330話 聖都セレスティア29
神殿に戻った俺達は皆に魔道具の性能について説明した。
「なるほどな。で、バトルアックスは碧鰐、バトルハンマーは茶牛が持つって事でいいんだろ?」
銀狼が聞いてくるので2人を見やる。
「あぁ。オラァに使いこなせるかはわかんねぇけど、有り難く使わせて貰うよ。」
「儂も使わせて貰うだぁよぉ。大地母神様から授かった能力と合わせれば面白い事が出来そうだしなぁ。」
2人が言う。
「そう言えば大地母神から授かった能力とは何なのだ?」
金獅子が茶牛に問う。確かに今までの戦闘でそれらしい能力は使っていなかったように思う。
皆が興味津々の中茶牛が言う。
「儂の能力は地割れを起こすことが出来るんだぁよぉ。」
「地割れ?」
「あぁ。地面を割って、閉じるまでが能力だぁ。」
「なんか凄そうだな。何で今まで使わなかったんだ?」
銀狼が不思議そうに言う。
「今までは儂が戦場に着いた時には混戦が始まってたからなぁ。地割りなんか起こしたら敵味方関係なくおっこどしちまうさぁ。危なかろうやぁ。」
「うむ。それなら納得だな」
蒼龍が腕を組んで頷いている。
「ほなこれで茶牛殿は地震に地割れと2種類の天変地異を起こせるっちゅうこっちゃな?」
朱鮫が念を押す。
「そうだぁなぁ。そうなるわなぁ。」
「そら思っきり戦力増強やねぇ。いいやんいいやん。」
「でも使い時は注意が必要やねぇ。味方にまで影響が出るとなると使い処が難しそうやわぁ。」
翠鷹が言う。確かに。その通りだ。
「その辺りも含めて色々と考えてみるだぁよぉ。」
「ですね。使い処と使い方は追々って感じですかね。」
白狐が締めた。
それから俺は白狐を連れて夕飯の買い出しに来た。そろそろ作り置きのカレーも量が減ってきたからな。この辺りでまた大量に作って影収納内に格納しておこうと思う。
まずはタマネギを大量に購入する。中サイズのタマネギをひとまず100個。
次に茸類。エリンギ、マイタケ、シメジ、この前話題に出た浮茸なんかも仕入れる。
あとはトマトにニンジン、ジャガイモにカボチャなんかも買っておこう。
忘れちゃならないのがニンニクだな。こちらも大量に買い込んだ。
まるで業者の買い物のようになってしまい、
大銀貨が数枚飛んだが良いだろう。蓄えはまだある。
神殿に戻ってからは調理場を借りてカレーの仕込みを始める。
最近は白狐だけでなく、緑鳥も手伝ってくれる。野菜を切るにも相当な数なので助かる。
まずはタマネギ、ニンジン、ジャガイモ。食べやすい大きさにカットする。今回はタマネギもみじん切りにせずに食感を残すようにする。
鍋に油を敷いてオーク肉と潰したニンニクを炒める。どの道煮込むので肉の色が変わるくらいでいい。
で肉に火が通ったらタマネギ、ニンジン、ジャガイモ、茸類を投入。全体的に油が回るまで炒めたら水を入れて煮立ったら蓋をしてジャガイモが柔らかくなるまで煮込む。
で火が通ったらスパイス類を入れて、トマトを握り潰して入れる。こちらも潰すことで風味を立たせるのだ。
でとろみがつくまで煮込めば完成だ。
まず1鍋分が出来たので鍋に蓋をして影収納に入れる。
影収納の中は時間経過が止まるので次出した時には出来たてのカレーが食べられる訳だ。
カレー以外にもご飯の残量も気になっていたので鍋で炊きたてを用意してこちらも影収納に収めた。
お次は茸カレーを作る。
タマネギはやはり食べやすいサイズにカットしておく。
オーク肉をミンチ状にしたものとニンニクを鍋で炒める迄は一緒。茸カレーには挽肉が合うのだ。
で、その間に茸類を手で千切り食べやすい大きさに分ける。ナイフや包丁で切るよりも風味が出るので茸類は手で千切ることにしている。
肉に火が通ったら茸類を食べに入れて良く熱する。すると茸類こら水分が出てくるのでそれに合わせて導入する水の量を調整する。
ある程度煮込んだらスパイス類を入れて、こちらにもトマトを握り潰して入れる。
ジャガイモを入れないのでとろみは付かずサラサラのカレーが出来上がる。
三品目はまだ残っていたクラーケンの足を入れたシーフードカレーにする。
タマネギ、ニンジン、ジャガイモは食べやすいサイズにカット。蛸足も一口サイズにカットする。
シーフードなので敢えて肉は入れず、代わりに貝類をバターで炒める。
火が通ったらタマネギ、ニンジン、ジャガイモを投入。蛸足も入れて水を投入。
しっかり煮込んでからスパイス類を入れる。
こちらもとろみがついたら完成だ。
俺はどんどん鍋にカレーを作っていく。
出来たそばから影収納に収めて行き、具材が尽きる頃には鍋が20余り影収納に入った状態となった。
これだけあれば十分だろう。ご飯も同じく20余り炊きたてが収納されている。
そんなこんなで夕食時になり、今日の夕飯のカレーを皆の分よそう。
今日は贅沢に全部入りカレーだ。肉も蛸足も貝も茸も全部入れてみた。
肉は薄切りとミンチ肉を両方いれているので食感の違いも楽しめる一品に仕上がった。
皆が揃ったところで食べ始める。
全部入りカレーは複雑な味になっていてなかなかに美味かった。皆からも好評だった。
食後は自然と次の甲蟲人侵攻についての話題になる。
次は何処に攻め入られるのか。
毎回待ちの姿勢になるのがもどかしい。こちらこら攻め入れればいいんだけどな。
そんのこんなで夜になり、俺達はそれぞれにあてがわれた部屋に移動する。
俺はヨルジュニアと相部屋だ。
俺が布団に入るとヨルジュニアは俺の腹の上に乗って丸くなる。
さて、第3次甲蟲人侵攻に備えて気持を切り替えて行こう。
俺はヨルジュニアの寝息を聞きながら眠りについたのだった。




