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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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320話 愚者の迷宮12

 地下87階を進む俺達の前にトロール、サイクロプス、ミノタウロスの混成群が現れた。

 俺達は目配せしてトロールを俺、サイクロプスを白狐、ミノタウロスを蒼龍が対処する事にした。


「王化!破王!!」

 白狐の右耳にしたピアスにはまった真っ白い石から、白い煙が立ち上り白狐の姿を覆い隠す。

 次の瞬間、煙は白狐の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく狐を思わせる真っ白いフルフェイスの兜と、同じく真っ白い全身鎧に身を包んだ破王の姿となった。

「王化!龍王!」

 蒼龍が言うと胸に下げたネックレスにはまる蒼色の王玉から蒼色の煙が吐き出される。

 その煙は体に吸い込まれるように消えていき、残ったのは龍をモチーフにしたような兜に蒼色の全身鎧を纏った龍王の姿となった。

「王化。聖王!」

 緑鳥が王化し、額に輝くサークレットにはまる緑色の王玉から緑色の煙を吐き出しその身に纏う。

 その煙は体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると緑色の鳥をイメージさせるフルフェイスの兜に緑色の王鎧を身に着けた聖王の姿となる。

「王化!夜王!!」

 最後に俺が叫ぶと左耳のピアスにはまる王玉から真っ黒な煙を吐き出しその身に纏う。

 その後煙が体の中に吸い込まれるように消えていくと猫を思わせる真っ黒な兜に、同じく真っ黒な全身鎧を身に着けた夜王の姿となる。

 俺は影収納から主力武器である黒刃・右月と黒刃・左月を取り出した。


 トロールは巨木とも言えるような棍棒を持っており、俺に向けて振り下ろしてくる。

「グオォォォォオ!」

 流石に受け止めるのは厳しいと見た俺は横に身を投げて躱すと、すぐさま立ち上がり、トロールへと迫る。

 トロールの身長は目算で5m程度。急所を狙うにはどうしても跳躍する必要があり、空中にいる間にあの棍棒で殴られる可能性かわ高い。

 仕方なく俺はまず足を潰す事にした。

 足元に近付く俺にストンピングを仕掛けてくるトロール。

 だがそう簡単には踏まれてやらない。

 俺は落ちてくる足を避けつつ、軸足に近くとアキレス腱目掛けて黒刃・右月と黒刃・左月を振るう。

 ザックリと軸足のアキレス腱を切断してやった。

「グギャアァァァア!」

 トロールは立っていられず膝立ちになる。これでも急所は3m程度の位置である。

 デカイ奴はやりにくい。


 俺は膝をついたトロールの足を足場にして駆け上がりその首筋に到着。逆手に握った黒刃・左月をその首筋に叩き付ける。

 斬った。が、浅い。

「フンゴッ!」

 トロールの横薙ぎに振るった棍棒が俺に迫る。俺は黒刃・右月を体の前に刺し入れて棍棒の直撃を避ける。

 が、棍棒の威力を殺せずに吹き飛ばされる。

 吹き飛ばされた先で壁を蹴り、壁に激突する事だけは避けたが、軽くクラクラする。

 相当な威力だ。そう何度も受けられるものではない。


 トロールはアキレス腱を斬られた事で歩けない。だから膝立ちのまま俺の方に向き直るだけ。

 俺はトロールに向けて駆け出した。

「フンゴッ!」

 振り下ろされる巨大な棍棒。

 それを横にズレる事で避けると再びトロールの足を足場に駆け上がる。

 まずは視力を奪うか。

 黒刃・右月で左眼を潰す。

「グゴオォォォォオ!」

 そのまま空中で回転して黒刃・左月でもう片方の右眼も潰す。

「グギャァァァァア!」

 両眼を潰されたトロールはやたらめったらに棍棒を振るう。


 その攻撃を避けつつ反撃の機会を覗う。

 トロールの棍棒が迫る。

 ギリギリで躱す。が、すぐさま戻ってきた棍棒に弾き飛ばされる。

 ぐっ!きちぃ。

 吹き飛ばされた先で壁を蹴り、トロールの顔面に近付く。

 その時振り下ろされた棍棒が俺の頭上に迫る。

 体を捻りながら棍棒を避ける。

 眼前に迫った俺はトロールの顔面を滅茶苦茶に切り裂く。

「グギャァァァァア!」

 トロールが喚く。


 まだ空中にいる間にトロールが振るった棍棒が俺を捕らえる。

 俺は黒刃・右月と黒刃・左月を交差させて直撃を避ける。が、また吹き飛ばされる。

 あぁ。何度も距離を離されるのはめんどくせえ。ダメージはそこまでではないものの、毎回吹き飛ばされるのは気持ちいいものではない。

 俺は壁を蹴り、トロールが棍棒を振り回す中に突入する。

 振り下ろされる巨大な棍棒。ギリギリで躱しながらトロールの首筋に到達。

 黒刃・右月と黒刃・左月を振り回してその場で回転する。

「グギャァァァァア!」

 首筋に幾筋もの剣閃が通る。ようやく動脈を切り裂いた俺はトロールの肩を蹴って距離を取る。

 吹き出す鮮血が辺りを染める。

 トロールは棍棒を片手で持ち直し、片手で首筋の傷を押さえる。

 俺は跳躍して逆の首筋に到達。黒刃・右月を突き立てる。

 こちらも動脈を切り裂いた。鮮血が舞う。

「グギャァァァァア!」

 首の両サイドを切り裂いたのだ。もう時間の問題だろう。

 トロールはそれでも棍棒を振り回す。その度に首筋から鮮血が舞う。

 棍棒を避ける俺にも血が飛び散ってくる。

 頭から大量の出血を浴びた。視界が赤く染まる。

 その中でドスンとトロールが倒れる音が聞こえた。

 どうやら力尽きたらしい。

 視界を覆う血液を拭う。


 時同じくして白狐がサイクロプスを、蒼龍がミノタウロスを撃破した。

 王化を解く俺に続いて白狐と蒼龍も王化を解いた。

「皆様、お怪我が。今癒やしの奇跡を。」

 緑鳥の持つ錫杖の先が光り出す。

「親愛なる聖神様、その庇護により目の前の傷つきし者達に癒しの奇跡を起こし給え。エリアヒーリング!」

 俺達3人に温かな光が降り注ぐ。

 みるみるうちに怪我が治っていく。

「やっぱり聖術はすげぇな。」

「あぁ。助かる。」

「敵の数が増えてきましたね。少し慎重に進みましょうか。出来るだけ戦闘は避ける方向で。」

「ですね。これ以上戦闘が続くと傷は癒やせても皆様の精神力が削られてしまいますし。聖術では疲労は回復出来ませんので。」

 って事でその後は慎重に敵がいる道を避けつつ下層を目指した。


 7日目は地下94階まで到達。

 あと2日。かなりギリギリになってきた。

 今日もハムサンドを囓りながら休息する。

 あぁ。から揚げ食べてぇな。


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