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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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275話 恋バナ2

 女性陣が女性陣で集まって話をしているように、男性陣は男性陣で固まって会話する機会が増えた。

 そんな中、金獅子が不意にこんな事を言い出した。

「そう言えば俺様含めこのメンツには独身者ばかりだな。結婚してるのは碧鰐くらいか。」

 それに対して碧鰐が言う。

「黒猫もだろ?白狐とそう言う関係だと聞いたぞ。」

「む?そうであったな。すっかり忘れておったが2人は夫婦だったな。そう言えばどうやって2人は知り合ったのだ?神徒探しの前からの知り合いだったのだろう?」

「あ、わたしも興味ありますね。」

 藍鷲も話に乗ってきた。

「そう言えば2人の出会いについて聞いてなかったな。」

 銀狼まで話に乗ってきた。茶牛もすっかり話を聞く体勢だ。


 そこで俺は白狐との出会いについて簡単に話した。

 盗賊稼業で忍び込んだ家の護衛依頼を白狐が受けており、深夜の民家の屋根の上が初めての出会いだった事。

 まずは斬りつけられた事。

 逃げてから妖気を辿って追い掛けて来た事。

 そして責任を取れと言われた事。

 そしてカレーをご馳走した事まで。

「なぁ、それって結婚を迫られたのか?責任取って飯食わせろって事だったんじゃないのか?」

 銀狼が言う。

「むぅ。俺様もそう聞こえたな。直接結婚しろとは言われてないのだろ?」

 金獅子に聞かれた。

「いや。確かに結婚しろとは言われてなかったな。責任取ってとしか。」

「じゃあ、何か?黒猫はその言葉を勘違いして白狐にプロポーズしたのか?」

 碧鰐が言う。

「勘違い?…だったのか?」

 俺は首を傾げる。

「でもその後、確かに責任取るって言いましたよねって話になって今に至るんだが?」

「むむぅ。男と女の機微は難しいだぁなぁ。」

 茶牛も首を捻る。

「あ、でも今はお2人は夫婦として一緒にいるんですもんね?プロポーズは成功って事ですよね!」

 藍鷲が言う。

「あぁ。今は夫婦って事になってるぞ。アイツも普段から旦那様って俺の事呼ぶし。」

「勘違いで嫁を貰ったか。まぁ、それはそれでありだな。」

 金獅子が笑う。

「確かに。独身者がどうこう言う話じゃないか。」

 銀狼も釣られて笑う。

 それに合わせて皆に笑われた。

 なんか俺が勘違いでプロポーズした事になってるけど、俺は間違えてないよな?

 あれ?勘違いだったのか?


 ひとしきり笑われた後、銀狼が碧鰐に聞いた。

「じゃあ碧鰐の馴れそめはどんなだったんだ?」

「オラォの馴れそめか?そんな聞いても面白いもんじゃねーぞ?」

「いいから聞かせろよ。皆も聞きたいだろ?」

 銀狼が尚も聞く。

「あ、わたしも聞きたいです。」

「うむ。黒猫のを聞いた後だからな。碧鰐のも聞かせてくれ。」

 藍鷲と金獅子も聞く体勢だ。

「そうだよ。人の馴れそめ聞いたんだからお前も話せよ。」

 俺も言うと渋々と言った様子で碧鰐が話し始めた。

「そうだな。何から話そうか…。」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 碧鰐は元々モードの村の出身であり、16歳までは村で育った。

 隣に住む音々(ねおん)とは歳は違うが幼い頃からの馴染みであった。

 だが、碧鰐が16歳の夏、畑仕事に嫌気を刺した碧鰐は心機一転、傭兵となるべく首都モリノへと旅立った。


 それから10年間、傭兵として力を付け、Cランクにまで昇った碧鰐は同ランクの数人で傭兵団を組んでいた。

 そんな中で1件の依頼の話が舞い込んできた。

「ゴブリンの討伐だってよ。ここから北にあるモードの村だって。」

「モードの村って言ったら碧鰐の出身地じゃなかったか?」

 仲間の問いかけに碧鰐が答える。

「あぁ。でも傭兵になって10年間帰ってないな。」

「10年間帰ってないだって?こんなに近いのに?」

「逆だよ。近いからこそ、いつでも帰れるから帰ってないだけさ。」

「バカ言っちゃいけねーよ。オレみたいに旧王国領に実家があるような奴は帰りたくても遠くてなかなか帰れねーんだ。帰れる時には帰った方がいいぞ。」

「そうだよ。んじゃ碧鰐の里帰りのついでにゴブリン退治でも請け負うか。」

 仲間達に言われた。

 碧鰐もゴブリン退治と聞いて実家が大丈夫か、少し心配になっていたところだったので仲間達の申し出は受ける事にした。


 10年振りに実家への帰省となった碧鰐。

 モードの村は度重なるゴブリンの襲撃により村民は疲れ果てていた。

 碧鰐の父親もゴブリン退治に駆り出されて実家の畑は母親1人で対応している程だった。

 村の若い女がすでに4人連れ去られたらしい。

 だがゴブリンの巣に攻め込めるだけの戦力もなく、村長は渋々ながら傭兵に依頼する事になったらしい。


 そんな中で碧鰐は音々と再会した。

 碧鰐が26歳になる年に、音々は23歳になっていた。

「あら?碧鰐じゃないのさ。覚えてる?私、音々だよ。」

 村を出るときにはまだ幼かった幼馴染みがすっかり大人の女性になっており、村でも1、2を争う美人になっていた。

 碧鰐は内心、あのはな垂れ娘が目の前の美女になっている事に驚きつつ、再会を喜ぶ音々と話をした。

「ゴブリンに襲われて村が大変なときに、まさか、来てくれた傭兵が碧鰐だなんてね。大丈夫かしら?」

「大丈夫かって何だよ。オラァもうCランクの傭兵だぞ。ゴブリン如き敵じゃねーわ。」

「そうなの?Cランクだなんて凄いじゃない。」

 素直に驚きつつ、喜んで話を聞いてくれる音々。


 そんな再会を喜んだ日の夜、村は今まで以上の数のゴブリン達の襲撃にあったのだった。


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