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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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307話 聖都セレスティア27

 第2次甲蟲人侵攻から聖都に戻ってきてからというもの、ドランとヨルジュニアがやたらと甘えてくる。

 先の戦いに連れていかなかったせいか、かまってちゃんになってしまったようだ。

 ドランは神殿の中庭に陣取っているのだが、体長はすでに2mを超えている。

 そんなドランがじゃれてくるので結構しんどい。乗りかかってきたり頭を擦りつけてきたりとかなり体力を使うのだ。

 だが、1日に3回、朝昼晩と構ってやらないと拗ねる。中庭の隅に行っていじけてる姿を見ると、さすがに可哀想で1日3回、王化継続時間の延長の特訓の合間に相手をしてやっている。


 ヨルジュニアと言えば四六時中俺の足元に擦り寄り、俺が座れば膝の上に、俺が横になれば腹の上に乗ってくる。

 こたらも構ってやらないと部屋の隅に行っていじけてくるので、ドランと戯れる以外にもヨルジュニアと戯れる時間を作ってやっている。

 今も猫じゃらしを使って遊んでやっている。

 エレメンタルキャットとは言ってもその本質は猫と変わらないようだ。


 エレメンタルキャットと言えばヨルジュニアの正体が分かってから神殿の図書室などで調べてみたが、やはり炎を吐いたり、水球を生み出したりと、精霊に近い存在らしい事は判った。だが、ヨルジュニアのように黒炎を吐いたり黒雷を操ったりと言った記載はどこにもなく、ヨルジュニアが特殊個体なのではないかと言う話になった。


 特殊個体とは魔物の中で言えばレッドゴブリンのような存在で、何かしらの突然変異で普通の魔物とは異なる性質を持つ個体の事である。

 レッドゴブリンだったらゴブリンのくせに体表が赤く火属性を操る、みたいな事である。

 ヨルジュニアで言えば黒炎、黒雷を扱う事から闇属性に寄った性質を持っているのではないかとの事。

 闇属性と言えば影属性もその一部であり、やはりヨルの面影をかなり強く持っている事になる。

 ただの偶然だろうか?もしかしてホントにヨルの生まれ変わりって事もあるのか?

 喋らないヨルジュニアに問いかけても答えは返ってこない。

 これで念話とか使えたら少しは何か分かるかもしれないが、まだその兆しは見えない。

 もっと成長すれば念話も覚えるかもしれないので気長に待つことにしよう。


 そんなこんなで毎日王化継続時間の延長の特訓に加えてドランとヨルジュニアと戯れる時間を作っているのであった。

 それは他のメンバーも一緒で祈りの間にて王化して特訓の合間にドランの元に行ってみたりヨルジュニアと遊んでみたりと2匹のご機嫌取りをしてくれている。


 そんな中で新たな問題が出てきた。

 ドランの食事に関してである。まだ食料庫や影収納の中には大量の肉はあるものの、商品化スピードからしてあと一月持つかどうかというところなのである。

 となれば肉の調達に行くしかない。

 肉屋で買うにはその量が多く、かなりの出費となるため、俺達は街の外に出てオークなりを狩ってくることにした。


 編成は、俺と白狐と紫鬼、金獅子と銀狼の二手に分かれた。緑鳥と藍鷲、朱鮫はお留守番である。緑鳥には各国に対しての書状を作製してもらっており、藍鷲と朱鮫は王化継続時間が1番短いので、特訓に励んで貰おうと言うことになったのだ。

 と言うわけで久々の3人での狩りとなった。


「懐かしいのぅ。3人での狩りなんてワイバーン依頼か?」

「まぁ、船の上で魔物討伐はしましたけど、狩りと決めて行動するのはワイバーン依頼かもしれませんね。」

「紫鬼が傭兵登録した時の事か?あれから随分経ったな。2年以上前になるのか。」

 俺達は聖都の西側に出て街道沿いを歩きながら話をしていた。

「あっという間の2年だったな。あの後すぐにマジックヘブンで橙犬に出会って、帝国では灰虎に出会って、で金獅子達と合流したのだったな。」

「えぇ。思えば長い付き合いになりますね。私達も。」

「あぁ。まさかこんなに長い付き合いになるとは最初は思ってなかったよ。ヨルと切り離されたらすぐにワンズに戻るつもりだったからな。」

「そう言えばヨルさんと魂が混ざり合ってたんでしたよね。なんだったんでしょうね。あれは。」

「普通は妖魔に乗り移られても魂は混在しても混ざり合う事はないって話だったよな。」

 俺は白狐に改めて聞いてみる。

「えぇ。普通は乗り移った方がもとの人格を取り込む形で消滅させてしまいますからね。同居って状態がそこまで長く続いてた事自体が特殊だったんですよ。」

 そんな事を話ながら街道を逸れて森の中に入る。

 ここはすでにオークの縄張りである事が木々へのマーキングの跡で分かる。

 奴らも動物のように自分達のエリアを主張するように木々に尻を擦りつけてマーキングする。

 だから木々を見ればオークが住んでいるかどうかが分かるそうだ。


 森に入って1時間もしないうちに3体のオークに出くわした。

 俺達は1人一殺として別れた。

 オークは手に刃の欠けた斧を持っていた。

 振り下ろされる斧を避けてそのまま背後に回り込む。

 肉が厚い為、首元を掻き切ったが、一撃では倒れず、2度目の攻撃で撃破した。

 5分もしないうちに3体のオーク肉が手に入ったのだった。

 それからも森を歩き回り、総数にして26体分のオーク肉、ハイオーク肉を手に入れた。

 成長著しいドランは1食で1体分のオーク肉を平らげる。だからそのまま26食分になる。結構な収穫だったので、この日は暗くなってきたので街に戻る事にした。


 それからも毎日、森に入ってオーク肉を狩る事を暫く続けたのであった。


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