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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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329話 聖都セレスティア28

 愚者の迷宮から戻った俺達をドランとヨルジュニアが熱烈に迎え入れてくれた。

 不在中の食事の世話は神殿の料理人に依頼しているのだが俺の姿を見ると2匹共に餌をねだってきた。

 ちょうど昼飯にいい時間でもあったのでドランにはオーク肉の焼き肉を、ヨルジュニアにはオーク肉のハンバーグを出してやる。

 見事に餌付けに成功してる訳だ。

 2匹共、無我夢中で餌を入れた皿にがっつく。

 平和なひとときだなと思ったものだ。


 その後俺達は会議室に集まり、今回の迷宮で入手した迷宮遺物を皆に見せた。

 宝箱から出てきた装飾の付いたバトルアックスと鵺を倒した時に得た細剣、ベヒーモスを象ったバトルハンマー、それにダンジョンシーカーのケレイブ達『不滅の牙』から譲り受けた、長さが伸びる片手剣と重さの変わる籠手。それに緑鳥が持つ最後に中に入れた物を高速で打ち出す筒である魔導砲。

 ケレイブ達から譲り受けた品々は魔道具としての効果も鑑定士により鑑定済みであるが、宝箱から出てきた二品については未鑑定だ。

「この伸びる長剣と重さの変わる籠手は銀狼と紫鬼へのお土産にちょうどいいと思ったんだ。」

「魔道具。魔剣か。有り難く使わせて貰おう。」

「ワシも手甲はあるが籠手は初めてじゃ。ありがとな。」

 2人は喜んでくれた。


「でバトルアックスと細剣、バトルハンマーについては1度鑑定士に見て貰った方がいいですよね?」

「そうだな。能力がわからん魔道具は危険だからな。」

 金獅子が頷く。

「聖都にも鑑定士はいるのか?」

「確か『ミラの鑑定所』と言う鑑定士がいる店があると聞きます。」

 俺の問いに緑鳥が答える。

「んじゃ、実際使う事になる碧鰐と翠鷹と茶牛を連れて俺が行って来るよ。」

「あ。なら私も一緒に行きますよ。」

「うむ。任せた。」

 蒼龍は魔道具の効果に興味はなさそうだ。

 結局俺と白狐、碧鰐と翠鷹、茶牛でその『ミラの鑑定所』を尋ねることになった。


 街に詳しい聖者に地図を描いて貰って向かった先は街の外れにあるボロ小屋だった。

 だが確かに看板には『ミラの鑑定所』との記載がある。場所は間違ってなさそうだ。

 中に入るとカウンターだけがあり、店としての広さは三畳ほどしかない。

 カウンターの中にはおもっいっきり雰囲気のある白髪の老婆が座っていた。

 俺はおそるおそる声をかける。

「ここは魔道具の鑑定してくれる店でいいんだよな?」

「ふぇっふぇっふぇつ。如何にも。ここは魔道具鑑定を生業としておる店じゃよ。」

 老婆は怪しく笑い答えてくれた。

「んじゃ早速鑑定を頼みたい。二品あるんだ。」

「ふぇっふぇっふぇつ。鑑定かぃ?いいよ。ちょっと待ってな。」

 そう言い残し老婆は店の奥へと消える。

 代わりに出てきたのは頭にゴーグルを乗せた、金髪をおさげに結んだ13歳くらいに見える子供だった。

「鑑定なんだろ?品を見せてくれなきゃ鑑定出来ないよ!」

「いや。お前誰だよ。子供に用はない。ミラを出してくれ。」

「あたしがミラだよ!こう見えても19歳の大人だよ!」

 こんなに小さいのに19歳だと?!隣を歩いてたら犯罪にしか見えないだろう。

「あ!今失礼な事考えてただろ!鑑定してやんないぞ!」

「あぁ。すまん。子供に見えたのでな。品はこちらの三品だ。」

 俺は影収納からバトルハンマーと細剣、バトルアックスを取り出してカウンターな置いた。

「ふーん。なかなか雰囲気のある魔道具だね。ちょっと待ってな。」

 ミラは頭に乗せていたゴーグルをはめて、まじまじとバトルアックスを見始めた。

「ふむふむ。ほぉー。なるほどなるほど。」

 1人呟きながらバトルアックスを検分するミラ。

 暫く待つとミラはゴーグルをまた頭の上にずらして言う。

「分かったよ。このバトルアックスは振るうことで真空の刃を生み出す事が出来る品だね。それに今は片手斧だけど、柄が伸びて両手斧になる品だ。2つの効果があるなんて珍しい品だね。良い品だ。」

「どうやって真空の刃を出したり両手斧にしてりするんだ?」

「魔道具について素人かい?魔道具ってのは使用者の意識を読み取るんだ。だから真空の刃を出そう。柄を伸ばして両手斧にしようと思えば反応してくれるのさ。こんな風にね。」

 そう言ってミラは手にした片手斧だったバトルアックスの柄を伸ばして両手で持てるように変形させた。

「おぉ!すげぇ!」

「ほぅ!両手斧にもなるのか。戦い方にバリエーションが出るな。」

 碧鰐もその能力に感動していた。


「そいじゃ次は細剣だね。」

 ミラは再びゴーグルをはめてバトルハンマーを検分し始めた。

「ふむふむ。ほうほぅ。なるほどね。」

 ミラはゴーグルをまた頭の上にずらして言う。

「こいつは雷属性を持つ細剣だね。持ち主の意識を読み取って雷撃を放つ事が出来る。」

 金獅子と同じような事が出来るって事かな。かなり強力な武器である事には間違いない。


「ンじゃ次はバトルハンマーの方だね。」

 ミラは再びゴーグルをはめてバトルハンマーを検分し始めた。

「どれどれ。ふむふむ。ほぉほぉ。ん?んん?え?あー。え?ほぉー。はぁー。なるほどなるほど。」

 1人呟きながらバトルハンマーを検分するミラ。

 暫く待つとミラはゴーグルをまた頭の上にずらして言う。

「こいつは凄いね。地震を起こせる力を持ってる。地面を叩く強さにもよるが最大で半径10km程の範囲に最大震度7までの地震を起こすことが出来るみたいだ。自然災害を引き起こす魔道具はレア中のレアだよ。いったいどこでこんな代物手に入れたんだい?」

 やっぱり地震が起こせる能力ってので間違ってなかったようだ。

「愚者の迷宮の最深部で手に入れたんだよ。」

 何でも無い事のように俺が言うと

「最深部?はんッ?最深部には伝説級の魔物が封印されてるって話だよ。到底人族には手が負えるもんじゃないさ。冗談はよしてくれよ。」

「いや。ホントなんだけど。」

 疑い深い目で俺達を舐めまわすように見るミラ。

「ホントに?最深部?」

「ホントに最深部。」

 1つため息を吐いてからミラが言う。

「ふぅ。まぁこの性能の魔道具が手に入ったんじゃ最深部って言われても納得だね。まぁいいや。三品の鑑定で金貨2枚だよ。」

 結構高い。特殊技能だから仕方ないか。俺は金貨2枚を支払う。

「また迷宮遺物を手に入れたら持ってきな。不要な物の買い付けも行ってるからね。」

 ミラのそんな一言を後ろに聞きながら俺達は『ミラの鑑定所』を後にしたのだった。


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