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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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293話 甲蟲人:蟻7

 金獅子と銀狼も果敢に攻め込んでいる。

 長剣による斬撃を受け、弾いて斬撃を返す。

 銀狼は関節部を狙って攻撃を繰り出すが金獅子は構わず外殻に覆われたきょうぶに斬りつける。

 金獅子ほどの膂力があれば多少硬い外殻すらも破砕する事が出来る。


 金獅子の攻撃を受けて吹き飛ぶ甲蟲人:蟻。周りの甲蟲人:蟻も巻き込んで倒れていく。

 しかし、一切の感情を見せずにまた立ち上がり長剣を振るってくる。

「こいつらはなんなのだ?!まったく怯む様子もないぞ。」

「まるでゴーレムだな。戦う事しかインプットされていない、感情のない殺戮兵器と言ったところか。」

 金獅子の嘆きに銀狼が答える。

「敵将は…まだ見えんな。」

「あぁ。ひたすら蟻を潰すしか無さそうだな!」


 迫り来る甲蟲人:蟻の攻撃を避けながら会話を続ける2人。

 そこに新たな仲間が合流する。

「あれぇ。蒼龍じゃなくて金獅子達だったかぁ。」

 茶牛である。

 手にしたハンマーで甲蟲人:蟻の頭を殴り、首に頭を埋めていく。

 それでも動き続ける甲蟲人:蟻に再びハンマーを振るいその上半身を達磨落としのようにブチ抜く。


 ドワーフである茶牛も凄まじい膂力をしていた。

「蒼龍を目指してたんだけどなぁ。敵を押し込んどる場所にいると思ったんだが、場所が違ったかぁ。」

 のんびりとした口調ながらも合間に甲蟲人:蟻を次々と屠りながら茶牛が言う。

「茶牛か。もうすでに皆戦場に集まったところか?」

「儂は紫鬼と一緒に来ただよぉ。その後碧鰐達が来とるはずだぁ。」

「碧鰐も来ているか。なら緑鳥達の護りは問題ないな。」


 そんな会話をしている中、大地が震える振動をもたらす大爆発が敵の後方で起こった。

「なんだ?」

「朱鮫だろう。とっておきの爆裂魔術があると言っておったしな。」

 銀狼の疑問に金獅子が答える。

「しかし、王化せんと爆裂魔術は使えんかったはず。あやつはもう王化しておると言う事だな。」

「どうする?オレらも王化して一気に攻めるか?」

「儂もそろそろ王化した方がいいかと思ってたんだぁ。」

「よし、王化して一気に攻め込むか!」

 金獅子は叫ぶ。


「王化!獣王!」

 金獅子が声を上げると、右手中指のリングにはまる金色の王玉から金色の煙を吐き出しその身に纏う。

 次の瞬間、その煙が吸い込まれるように体の中に消えていき、煙が晴れると獅子を想起させるフルフェイスの兜に金色に輝く王鎧を身に着けた獣王の姿となる。

「王化!牙王!」

 銀狼が声を上げると、左手中指のリングにはまる王玉から銀色の煙を吐き出しその身に纏う。

 その煙は体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると狼を象ったフルフェイスの兜に銀色に輝く王鎧を身に着けた牙王の姿となる。

「王化。地王。」

 茶牛が言うなり右手小指にしたリングにはまった茶色の石から、茶色の煙が立ち上り茶牛の姿を覆い隠す。

 次の瞬間、煙は茶牛の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく牛を思わせる茶色のフルフェイスの兜と、同じく茶色の全身鎧に身を包んだ地王の姿となる。

 王化した3人の敵を殲滅する速度が上がった。

 長剣による攻撃を受け流し、一撃で敵を沈めていく。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 帝国騎士団の参画によって敵の殲滅速度が向上した蒼龍達。

 そんな中にまた1人仲間が合流した。紫鬼である。

「おぉ!蒼龍。ここにいたか。紺馬に翠鷹もいるじゃねーか。ワシの勘もさえとるな!」

 甲蟲人:蟻の頭を殴りつけながらの登場である。

「紫鬼か。これで4人か。今なら王化して一気に敵の後方まで進めるかもしれんな。」

「ウチも同じ事考えてましたわ。王化して一気に畳みかけましょ。」

「うん。ワタシもそう思っていたぞ。」

 翠鷹と紺馬も同意見だと主張する。


「では行くぞ!王化!龍王!」

 蒼龍が言うと胸に下げたネックレスにはまる蒼色の王玉から蒼色の煙が吐き出される。

 その煙は体に吸い込まれるように消えていき、残ったのは龍をモチーフにしたような兜に蒼色の全身鎧を纏った蒼龍の姿となり駆け出した。

「王化!鬼王!剛鬼!」

 紫鬼が王化し、右腕にしたバングルにはまる王玉から赤紫色の煙を吐き出しその身に纏う。

 その煙刃体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると額に2本の角を持つ鬼を象った赤紫色のフルフェイスの兜に赤紫色の王鎧を身に着けた鬼王の姿となる。

「王化!精霊王!」

 紺馬が王化し、左手薬指のリングにはまる王玉から紺色の煙を吐き出しその身に纏う。

 その煙は体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると馬を象った紺色のフルフェイスの兜に紺色に輝く王鎧を身に着けた精霊王の姿となる。

「王化!賢王!」

 翠鷹が王化し、右手薬指のリングにはまる王玉から翠色の煙を吐き出しその身に纏う。

 その煙は体の中に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると鷹を象った翠色のフルフェイスの兜に翠色に輝く王鎧を身に着けた賢王の姿となる。


 それを見ていた帝国騎士団副団長のラクサルスは度肝を抜かれた。

「なに?!いきなり鎧姿になっただと?これが神の加護って奴なのかい?」

 これには1番近くにいた賢王が答えてやる。

「えぇ。これが神の加護。王化いいます。ただの鎧やのうて身体能力もアップするまさに神の御業ですわ。」

「身体能力の上がるのか。そいつは心強いな。」

「ほな、一気に殲滅しますよ。」

 龍王が三叉の槍で敵の首を穿つ。

 鬼王が敵の頭を爆散させる。

 精霊王が風の矢を放ち敵の頭を射貫く。

 賢王が鋭い突きを放ち敵の首を貫く。

 ラクサルスが呟く。

「ははっ。なんだその力は。我ら帝国騎士団ですら手こずるってのに一撃で沈めるのかよ。半端ねーな。」


 一気に殲滅速度を上げた龍王達。

 敵の後方に抜けるのも時間の問題に思われた。

 しかし、甲蟲人:蟻の数はまだ一万弱。

 敵将の姿はまだ見えない。


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