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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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316話 愚者の迷宮8

 全身から血を流した鵺が吼えまくる。

「ヒョウヒョウ!」

 鵺は相変わらず雷をあちこちに落とす。もう手当たり次第といった様子で狙っているとも思えないような場所にも雷は落ちている。

 唯一の救いは緑鳥のいる場所に迄は雷が届いていない事だ。


 俺と白狐は雷を避けながら鵺へと迫る。

「水撃・龍翔閃!」

 蒼龍は槍を突き出し、槍の先端から高圧の水撃を放ち鵺を牽制する。

 鵺は片足を無くしているとは思えないような機敏さで水擊を避け続ける。

 水擊を避けた拍子に俺の目の前に来た鵺。俺は黒刃・右月と黒刃・左月を振り抜き再び猿の顔を切り裂く。

「ヒョウヒョウ!」

 顔面から血を吹き出してよろめく。

 そこに白狐が攻め込む。

「抜刀術・飛光一閃!」

 高速で振り抜かれた刀により放たれた一閃は鵺の体を切り裂く。

「抜刀術・閃光二閃!」

 抜き身の白刃・白百合を目にもとまらぬ速度で振り上げると鵺の左後ろ脚を切り裂く。

「抜刀術・発光三閃!」

 その剣閃が通った先では鵺の体を切り裂いた。

「抜刀術・残光四閃!」

 一気に4度振るわれた刀により蛇の尻尾が千切れ飛ぶ。

「抜刀術・無光五閃!」

 1度に5度振るわれた白刃・白百合が鵺の左後ろ脚を切断した。


「ヒョウヒョウ!」

 残る四肢は左前脚と右後ろ脚だけだと言うのに鵺は飛び跳ねながら雷を落とす。

 バリバリバリバリッ

 本日3度目の感電。目の前が真っ白になった。耳も良く聞こえない。手足が痺れる。身動きが取れない。

 そんな感電中の俺に次々と降り注ぐ雷。何発くらった?いつになっても痺れが取れねぇ。

 そんな俺に温かな光が纏わり付くのを感じる。緑鳥の聖術だろう。

 暫くして視界が戻り体も動くようになった。

 ふと横を見れば白狐が感電している。鵺はますます雷を落とす。

 ちくしょー。まずはこの雷をなんとかしねぇと。

 俺は影収納から投擲用のナイフを3本取り出した。

「影縫い!」

 飛び跳ねていた鵺の影を縫い付ける。すると雨あられといった様子で降り注いでいた雷が止まる。

 そこにタイミングよく蒼龍が近付く。

「影縫い!影縫い!!」

 俺はさらにナイフを投擲して影を縫い止める。


「龍覇連突!」

 そこに蒼龍が高速の刺突の連続を浴びせる。そして鵺の体を穿った。鵺は内臓を溢しながらも影縫いを振り払うと後方に跳んで逃げる。

 だが、今がチャンスだ。

 俺は必至に追いすがると内臓を溢す傷跡に黒刃・右月と黒刃・左月を突き入れて傷口を広げる。

「ビョウビョウ!」

 猿顔から血を吹き出しながら鵺が残った左前脚で爪擊を放ってきた。

 ガギンッ

 もろに胸部に爪を受けたが王鎧によりダメージは軽減されている。だが一撃で王鎧が切り裂かれてるのがヤバい。だが、このまま押し切る。

 俺は更に懐に踏み込んで猿顔が繋がる狸の体の首を掻き切った。

 ドスンと音を立てて倒れる鵺。

 ピクリとも動かなくなった。どうやら倒せたらしい。


 感電していた白狐も緑鳥の聖術で復活したようだ。

 もう動かなくなった鵺の頭をザクザクと白刃・白百合で刺している。よほど雷に感電させられたのが気に入らなかったのだろう。

「倒せたようだな。」

 蒼龍が隣にやって来る。

「あぁ。蒼龍が腹に穴開けてくれたおかげだな。」

「いや、あれはお主が影縫いで動きを止めてくれたおかげだ。我1人では雷の降り注ぐ中、奴の素早い動きについて行けなかった。」

「それも白狐があいつの脚を切り飛ばしてくれたおかげだな。あれで多少なりとも動きが鈍った。」

 頭を刺すことに飽きたのか何か納得したのか刀を鞘に納めながら白狐も近寄ってきた。

「私も頑張ったんですけどね。最後の最後で感電させられちゃいました。」

「最後の方の雷はヤバかったな。ほぼ1面雷だらけだったし。」

「皆様、大丈夫ですか?回復が必要な方はいませんか?」

 緑鳥が駆け寄ってくる。

「黒猫が最後に爪擊を受けていたが?」

「あぁ。王鎧のお陰で傷は浅い。だが王鎧を切り裂くほどの爪擊だったのが驚きだったな。」

「ひとまず王化を解きましょうか。また王化が必要な相手が出てくるかもしれませんし。少しでも節約しましょう。」

 白狐が言って王化を解いた。

 俺達も王化を解いた。

「あぁ。黒猫様、胸元に傷が。今癒やしますね。」

 そう言うと緑鳥が錫杖を掲げて呪文を唱え始める。

「親愛なる聖神様、その比護により目の前の傷つきし者に癒やしの奇跡を起こし給え。ヒーリング!」

 温かい光が俺を包み込み、胸元の傷が塞がっていく。

「ありがとう緑鳥。助かる。」


 と言っているうちに広場の中央に宝箱が現れた。

「あ!討伐報酬じゃないですか?開けましょう開けましょう♪」

 白狐が宝箱に近付く。

「あれほどの相手だったのだ。期待出来そうだな。」

 蒼龍も宝箱へと近付いていくので、俺と緑鳥も後を追う。

「開けますよ?いいですね?」

 白狐が宝箱に手をかけて言う。

 俺達は頷いた。

 白狐が開けた宝箱には、一振りの細剣が入っていた。魔剣なんだろうか?よく分からないが翠鷹への良い土産になった。

 地下50階は広場以外に部屋もなく奥に真っ直ぐ抜ける道があり、その先には下層に降りる階段があった。

 だがもうヘトヘトだ。さっさと夕飯食べて休もうと言う事になった。

 幸いボス部屋だけだから他の魔物に襲われる心配も無い。久々にゆっくり寝れる。


 3日目にして地下50階。まずまずのペースだろう。まだ日にち的に余裕はある。

 さて、何階まで降りられるかな。


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