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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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340話 甲蟲人:蜂2

「喰ライナサイ!ニードルショット!」

 初手は甲蟲人:蜂の魔法から始まった。

 次々と上空から襲い来る魔力針をジグザグに走り避けながら甲蟲人:蜂へと迫る俺達。

 最初に眼前に到着したのはやはり白狐。

 高速の抜刀術で斬りかかる。

 ガキンッ

 硬質な音が響く。

 こちらも細剣で受け止められたらしい。

 よくもまぁあんな細い剣で白狐の斬撃を止めるものだ。

 そんな事を考えつつ左横から黒刃・右月を振るいその首筋を狙う。

 しかし、こちらも細剣で受け止められた。

 それに目も良いらしい。蜂特有の360度を見回す複眼と主眼のおかげかこちらの攻撃は全て見切られているように思う。

 そこに近付いた紫鬼の唸るような拳が放たれる。

 が、4枚の翅を展開して上空に逃げられた。

 空も飛ぶのか。面倒だな。


「ファイアボール!サンダーボール!ウィンドウボール!」

 そこに朱鮫の魔術が走る。

 しかし、上空を滑らかに滑るように滑空する甲蟲人:蜂に避けられてしまう。

「飛剣・鎌鼬!」

 空飛ぶ斬撃を放つ白狐だが、こちらも避けられてしまう。

 空飛ぶ敵は厄介だ。

 俺は思いっきり跳躍して上空の甲蟲人:はちの高度まで上がり黒刃・右月と黒刃・左月で斬りかかる。

 しかし空中でも細剣で受けられてしまった。

 これはなかなかにやり辛い相手だな。


 かと思いきや上空から一気に下降してきた甲蟲人:蜂が白狐に突き進む。

「スピアニードル!」

 全身を槍の如か速度で降下させながら手にした細剣で突きを放ってきた。

 ガギンッ

 こちらも負けじと攻撃を受ける白狐。

 だが突進の勢いもあって若干後退させられる。

 再び上空に逃げる甲蟲人:蜂。

「飛剣・鎌鼬!」

「ウィンドショット!ウィンドショット!!ウィンドショット!!!」

 空飛ぶ斬撃を避けた所に上手く朱鮫の魔術が炸裂した。

 暴風の威力にきりきり舞いで落下してくる甲蟲人:蜂。

 その落下地点に素早く移動して黒刃・右月で突き刺すようにかちあげる。

 ギンッ

 確かに腹を突き刺したはずだが硬質な音が響いた。こいつも他の甲蟲人同様に外骨格が強固らしい。

 そこに紫鬼も追いついてパンチを繰り出すも三度上空に逃げられる。

「むぅ。奴の速度について行けんな。なら、王化!鬼王!斬鬼!!」

 そう叫ぶ紫鬼の左足につけたアンクレットにはまる青色の王玉から青色の煙を吐き出しその全身を包みこむ。

 青色の煙が紫鬼の体に吸い込まれるように晴れると、そこには額の中央に1本の角が目立つ鬼の意匠が施された兜に青紫色の全身鎧を身に着けた紫鬼が立っていた。

「斬鬼形態ならどうじゃ!」

 と、そこに再び上空から急降下してくる甲蟲人:蜂。

「スピアニードル!」

 全身を槍の如く突き出して細剣で突いてくる。

「あまいわ!」

 その突進を避けて代わりにハイキックをぶちかます紫鬼。

 その蹴りは見事に突進してくる甲蟲人:蜂の頭部を捕らえた。

「グフッ!」

 頭部を蹴られたことで急降下の勢いそのままに地面に墜落する甲蟲人:蜂。

 それを見逃さずに白狐が攻める。

「抜刀術・飛光一閃!」

 高速で振り抜かれた刀により放たれた一閃は甲蟲人:蜂の肩口に吸い込まれる。

「抜刀術・閃光二閃!」

 抜き身の白刃・白百合を目にもとまらぬ速度で振り上げると硬質な音が二度響く。細剣で受けられたらしい。

「オホホホホホッ!アタクシノレイピア捌キハ如何カシラ?」

 そのまま白刃・白百合を弾くと逆に高速の突きを放つ甲蟲人:蜂。

 ガキンッ

 肩口に受けた白狐だが、王鎧に護られてダメージはなさそうである。

「ソウレ!ニードルショット!」

 甲蟲人:蜂の頭上に複数の魔力針が発生して俺達に襲い来る。

「ファイアショット!ファイアショット!!ファイアショット!!!」

 その全てを朱鮫の魔術が撃ち落とす。

「チッ!面倒デスワネ。」

 またしても上空に飛んだ甲蟲人:蜂。

「ニードルショット!ニードルショット!ニードルショット!」

 数え切れない程の魔力針が発生、頭上から降り注ぐ。

「ファイアショット!ファイアショット!ファイアショット!くっ!」

 朱鮫も負けじと魔術を放つが迫る魔力針の数が圧倒的だ。

 俺達は迫る魔力針を避け、ガードし、黒刃・右月と黒刃・左月で打ち返す。

 針状にして貫通力を上げていると見えて僅かながらも魔力針が王鎧に突き刺さる。

 白狐も紫鬼も全ては避けきれなかったようで同じく数本の魔力針に突き刺されている。


「くっそが!素早いやんけ!ならファイアアロー!ファイアバレット!ファイアスピア!」

 ショットよりも貫通力を上げたアローに速度特化のバレット、さらに破壊力を増したスピアの魔術が甲蟲人:蜂に迫る。

 しかし甲蟲人:蜂には全て見えているようだ。

 空中を難なく飛び回りこれを全て避けてしまう。

「飛剣・鎌鼬!」

 白狐の空飛ぶ斬撃をも避ける甲蟲人:蜂。

 まずは上空に逃げられるのを阻止したいところだ。

 俺は影収納から投擲用ナイフを3本取り出す。

 空中にいる相手でも影縫いは成功するのか?試してみないとわからない。

「影縫い!」

 上空を飛ぶ甲蟲人:蜂の影にナイフを投擲。

 その瞬間、甲蟲人:蜂の動きが止まり、羽ばたく事も出来なくなった為に落下してくる。

「今や!ワイのとっておきやで!エクスプロージョン!!」

 ボッガァァァァァァン!

 空中で大爆発が起こる。

 その衝撃は大気をも震わせ、俺は下腹部にドシンと重さを感じる程の爆音に晒された。

 爆発の中心部にいた甲蟲人:蜂が落下してくる。


 これは倒したか?

 ピクリともに動かない。

 ドスンと落下。まだ動かない。

 倒しちゃったんじゃないのこれ?

 だがそんな事を考えた俺が甘かった。

 むくりと起ち上がる甲蟲人:蜂。

「痛イジャナイノサ!何スンノヨ!!」

 まだまだ元気いっぱいの甲蟲人:蜂であった。


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