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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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331話 聖都セレスティア30

 新しい装備を手に入れた茶牛、翠鷹、碧鰐の3人は神殿での王化継続時間を伸ばす訓練の合間に街の外に出て新しい武器の性能を試すべくオーク狩りに出掛けていた。


「こうやって探してみるとオークもなかなか出てきぃひんなぁ。」

 暫く街の外の西側の森に入ってから時間が経つ。

 それでも1体もオークに出会わず翠鷹がぼやくのもわかる。

 そんな翠鷹の両足は銀色に輝くオリハルコンの義足に置換されている。

 1週間に渡る松葉杖生活を乗り越えて普通に歩いたり走ったり出来るまでになっている。


「別にオークに限らんでもいいんじゃないか?ほれ。その草陰にホーンラビットがいる。まず誰から試す?」

 碧鰐が目ざとく草陰にじっとしているホーンラビット1体を発見した。

「確かにホーンラビットだなぁ。碧鰐が見つけたんだから碧鰐から試しなぁねぇ。」

「そうか?じゃあお言葉に甘えて、風刃(ふうじん)!」

 碧鰐がバトルアックスを振るうと刃先から真空の刃が発生し、ホーンラビットへと迫りその首を刈った。

「おぉ。風の刃が出たなぁ。」

「ばっちりやねぇ。にしてもその『風刃』言う掛け声はなんですのん?」

「む?風の刃を出そうと思えばいいってのほわかるんだが掛け声があったほうが自分の中でも締まりが良くてな。風の刃で風刃と名付けたんだ。」

「なるほど。掛け声、大事やね。ウチも名前つけようかしら。スパークショットとかでどうやろか?」

「おぉカッコイイなぁ。儂も名前をつけたいがネーミングセンスがないんだよなぁ。何かいい案はないかぁ?」

 腕を組んで思案顔で茶牛が2人に問う。

「んーそうだなぁ。オラァがつけるならそのまま『地震打(じしんだ)』とかかな。」

「ほんまにそのまんまやねぇ。ウチなら『アースクエイク』とかにしますわなぁ。」

 思案顔から一転、パッと顔を明るくして茶牛が反応する。

「『アースクエイク』かぁ。カッコイイなぁ。それにすっかなぁ。」


 とそんな事を話しているとお目当てのオークが3体出てきた。

「おぉ。オークだなぁ。儂のアースクエイクで足を止めるから2人で攻撃してくれろぉ。」

 言うなり茶牛がバトルハンマーで地面を叩く。

「そうれぇ。アースクエイクぅ!」

 叩かれた地面を支点に半径10m程の範囲に地震が発生した。

「おっとっとっ。」

「あらまぁっ。」

「「「ブヒッ!?」」」

 茶牛を除く5名が足を取られる。

「あれまぁ。皆が止まっちまったなぁ。」

 だが揺れることを想定していた分だけ翠鷹と碧鰐の復帰は速かった。

「スパークショット!」

「風刃!」

 翠鷹の持つ細剣の先から電流が流れて1体のオークを襲う。

 碧鰐の振り抜いたバトルアックスから真空の刃が発生してオーク1体の腹部を切り裂く。

「ブヒッ!?」

「ブヒッブヒッ!?」

「ブヒー!」

 感電いた1体は動きを止め、腹部を裂かれた1体は蹲る。残り1体が3人に迫る。

「電圧を上げますわ。スパークショット!」

 次に放った翠鷹の細剣での刺突から迸った電流はオークを通って地面に流れる。

 プスプス

 と音を立て丸焦げになったオークが倒れ込む。


 感電していたオークと腹部を裂かれたオークも2人に迫る。

「アースクエイクぅ!」

 再び茶牛が地面をバトルハンマーで打っ叩くとオークのいる方向だけが激しく揺れた。

「ナイスですわ!スパークショット!」

「風刃!」

 腹部を裂かれたオークには細剣からの電撃が、若干痺れの残るオークにはバトルアックスからの真空の刃が襲いかかる。


 ものの数分で3体のオークを倒した3人。

「やれば出来るもんだなぁ。地震の発生方向を制限出来ただぁ。」

「ウチも弱い電圧なら遠くまで、強い電圧なら近くまでしか届かんようやわ。」

「オラァのはどんな振り方しても同じ強さの刃しか出ないみたいだな。甲蟲人との戦いの前に試せてよかったな。」

「ウチはもうちょい試したいわぁ。強さによる飛距離をもっと正確に測りたいし。」

「んじゃぁもうちょいオーク狩りするべぇ。ドランの食料にもなるしなぁ。」

 そう言って深い森の中へと進む3人。


 その後詳しく性能確認をしたところ、碧鰐のバトルアックスから出る真空の刃は射程距離10m程度、翠鷹の電流は軽く痺れさせる程度の威力であれば5m程、焦がすほどの電圧となると2m程の射程距離である事がわかった。

 そして茶牛のバトルハンマーの性能はずば抜けていた。地震の発生範囲だけでなくその指向性まで制御出来、その威力も軽い揺れから大地を割るまでに範囲を持っていた。

「やっぱり最下層で手に入れた言うだけあって茶牛はんのバトルハンマーが1番の性能やねぇ。」

「翠鷹の細剣だって中ボス倒した際にドロップ下って言うじゃないか。2m圏内なら焼き殺せるだけの電圧を放てるんだ。凄いもんだぞ。まぁオラァのは一見見劣りするが柄が伸びるって機能もあるしな。まぁまぁだろ。」

 バトルアックスを背負いながら碧鰐が言う。

「まぁみんなパワーアップしたって事だぁなぁ。ここに来ての戦力増強は素直に嬉しい話だべぇ。」

「そうやね。戦い方にも幅が出来ましたわ。」


 最終的には9体のオークを屠り、その肉を抱えて帰ってきた3人であった。


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