255話 甲蟲人:甲虫1
朱鮫が敵将の姿を捕らえた。
その頭には付いた立派な角が甲虫型の甲蟲人である証拠である。
甲蟲人:甲虫も蟻同様に胴体部分から延びる脚と、胸部から出る4本の腕を持っていた。
蟻と異なるのは脚は胴体から出ている事だろうか。
そして何よりもその外殻が鈍く輝いていた。
これは蜚蠊にも見られた事であり、その外殻がアダマンタイトに匹敵する硬度を持つことを現していた。
そして何よりも目を惹くのは左腕に持ち肩に掛けた大剣である。
その大剣は金獅子が持つような幅広の長大な剣であり、そんな物を片手で持ち上げている事からも凄まじい膂力を持つことが窺える。
そんな敵将、甲蟲人:甲虫は甲蟲人:蟻達が倒れていくのも気にせずに歩みを進める。
朱鮫の魔術で倒れた甲蟲人:蟻の死骸をも踏み越えて信神達へと近付いてくる。
「敵の数が多すぎます!王化して一気に減らしましょう!」
「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」
白狐の声に皆が一様に声を上げた。
「王化!破王!!」
白狐の右耳にしたピアスにはまった真っ白い石から、白い煙が立ち上り白狐の姿を覆い隠す。
次の瞬間、煙は白狐の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく狐を思わせる真っ白いフルフェイスの兜と、同じく真っ白い全身鎧に身を包んだ白狐の姿となった。
「王化!獣王!」
金獅子が声を上げると、右手中指のリングにはまる金色の王玉から金色の煙を吐き出しその身に纏う。
次の瞬間、その煙が吸い込まれるように体の中に消えていき、煙が晴れると獅子を想起させるフルフェイスの兜に金色に輝く王鎧を身に着けた獣王の姿となる。
「王化!牙王!」
銀狼が声を上げると、左手中指のリングにはまる王玉から銀色の煙を吐き出しその身に纏う。
その煙は体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると狼を象ったフルフェイスの兜に銀色に輝く王鎧を身に着けた牙王の姿となる。
「王化。仁王。」
碧鰐が声を上げると、右手人差しのリングにはまる王玉から碧色の煙を吐き出しその身に纏う。
その煙は体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると鰐を想わせるフルフェイスの兜に碧色の王鎧を身に着けた仁王の姿となる。
「王化!龍王!」
蒼龍が言うと胸に下げたネックレスにはまる蒼色の王玉から蒼色の煙が吐き出される。
その煙は体に吸い込まれるように消えていき、残ったのは龍をモチーフにしたような兜に蒼色の全身鎧を纏った蒼龍の姿となり駆け出した。
「王化。地王。」
茶牛が言うなり右手小指にしたリングにはまった茶色の石から、茶色の煙が立ち上り茶牛の姿を覆い隠す。
次の瞬間、煙は茶牛の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく牛を思わせる茶色のフルフェイスの兜と、同じく茶色の全身鎧に身を包んだ地王の姿となる。
「王化!鬼王!剛鬼!」
紫鬼が王化し、右腕にしたバングルにはまる王玉から赤紫色の煙を吐き出しその身に纏う。
その煙刃体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると額に2本の角を持つ鬼を象った赤紫色のフルフェイスの兜に赤紫色の王鎧を身に着けた鬼王の姿となる。
「王化!精霊王!」
紺馬が王化し、左手薬指のリングにはまる王玉から紺色の煙を吐き出しその身に纏う。
その煙は体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると馬を象った紺色のフルフェイスの兜に紺色に輝く王鎧を身に着けた精霊王の姿となる。
「王化!賢王!」
翠鷹が王化し、右手薬指のリングにはまる王玉から翠色の煙を吐き出しその身に纏う。
その煙は体の中に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると鷹を象った翠色のフルフェイスの兜に翠色に輝く王鎧を身に着けた賢王の姿となる。
「王化!夜王!!」
左耳のピアスにはまる王玉から真っ黒な煙を吐き出しその身に纏う。
その後煙が体の中に吸い込まれるように消えていくと猫を思わせる真っ黒な兜に、同じく真っ黒な全身鎧を身に着けた夜王の姿となる。
黒猫は影収納から主力武器である黒刃・右月と黒刃・左月を取り出した。
「王化。法王。」
朱鮫が声を上げると、左手人差しのリングにはまる朱色の王玉から朱色の煙を吐き出しその身に纏う。
その煙は体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると鮫を想わせる朱色のフルフェイスの兜に、同じく朱色の王鎧を身に着けた法王の姿となる。
「王化。魔王。」
藍鷲が言うなり左手小指にしたリングにはまった藍色の石から、藍色の煙が立ち上り藍鷲の姿を覆い隠す。
次の瞬間、煙は藍鷲の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく鷲を思わせる藍色のフルフェイスの兜と、同じく藍色の全身鎧に身を包んだ魔王の姿となる。
「王化。聖王!」
緑鳥が王化し、額に輝くサークレットにはまる緑色の王玉から緑色の煙を吐き出しその身に纏う。
その煙は体に吸い込まれるように消えていき、煙が晴れると緑色の鳥をイメージさせるフルフェイスの兜に緑色の王鎧を身に着けた聖王の姿となる。
「碧鰐はんは緑鳥はんと藍鷲はんの回りに障壁を展開してらくんなまし。出来る限り堅牢なやつをお願いします。」
「あ。ワイも入れてぇーな。」
翠鷹に言われて碧鰐は3枚×四方の障壁を緑鳥、藍鷲、朱鮫の周りに展開した。
障壁は直物理攻撃を弾くが魔法、魔術は通すため、3人の戦いに支障は無い。
残るは障壁は4枚だ。
「よし!まずは蟻の殲滅を第一に!敵将が近付いてきたら近くの4人は敵将の相手をするぞ!」
金獅子が声を上げる。
甲蟲人:甲虫までの距離、あと300m。




