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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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274話 恋バナ1

 白狐と翠鷹、紺馬の3人は王化の特訓の合間に集まってよく話をする中になっていた。


「そーいえば白狐はんと黒猫はんはどうやって知り合おうて夫婦になったん?」

 翠鷹が白狐に問う。

 黒猫が盗賊である事は2人には伏せている為、ありのままを話すのは躊躇われた。

 そこで、

「あー、クロさんってば元々殺し屋やってたじゃないですか?そのターゲットが私が護衛依頼を受けた人でしてね。クロさんのおかげで私の傭兵としての仕事がなくなっちゃったんですよ。」

 少し事実とは異なる話にして出会いについて話す白狐。


「私もクロさんを追い詰めたんですけど、当時はヨルさんという化け猫にクロさんは取り憑かれてて、影移動って術で逃げられちゃったんです。」

「追い詰めたって事は2人は戦ったのか?」

 紺馬が尋ねる。

「いえ。刃を交える事無く、私の剣閃を避けて逃げて行きました。初見で剣を避けられたのなんて久しぶりでしたからね。ちょっと興味を惹かれまして。」

「白狐はんの剣を避けるなんて当時から黒猫はんもなかなかやり手やったんやねぇ。」

「えぇ。王化もせずにその反応でしたからね。それでヨルさんの妖気を追ってクロさんの住み家に押しかけたんです。」

「あら。いきなり家に押しかけるなんて白狐はんもなかなかやりますなぁ。」

「で、黒猫はどうしたんだ?」

 興味津々と言った様子で続きを聞きたがる紺馬。


「えぇ。最初は戦闘になると思ったのか身構えていたんですが、クロさんのせいで傭兵の依頼が失敗して、文無しになってしまった私が、責任取って食事を奢って欲しいと言ったんです。」

「食事を奢れと。なかなか白狐はんも図太いですなぁ。」

「まぁ、ホントに文無しで、暫くご飯を食べてませんでしたからね。」

「それでどうなったのだ?」

 先を聞きたがる紺馬。


「それで責任取ってって部分を勘違いしたクロさんからプロポーズを受けまして。」

「勘違い?」

「黒猫はんが勘違いしてプロポーズしたんです?」

「えぇ。責任取って結婚すると。で、カレーをご馳走になって、それから一緒に行動するようになったんです。」

「勘違いからのプロポーズやて…。」

「何だ。恋愛感情はなかったのか?」

 疑問を口にする紺馬。


「いえ。私の剣を初見で避けた人ですからね。興味は惹かれてましたよ。それに私も長生きしてましたからたまには結婚するって言うのもありかなと。」

「そんな理由で結婚ですか。」

 驚く翠鷹。

「交際期間0日婚か。」

 紺馬も驚いていた。


「ふふっ。でもそれから一緒に旅をして、紫鬼に出会って神徒探しに行くことになってと、色々ありましたが、今の私のクロさんに対する愛情は本物ですよ。」

「あらま。妬けますな。」

「愛情か…。」

 思うところがありそうな紺馬。


「そう言うお2人はどうなんですか?恋愛の方は?」

「ウチはもう結構な歳やからねぇ。そりゃ若い頃は恋愛もしましたけど、最近はねぇ。こんなおばちゃん相手にしてくれる殿方はいまへんわ。」

「若い頃に結婚の話とかなかったんですか?」

「そりゃ長いこと付き合うてたら何度かそんな話も出ましたけどね。でも、ウチには軍師として、軍を率いてる方が性に合ってましたわ。」

「そうか。結婚より軍師としたの立場を選んだ訳か。」

 思案顔で頷く紺馬。


「まぁ結婚だけが幸せじゃないですもんね。」

「そやね。ウチには結婚は無理やったわ。で紺馬はんはどうなん?」

 急に話を振られて慌てる紺馬。

「ワ、ワタシはまだ82歳だからな。恋愛とかは、まだ早いと言うか。」

「そうかぁ。エルフと言えば100歳以下は人間で言う十代くらいやったね。でも十代なら十分恋愛しててもおかしくないんとちゃう?」

「ワ、ワタシは戦闘要員だからな。そんな恋愛などに、かまけている場合ではないと言うか。」

 しどろもどろな紺馬。


「戦闘要員だからって恋愛するなとは誰も言わないでしょう。その様子だと初恋もまだですねぇ?」

 白狐がからかうように言う。

「ワ、ワタシはそんな恋愛なんかとはほど遠いと言うか、まだ早いと言うか。」

「恋愛したらええやん。そや、蒼龍はんとかどうなん?お互い長命種やし、武人同士で気が合うんとちゃう?」

「そうですね。蒼龍さんならそれなりに歳も重ねてますし、リードしてくれますよ。」

「な、何を言っている。ワ、ワタシが龍王と?龍王と付き合うと言うのか?そんな事あるわけないだろう。」

「ないですかねぇ。」

「ウチはありやと思うけどなぁ。」

「ワ、ワタシが龍王と…。龍王と付き合う?」

 独り言のように呟く紺馬。


「あら。思ったより脈ありって感じやねぇ。」

「今度それとなく蒼龍さんにも聞いてみましょうか。」

「な?!よ、余計な事はしなくていい。」

 顔を赤らめて拒否する紺馬。

 これはホントに脈ありな雰囲気である。

「まぁ蒼龍さんと、って言うのは置いておいても紺馬さんも、まだ早いとか言ってないで恋愛してみるのもありですよ。」

「そうやで。エルフが長命や言うてもほっといたらあっという間におばちゃんになってまうで。」

 白狐と翠鷹に後押しされる紺馬。タジタジである。

「ま、まだワタシには早い。そんな龍王とだなんて、まだ早い!」

 そんな感じでガールズトークは盛り上がるのであった。


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