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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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297話 甲虫人:鍬形3

 斬鬼形態へと変化した鬼王を見て甲蟲人:鍬形が訝しる。

「姿ガ変ワッタ?何ダ。変身たいぷノ戦士ダッタカ。」

 変身タイプの戦士。その言葉の意味を知るのはもっと先である。


 甲蟲人:鍬形が再び鬼王に向けて足を踏み出す。

 自身に1番のダメージを与えてくる相手を先に潰そうと考えているのだ。

 音を鳴らして巨大斧が振り抜かれる。

 しゃがみ込み巨大斧を避けるとまた懐に入ろうとする鬼王。しかし甲蟲人:鍬形も読んでいた。

 懐に入り込んだ鬼王に向けて蹴りを放ってくる。

 巨大斧を振り回しながらの蹴りの為、重心を巨大斧に持って行かれながらであるにも関わらず、その蹴りは重かった。


 両腕をクロスさせてこれを受ける鬼王。あまりの重さに後ろへと蹈鞴を踏む。

 その間にも甲蟲人:鍬形は後ろを振り返ると裏蹴りを放ってきた。

 腕をクロスさせていた所に再び衝撃を受けて鬼王が吹き飛ぶ。


 そこに駆け寄ったのは龍王。

 三叉の槍を振り回し高速突きを放つ。

 後ろを向いたままの甲蟲人:鍬形の巨大斧を持つ腕の肩口に弾かれる。やはり外殻が硬く突き刺さ事はなかった。

 三叉の槍を引いた所に賢王が走り込むと正確にかたぐちの関節部を完璧に捕らえて細剣を突き刺す。


 正確性と直高速の攻撃が賢王の権能だ。

「グッ!」

 関節部を突き刺された甲蟲人:鍬形は巨大斧を左腕持ち替え、振り向きざまに振るう。

 その時には賢王もすでにその場にはいない。

 甲蟲人:鍬形の右腕はだらりと垂れ下がっている。

 完璧な関節への攻撃により腱を傷付けられたのだろう。


 それでも甲蟲人:鍬形は鬼王を攻めた。

 左手に持ち替えた巨大斧が鬼王を襲う。

 バックステップで避けた鬼王であったが、甲蟲人:鍬形も避けられる事を想定していた。

 一歩踏み出して巨大斧の射程を伸ばす。

 咄嗟に右腕を掲げてガードした鬼王だったがそのあまりの威力に吹き飛ばされる。

 鬼王を吹き飛ばした甲蟲人:鍬形は遠心力を利用して再度回り込むと龍王に向けて巨大斧を振るう。


 龍王は三叉の槍を掲げてこれを受けるも威力を殺せず三叉の槍を弾かれてしまう。

 そこに三度遠心力を乗せた巨大斧の斬撃が迫る。

「喰らえ!」

 精霊王が風の矢を5本射った。

 風の矢は巨大斧に当たりその威力を軽減する。

 しかし、龍王は巨大斧を脇腹に受けて吹き飛ばされる。

「龍王!」

「蒼龍はん!」

 精霊王と賢王が叫ぶ。

 吹き飛ばされた先で龍王が立ち上がる。

「ふぅ。紺馬のおかげで威力が軽減されたようだ。王鎧を突破されるほどではない。」

 龍王が言いながら弾かれた三叉の槍を見やる。

 攻撃を受けた箇所が曲がってしまっていた。

 余程の威力が乗った攻撃だったようだ。

 二擊目も普通に受けていたら王鎧すら切断されていたかもしれない。

 精霊王の咄嗟の判断に感謝した。


 一方吹き飛ばされた鬼王も無事だった。

「紺馬に翠鷹よ。ワシの心配はないのか?」

 立ち上がりながら軽口を叩く鬼王。

「鬼王は頑丈だからな。心配はしていなかった。」

「そうですなぁ。紫鬼はんは頑丈やから。」

 精霊王に賢王は答える。

「寂しい事言うのう。いや、信頼の表れか?」

 そんな事をいいながら甲蟲人:鍬形との距離を詰める鬼王。

 だらりと下がった右腕側へとローキック、ミドルキック、ハイキックの3連蹴りを放つ。

 右腕を上げる事が出来ずにすべての蹴りを受けた甲蟲人:鍬形だったが、よろける事もなく代わりに重心を落として巨大斧を振り回した。

 左足を地につけたばかりの鬼王であったが、咄嗟に後ろに下がり巨大斧の刃を避ける。


 とそこに精霊王の風の矢が飛んでいく。

 巨大斧を振り回し4本の矢を撃ち落とした甲蟲人:鍬形であったが、撃ち漏らした1本が右肩に当たる。

「グガッ!」

 ダメージ受けた右肩への攻撃は思いのほか効いたらしい。

 よろめく甲蟲人:鍬形。

 そこをチャンスとみた賢王が甲蟲人:鍬形へと近付く。

 今度は左肩を狙って細剣を突き出したが、甲蟲人:鍬形の蹴りにより賢王は吹き飛ばされてしまう。

「翠鷹!」

「賢王!」

 鬼王と精霊王が声を上げる。

「ウチは大丈夫です!」

 吹き飛ばされた先で膝立ちになり声を上げる賢王。


「紫鬼よ。」

 吹き飛ばされた先から戻ってきた龍王が声をかける。

「どうした蒼龍。」

「先程の攻撃を受けた際に槍が曲がってしまった。ここからは我は武王化して手数で攻める。王化継続時間が短くなるのでな。お主には言うておく。」

「武王化か。わかった。」

 頷きあう龍王と鬼王。

「王化!武王!」

 龍王がそう叫ぶと右手親指にしたリングにはまる紅色の王玉から紅色の煙が立ちのぼり龍王を包み込む。

 その煙が右腕に吸い込まれるように消えていくと、右腕に紅色の線が入った王鎧を纏い、その手に燃えるような紅色の槍を持った龍王が立っていた。


「おぉ。それが武王形態か。」

 精霊王が変化した龍王の姿を見て声を上げる。

「それが噂の二槍使いの姿ですか。」

 賢王も声をかける。

「これで王化継続時間は半分になる。一気に攻めるぞ!」

 龍王が紅色の槍で甲蟲人:鍬形を突く。

「ム?!オ前モ変身たいぷカ。」

 甲蟲人:鍬形は左手に握った巨大斧で紅蓮の炎を纏った紅色の槍を防ぐ。

 だが短く持った三叉の槍を防ぐ事は出来なかった。

 ガギンッ!

 硬質な音を響かせて甲蟲人:鍬形の左肩に三叉の槍が当たる。

 しかし、関節部には入らず外殻に止められてしまった。

 甲蟲人:鍬形は巨大斧を振り回し、龍王を後退させる。


 皆一様に距離を取った状態になった。

 仕切り直しである。

 龍王達もダメージはあるものの、王鎧に守られている為、そこまで戦闘に支障はない。

 対する甲蟲人:鍬形は右腕をダラリと下げ、左手1本で巨大斧を操っている。

 今は龍王達の優勢である。

 あとは王化が解ける前に敵を倒せるかが問題となる。


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