は遊撃手として戦場を駆けていく。

 こうして甲蟲人:蟻と戦う兵士達も聖術を受けられる事となり、前線の確保は堅牢なものとなったのだ。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 墜落した甲蟲人:蜂であったが、朱鮫のエクスプロージョンによるダメージはあるものの、まだ動けるようだった。

 そこに飛びこんだのは紫鬼。

 素早いラッシュで、ローキック、ミドルキック、ハイキックを繰り出すも360度を見通す眼には全て見えているようで、その全てをガードされてしまった。

「アタクシハレイピアダケデナク、体術モソレネリデスワヨ!」

 逆に紫鬼が前蹴りを受けて距離を取られる。

 その空いた空間を埋めるように素早い突きが紫鬼を襲う。

 ガキンッ

 それを弾いたのは白狐。いつの間にか接敵して白・白百合を振るっていた。

 返す刀で袈裟斬りにするも外骨格に阻まれてダメージはほぼない。

「ニードルショット!」

 そこにさらに魔力針による爆撃を行う甲蟲人:蜂。

「見えたで!腹部から生えた副碗や!副碗で魔力操作しとる!」

 朱鮫が吼える。

「なら副碗から削りますか。」

 白狐が副碗を狙って白刃・白百合を振るう。

 しかし敵も然る者、細剣でガードする。

 そしてまたしても上空に逃げられた。


「ファイアバレット!ファイアバレット!ファイアバレット!」

 速度特化のバレット連発で朱鮫が甲蟲人:蜂を攻めたてる。

「チッ!ヤハリ魔法使イハ面倒デスワネ。先ニ貴方カラ殺シテサシアゲマショウ!」

 そう言って朱鮫に向かって急降下する甲蟲人:蜂。

「スピアニードル!」

 全身を槍の如く突き出して細剣による突きを放つ。

「うわっ!」

 咄嗟に杖で防ごうとするも弾かれる。

 ガギンッ

 鋭い音が辺りに響く。

 甲蟲人:蜂の放った突きが朱鮫の王鎧に穴空けた。

「ぐふっ!」

 吹き飛ばされる朱鮫。

「朱鮫っ!」

 思わず名を呼んだ。

 吹き飛ばされた先で起き上がる朱鮫の姿が見えた。どうやら無事らしい。


 地に降りた甲蟲人:蜂に白狐と紫鬼が殺到する。

 俺はその影にナイフを投擲した。

「影縫い!」

 見事にナイフは甲蟲人:蜂の影を穿った。

「グッ!」

 紫鬼の猛烈な蹴りのラッシュ。ローキック、ミドルキック、ハイキックがクリーンヒットする。

 白刃・白百合を振り抜いた白狐。その剣閃の先には片方の副碗が切断されていた。

 影縫いの効果が切れる。

 すぐさま飛び上がる甲蟲人:蜂。

「クッソガー!アタクシノ腕ヲ、ヨクモヤッテクレタワネ!ニードルショット!」

 先程までより魔力針の数が少なくなっている。副碗を片方失ったことで魔力操作がしにくくなったのだろう。

 それでも降り注ぐ魔力針は多い。

 俺達は避けつつ、ガードしつつ!弾きつつ魔力針に対処する。


「ファイアバレット!ファイアバレット!!ファイアバレット!!!」

 復帰した朱鮫の魔術が甲蟲人:蜂を襲う。

 2発は避けられたが1発は当たった。

 よろめく甲蟲人:蜂。だが墜落する程ではない。

「チッ!マダ動ケルノカ。頑丈ナ奴メ。コレデ終ワリダヨ!ドリルニードル!」

 急降下からの刺突は変わらないが今回のは全身をドリルの如く回転させてより貫通力を高めている。

 朱鮫も杖で防ぐように構えるが、その刺突は杖を半ばから折り、吸い込まれるように朱鮫の腹部に突き刺さった。

「ぐふっあ!」

 朱鮫の腹部に大きな穴が穿たれる。

 溢れる血液。崩れ落ちる朱鮫。

 全てがスローモーションに見えた。

「「「朱鮫!」」」

 3人共に名を呼んだ。

 地に伏せる朱鮫。


「オホホホホホッ!コレデ邪魔ナ魔法使イハイナクナッタワネ!!」

 上空から甲蟲人:蜂が吼える。

 ピクリともしない朱鮫。まぢか。やられちまったのか?

「ニードルショット!」

 降り注ぐ魔力針。

 朱鮫に近付く事すら出来ない。

「飛剣・鎌鼬!」

 魔力針の合間を縫って白狐が飛ぶ斬撃を放つ。

 甲蟲人:蜂は魔法を撃つのをやめて飛ぶ斬撃を避けた。

 そこに跳躍して迫る俺と紫鬼。

 俺は黒刃・右月と黒刃・左月を振るい残った副碗を切り裂く。

 その間にも紫鬼が跳び蹴りを喰らわす。

 流石に2人同時に躱すのは難しかったようで、甲蟲人蜂は俺の斬撃を細剣で防ぎ、紫鬼の跳び蹴りを受けた。

 空中を滑るように吹き飛ぶ甲蟲人:蜂。

 さらに地上から白狐が飛ぶ斬撃を放つ。

「飛剣・鎌鼬!飛剣・鎌鼬!!飛剣・鎌鼬!!!」

 吹き飛んだ先で飛ぶ斬撃に見舞われる甲蟲人:蜂。

 その一撃が翅を傷付けた為に、飛行が困難になり、地上に落下してくる。


 ここからは地上戦の始まりだ。


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