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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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294話 甲蟲人:蟻8

 俺と白狐はひたすらに向かってくる蟻に対処していた。

 帝国軍兵士達も果敢に攻め込んではいるが硬い外殻に守られた蟻達を前に攻めあぐねていた。

「関節部が他より柔い!狙うなら関節部なしろ!」

 俺は大声で帝国軍兵士達にアドバイスを出す。

「なに者だ?アンタら?支援に来た傭兵か?この蟻に見える化け物どもを知っているのか?」

 1人の帝国軍兵士が問うてくる。

「あぁ。傭兵だ。前回の侵攻の際にもこいつらとは戦ってるんでな。多少は対応策を知っているのさ。」

 俺は蟻の首筋にナイフを突き刺しながら答える。

「前回って聖都が襲われた時か?そいつは心強いな。みんな!関節部を狙うんだ!関節部なら攻撃が通るぞ!」

 1人の帝国軍兵士も声を上げる。

 仲間の兵士が言うことならきちんと聞くらしく、そこからは帝国軍兵士達も蟻の関節部を狙って攻撃をし始めた。

 蟻の攻撃で倒される帝国軍兵士達と同数程度は蟻の数も減らせるようになった。

 だが、まだまだ敵の数は多い。

「クロさん!王化しましょうか。見た所他より押し込めている箇所が2箇所あります。きっと蒼龍さん達も王化して一気に敵の後方に出るつもりでしょう。」

「おう!やるか!」

 とそこに王化した姿の碧鰐も現れた。

「黒猫と白狐か!良かった。合流出来たな。まだ王化してないのか?」

「今からしようとしてたところだよ。」

「よし、オラォも加わるから一気に攻めようや。」

 俺は白狐を見やる。

 白狐も頷いている。


「王化!破王!!」

 白狐の右耳にしたピアスにはまった真っ白い石から、白い煙が立ち上り白狐の姿を覆い隠す。

 次の瞬間、煙は白狐の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく狐を思わせる真っ白いフルフェイスの兜と、同じく真っ白い全身鎧に身を包んだ白狐の姿となった。

「王化!夜王!!」

 左耳のピアスにはまる王玉から真っ黒な煙を吐き出しその身に纏う。

 その後煙が体の中に吸い込まれるように消えていくと猫を思わせる真っ黒な兜に、同じく真っ黒な全身鎧を身に着けた夜王の姿となる。

 黒猫は影収納から主力武器である黒刃・右月と黒刃・左月を取り出した。


「うぉぉぉぉお!」

 碧鰐も手斧を振り回して蟻の首筋を断った。

 やはり王化して身体能力が上がった分、蟻を倒す速度が違う。

 それに続いて王化した白狐が躍り出る。

 目にも留まらぬ抜刀術で蟻の首を刎ねる。

 俺も負けじと蟻に迫り、振り下ろされた長剣を黒刃・左月で受け流し、黒刃・右月を首筋に叩き込む。

 一撃で蟻を沈める俺達を見て帝国軍兵士達が口々に賞賛する。

「すげぇ。一撃だぜ。」

「ぱねぇ。甲蟲人があっという間に倒された。」

「やべぇ。超強ぇ。」

「見とれてないであんたらも手を動かしてくれよな!」

 俺は檄を飛ばす。

 弾かれたようにまた戦い出す帝国軍兵士達。

 長剣にバックラーを持つ者はバックラーで蟻の放つ長剣を受け、肘関節を狙って長剣を振るう。

 一撃では切断出来なくとも何度か繰り返すうちに長剣を持つ腕を切り離す。

 そうすると次は無手での爪擊を放ってくる蟻。その爪擊もバックラーで防ぎ、同じように肘を狙う。

 両腕を失った蟻は最後に強靱な顎を使った噛みつきを放ってくる。

 剣を噛まれた兵士はその剣を顎で砕かれて武器を失い、後方へと逃げ帰っていった。武器の予備でも後方にあるのだろう。

 バックラーで殴りつける兵士もいる。

 だが外殻が硬い蟻にはさほどダメージを与えられていない。

 頭突きでバックラーを弾かれて隙が出来たところを首筋を噛まれて絶命する兵士もいた。

 長剣での攻撃よりもあの顎での噛みつきの方が厄介かもしれない。

 俺は剣を噛み砕かれた兵士と蟻の間に入り、蟻の首を刎ねる。

「後方に武器のストックがあるんだろ?取ってこいよ。あんたが抜けたところで変わりはない。まずは武具を揃えて復帰してくれ。」

「あぁ。すまない。助かった。」

 兵士は後方へと下がっていく。

 そんな感じで帝国軍兵士達のフォローもしながら蟻を次々と屠っていく。

 そろそろ敵の後方が見えてきそうだ。

 蟻を抜ければ敵将が待っているだろう。

 俺達はひたすらに蟻退治に勤しんだ。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 王化した龍王、鬼王、精霊王、賢王の働きにより、甲蟲人:蟻はどんどんと撃ち倒されていく。

 帝国騎士団の面々の働きもあり、敵への進行速度は増していた。

 ラクサルスは的確に甲蟲人:蟻の長剣により斬撃を騎士盾で受け止めて騎士剣による反撃を行っている。

 レボセチリジンはランスを突き出し攻防一体の攻撃を放ち、向かってくる甲蟲人:蟻の手足をもいだ。

 ランスの直撃を腹に受けた甲蟲人:蟻などは上半身と下半身を2つに分けられていた。


 レボセチリジンは女でありながら3mもの長大なランスを振り回して次々に甲蟲人:蟻を屠っていく。

「あのランス使い、なかなかやるな。」

 甲蟲人:蟻の頭をワンパンで爆散させながら鬼王が賢王に声をかける。

「えぇ。ランス言うのはあまり法国では使こうてなかったんですが、突貫力が凄いですなぁ。今度法王陛下に導入を検討して貰いましょ。」

 自身も正確無比な細剣でも刺突を放ちながら賢王が答える。


 そんな帝国騎士団の働きもあり、いよいよ敵の後方に抜けた。

「最後尾に出たぞ!敵将を探せ!」

 ラクサルスが声を張り上げる。

 しかし、龍王達は敵将の放つ異様な圧力を感じ取っていた。

「あちらだ。敵将はあっちの方角にいる。」

 静かに龍王がラクサルスに言う。

 ラクサルスが目を凝らすと確かに敵後方に1つの影があった。

 その周りはまるで陽炎のように揺らめいている。

 敵将の放つオーラによって景色が歪んで見えるのだ。

「敵将発見!騎士団突撃!」

 ラクサルスの掛け声により帝国騎士団の面々が殺到する。

 そこには巨大な片手斧を担いだ甲蟲人:鍬形(くわがた)の姿があった。


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