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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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312話 愚者の迷宮4

 地下20階を超えると出てくる魔物はDランク相当になってきた。

 今も俺達は大量のホブゴブリンと戦っている。

 ホブゴブリンはゴブリンの上位種で、緑色の皮膚はそのままに、子供の背丈程度だったゴブリンに比べ成人男性くらいに背の伸びた中鬼とも呼ばれる鬼種だ。

 手にしている武器も棍棒から長剣に変わり連携して攻撃を仕掛けてくる頭脳も持ち合わせている。

 しかし、言うてもDランク。俺達の敵ではない。

 白狐が白刃・白百合を振るうたびに死体の山が積み上がる。

 蒼龍が突き出す三叉の槍には穿たれたホブゴブリンの血肉がぶら下がる。

 俺の両手のナイフにも血がこびりついて切れ味が悪くなる。

 30体は倒しただろうか。やっとホブゴブリンの群れがいなくなった。

「ふぅ。弱い敵とは言え数が多いと疲れますね。」

「うむ。油断大敵だな。」

「お疲れ様でした。」

「ちょっと休憩しようぜ。」

 俺はホブゴブリンの死体で汚れた床を避けて腰を下ろす。

 3人も思い思いに腰を下ろした。


「どうする?あと8日間くらいは余裕があるけど何階まで目指すよ?」

「そうですね。行けるところまで行きたいですね。」

 白狐は白刃・白百合についた血を拭いながら言う。

「うむ。先頭頻度もちょうどいいし、良いトレーニングになる。」

 蒼龍は槍に付いたホブゴブリンの肉片を払いながら言う。

「地図はばっちりですから帰りは迷わずすぐ帰れそうですよ。」

 緑鳥が書いた地図を見せてくる。

「んじゃあと8日で行けるところまで行くか。」


 流石に20階を超えてくるとすれ違うダンジョンシーカー達も数を減らしていた。

 一般的な傭兵やダンジョンシーカーは大体がDランクかCランク程度なので20階くらいならまだ沢山いそうなものだが、その姿は少ない。

 それにソロのダンジョンシーカーの姿は見えなくなり、皆4~6人程度のパーティーを組んで挑んでいるようだ。

 この辺りでもAランクやらBランクの魔物が出没するらしいと別のダンジョンシーカーに忠告を受けた。

 やはり迷宮の封印が解けかかっているのだろうか。まだ低層階と言える20階にAランクがいるなんで普通はあり得ないのだ。


 この日はすぐに下層階への階段が見つかり、スムーズに降りてきている。

 まど昼前だがすでに俺達は地下25階にまで降りてきた。

 すると目の前に数体のトレントがいた。

 石造りの迷宮に木の擬態で存在しても逆に目立つってもんだ。

 トレントと言えばBランク。やはりココでも階層に似合わない高ランクの魔物が跋扈しているようだ。

 とは言えまだBランク。王化するまでもない。

 俺達は緑鳥を1人残し、3人でトレント殲滅に勤しむ。

 トレントと言えば地中から根を出して背後から攻撃してくる厄介な敵であるはずだが、石造りの迷宮においては根を張る事も出来ず、木の枝を伸ばして攻撃してくるのみ。

 思ったよりも全然楽に殲滅できた。


 むしろCランクのジャイアントスネークの大群の方が手間取った。

 なにせ迷宮の道幅いっぱいに巨大な蛇が蠢いているのだ。見ているだけでお腹いっぱいである。

 ただ道幅の狭い通路のため、巻き付きなどはあまり注意する必要はなく、迫り来る牙を避ければどうとでもなった。

 白狐によって切り刻まれた大量の蛇肉はドランのいい土産になったのであった。


 限られた通路しかない迷宮という特製上、大型の魔物よりも小型で武器を持つ人型の方が厄介かもしれない。

 小型とは言っても4m近いオーガが普通に歩けるだけの広さはあるが。

 って事でオーガが5体現れた。

 まだ下層階なのにBランクが群れで出てくるとか明らかにおかしい。

 が、目の前に現れた以上、相手をするしかない。

 今度は蒼龍が緑鳥の護衛として残り、俺と白狐で対処する。

 所狭しと棍棒を振り回すオーガを前に俺と白狐は跳躍して首元を狙う作戦に出た。

 しかし、俺の方は棍棒で邪魔された。迫り来る棍棒をナイフで受けるが、空中にいる為、棍棒を振る勢いそのままに吹き飛ばされた。

 吹き飛ばされた先で壁に足を着いてそのまま再び首元を狙って跳ぶ。

 ちょうど振り抜いた棍棒を戻して首ががら空きになっている。

 これ幸いと俺は首にナイフを突き立てる。

 動脈を切断。猛烈な勢いで出血するオーガ。首元を手で押さえるも出血は止まらない。

 あとは放っておいても絶命するだろうと思われたので、俺は別の個体へと向かった。

 こちらも近付く俺に棍棒を振り下ろしてくる。

 走りながら紙一重で避けた俺は棍棒を戻す前にオーガの眼前に跳躍。逆手に持った左手のナイフで右目を貫く。

「グガァァァァア!」

 わめき声を上げるオーガ。思わずといった様子で棍棒を持っていない方の手で右目を押さえる。そして眼前にいた俺を吹き飛ばそうと棍棒を振るう。

 俺はナイフを交差させてこれを受けると、また壁に着地。壁を蹴ってオーガの首元に跳ぶとナイフを一閃。

 太い首を切断とまではいかなかったが、動脈を切り裂き、首の半ばまでナイフを刺し入れた。

 迸る鮮血。もちろんかからないように移動済みだ。

 そんの感じで俺が2体のオーガを倒しているうちに白狐が残る3体を屠っていた。いずれも首を切断されている。

 よくもまぁあの太い首を刎ねられるものだと感心する。


 そんなこんなありながらこの日は地下40階まで進んだところで休憩を取ることにした。

 2日で40階、いいペースではなかろうか。


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