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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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333/553

332話 ヌイカルド連邦国9

 一方その頃。

 王化継続時間を3時間にまで延ばした金獅子、銀狼、紫鬼の3人も街の外にやってきてきた。

 こちらは碧鰐達とは逆の東側の街道沿いを歩く。

 目的は街道沿いでとある商隊が目撃したと言うクリムゾンベアの討伐である。

 本来であれば聖都付近にはクリムゾンベアは出没しなかったのだが、邪神復活の影響か活動が活発化した魔物がよく街のそばまでやってくるようになっていたのだ。


 クリムゾンベアと言えばAランクの魔物であり、万が一街に入りでもしたら街が滅ぼされかねない。

 商隊が発見したと言うのなら討伐に向かうのは当然の事であった。

 それに金獅子と銀狼にはやってみたい新技の構想もあった。それを試すならAランクの魔物は好都合だった。


 やがて3人はドワーフ王国や精霊の住まう森に続く南方面とヌイカルド連邦国に向かう東方面の分かれ道にまで到達した。

 ここまでクリムゾンベアの出没はない。

「どうするよ?噂の出所の商隊はヌイカルド連邦国方面から来たって話だから東方面に行くのが正解かな?」

 銀狼が2人に問う。

「そうだな。ここまでの道程では発見出来なかった事を考えれば東方面にいる確率の方が高かろう。」

「だな。ワシもその意見に賛成じゃ。」

「んじゃ東方面に向かうか。」

 軽く相談してから東方面へと足を運ぶ。


 やがて道は北と南に森を構えた形に変わった。

「森の中が1番出やすそうだな。北と南、どっちに行く?」

 再び銀狼が2人に問う。

「商隊はどちらで遭遇したか情報はあったっけか?」

「いや。ワシは聞いてないぞ。」

「俺様も聞いてないな。ひとまず北の方に向かって、暫く行っても出てこなければ引き返して南に向かうか。」

「だな。そうするか。」

 3人は進路を北に取った。


 暫く進むと森の中に湖を発見した。

 対岸まで5km程はありそうな、それなりに大きな湖だった。

 と、そこに水辺で水を飲む一団を発見。遠目からでも熊である事は確認できた。

「あれかのう?」

「この距離では普通の熊なのか熊系の魔物なのか判別出来ないな。近付くとしよう。」

 紫鬼の疑問に金獅子が答える。


 熊達は水を飲むことに集中しており、こちらの接近にはまだ気付いていない。

「む?あの毛色。レッドベアか?」

「いや。色が深い赤だ。クリムゾンベアで間違いないだろう。」

「不味いな。5体もおる。全部クリムゾンベアか?」

「だな。クリムゾンベア5体。まぁいい戦闘訓練になりそうだな。」

「早速王化するか。王化!獣王!」

 金獅子が声を上げると、右手中指のリングにはまる金色の王玉から金色の煙を吐き出しその身に纏う。

 次の瞬間、その煙が吸い込まれるように体の中に消えていき、煙が晴れると獅子を想起させるフルフェイスの兜に金色に輝く王鎧を身に着けた獣王の姿となる。

「おう。王化!牙王!」

 銀狼が声を上げると、左手中指のリングにはまる王玉から銀色の煙を吐き出しその身に纏う。

 その煙は体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると狼を象ったフルフェイスの兜に銀色に輝く王鎧を身に着けた牙王の姿となる。

「王化!鬼王!剛鬼!」

 紫鬼が王化し、右腕にしたバングルにはまる王玉から赤紫色の煙を吐き出しその身に纏う。

 その煙刃体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると額に2本の角を持つ鬼を象った赤紫色のフルフェイスの兜に赤紫色の王鎧を身に着けた鬼王の姿となる。

 3人はクリムゾンベアへと向かっていった。


 クリムゾンベアまでの距離が10mを切った辺りでクリムゾンベア達も3人の接近に気付き、戦闘態勢となった。

「ワシは絶鬼形態の力を試すぞ。」

 そう言うと紫鬼は右手と左足を前に出して叫ぶ。

「はぁぁぁぁあ!王化!絶鬼!」

 紫鬼がそう言うと右手にしたバングルにはまる赤い王玉から赤紫色の煙が、左足につけたアンクレットにはまる青い王玉からは青紫色の煙が立ちのぼり紫鬼を包み込むと赤紫色と青紫色が混ざり合って紫色の煙となって紫鬼の体に吸い込まれていった。

 煙が晴れた後に残ったのは3本角が特徴的な鬼の意匠が目立つフルフェイスの兜に紫色の全身鎧、王鎧を纏った紫鬼が立っていた。


「おう。早速絶鬼形態か。では俺様も早速試そう。雷纏(らいてん)!」

 その一言により、上空から一筋の雷が獣王へと落ちる。

 バリバリバリバリ!

 土煙が上がり大気中に帯電してバチバチと音を鳴らす。その中には猛烈な雷の光を纏った獣王の姿があった。

「ふはははっ!成功だ!雷を纏った俺様の速度を味わうといい!」

 雷の力により強制的に筋肉を動かす際の脳からの電気信号を高速化した事でその身体能力は通常より150%向上していた。


「金獅子の兄貴は成功か。ならオレも。氷纏(ひょうてん)!」

 そう叫ぶ牙王からは猛烈な吹雪が巻き起こり大気中の水分を凍らせてダイヤモンドダスト現象を引き起こした。

 そんな現象の中心には体表温度を絶対零度にまで引き下げた牙王が立っている。

 その攻撃は全てを凍らせて白銀の世界を構成する。


「2人共に成功したようじゃな。では行くか!」

 鬼王の号令により、3人対クリムゾンベア5体の戦いが始まったのである。


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