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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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252話 旧王国首都ワンズ5

 今日も今日とて王化持続時間延長と影縫いの特訓に励む俺。

 ここ数日の特訓の成果として王化持続時間が2時間10分に延伸した。

 影縫いの方はまだダメだ。

 イメージは出来てるはずなんだがあと一歩何かが足りないらしい。


 そんな中、ヨルジュニアの行動を観察していると黒炎を吐く以外にも攻撃手段を持っている事がわかった。

 尻尾を剣のように硬質化させてホーンラビットを切り裂いていたのだ。

 相手にしている魔獣もFランクのホーンラビットに始まり、Eランクのジャイアントボアにブレードラビット、Dランクのレットボアまでは余裕で倒してやがる。

 まだCランクのジャイアントベアには遭遇していないが、恐らく勝てるだけのポテンシャルはあると見た。


 王化持続の特訓は王化状態の継続をするだけなので特段やる事は無い。

 だから合わせて影縫いの特訓をしていたのだが、ここらでヨルジュニアの能力の限界を知っておこうと思う。

 まずはCランクのジャイアントベアを探そう。


 森の中に分け入る俺。その後をついてくるヨルジュニア。

 暫く進むとジャイアントボアの群れに遭遇した。

 5体か。飯の具材にちょうどいい。一狩りしておこう。

 王化状態のままな為、ジャイアントボアの突進にも耐えられる。

 俺は突進してくるジャイアントボアを受け止めて、その首筋にナイフを潜り込ませた。

 首を落とされたジャイアントボアを見て残りの4体が後ずさりした。

 が、そこに飛び出したのがヨルジュニア。

 1番手前のジャイアントボアに黒炎を吐いて黒焦げにすると、尻尾を剣のようにして残りのジャイアントボアに斬りかかる。

 俺も負けじとジャイアントボアに斬りかかり10分もしないで5体のジャイアントボアは屍と化した。

 倒したジャイアントボアは血抜きしてから影収納に収める。

 夕食ゲットだ。


 その後も森の中を進む俺とヨルジュニア。

 すると目の前に木で爪を研ぐジャイアントベア1体に遭遇した。

 これはヨルジュニアの能力確認にちょうどいい。

「ほら。ヨルジュニア。獲物だ。行け。」

「にゃー。」

 やる気が見られない。

 自ら襲う感じじゃ無くて襲われるから防衛しているだけなのかもしれない。

 なら俺がジャイアントベアにちょっかい掛けてこちらを向かせよう。

 俺は影収納から投擲用のナイフを取り出して影縫いと呟きながらジャイアントベアの影に向けてナイフを投擲する。

 見事影には刺さったが、その動きを止めることは適わず、爪研ぎ中だったジャイアントベアはこちらを振り向いた。


 目が合ったと思った瞬間、ジャイアントベアがこちらに突進してきた。

 前に出るヨルジュニア。その口から黒炎を吐き出す。

 ゴーっと音を立てて吐き出された黒炎だったが、今一歩届かずジャイアントベアは健在だ。

 ヨルジュニアに向けて研いだばかりの爪で襲い掛かる。

 跳んで躱すヨルジュニア。

「にゃー」

 とひと鳴きすると黒雲が集まってきた。

 これもヨルジュニアがやってるのか?

 黒雲がそれなりの規模になるまでは尻尾を剣にしてジャイアントベアと斬り合うヨルジュニアだったが、黒雲が集まったと見るや距離を取りひと鳴きした。

「にゃー!」

 その瞬間、黒雲から一筋の黒雷がジャイアントベアを襲う。

 黒雷に撃たれたジャイアントベアは全身から湯気を出して痙攣している。

 まだ息はあるようだが、雷撃を浴びて痺れているようで動かない。

 と、そこにヨルジュニアが駆け寄り、尻尾の剣で心臓部を一刺し、見事にジャイアントベアを倒してしまった。


 黒雷と言う新たな能力も見せつつ、Cランクの魔獣にも全く怯まず倒してのけたヨルジュニア。

 これはBランクの魔物でもいけるか?

 この森にはオーガも生息している。

 探せば見つかるだろう。

 だが、そんな中で俺の王化状態が解けた。やはり2時間10分程度だな。

 王化が解けても今の俺ならオーガも相手取るに十分な力を得た。今なら4体同時でも問題ないね。

 って事で今度はオーガを探して森を歩く。

 ヨルジュニアは相変わらず俺の後ろをついてくる。


 暫く森を進むと出ました。オーガ3体を発見。

 まだこちらに気付いてはいないようだ。

 まずは1体倒しておこう。

 俺は体勢を低くしてオーガ達に近寄り、1番手前の奴の首を刈った。

 アダマンタイト製のナイフはなんの抵抗もなくオーガをさの首を切断した。

 首の骨の隙間を縫ったようだ。骨に当たる手応えも無く首を刎ねる事が出来た。

 これにすぐさま、気付いた他のオーガ達が棍棒を振りかぶる。

 振り下ろされた棍棒。しかし、もうすでにその場に俺の姿はない。

 数歩下がってヨルジュニアと並ぶ俺。

「オーガだけど、いけるか?」

「にゃー。」

 任せとけと言わんばかりの鳴き声である。

 俺は残る2体のうち1体に狙いを定めて走り寄る。

 オーガが棍棒を振るうも跳躍して避けるとその分厚い筋肉に覆われた棍棒を持つ腕を切り裂いた。

 切断には至らなかったがもう腕は持ち上がらないだろう。

 オーガは残る腕で棍棒を持ち直して俺に振りかぶる。

 俺は振り下ろされた棍棒を半身になって避けると、その首筋にナイフを走らせる。

 動脈を切り裂いた為、首筋から猛烈に鮮血が飛び散る。

 残った腕で首筋を押さえて出血を止めようとするオーガであったが、傷は深い。

 やがて膝を着き、力尽きたようにぐったりとした。


 横を見やると残る1体のオーガとヨルジュニアが戦っていた。

 ヨルジュニアは尻尾を剣にして棍棒と打ち合う。

 あんな小柄な体形なのにオーガの振り下ろす棍棒にも負けずに押さえている。

「にゃー。」

 ヨルジュニアが鳴くと黒雲が立ちこめる。

 それに気付かず棍棒を降り続けるオーガ。

「にゃー!」

 ヨルジュニアのひと鳴きで黒雲こら黒雷が一筋の光となってオーガに降り注ぐ。

 プスプス言いながらもオーガはまだ動きを止めない。

「にゃー!にゃー!」

 ヨルジュニアが二鳴きすると黒雷が二筋の光となってオーガに降り注ぐ。

 これは効いたらしくオーガの動きが止まる。痺れたようだ。

 その隙を狙ってヨルジュニアは心臓部を一刺し。

 Bランクのオーガすらも倒してしまった。


 甲蟲人戦を前に思わぬ広いものである。

 ヨルジュニアなら甲蟲人戦でも活躍出来るだろう。

 俺は思わぬ戦果にニヤつきながらツリーハウスへと戻る。

 しっかりヨルジュニアもついてくる。

 もうすっかり主従関係が出来上がったようだ。

 好きなだけミルクを与えてやろう。

 まだ肉は早いだろうか。

 小さく切り刻んだジャイアントベアの肉も与えてみると少しずつ噛みながら食べていた。

 固形物もいけるようだ。これからはミルクと肉を与えてやろう。


 俺は自分用に焼いたジャイアントベアのステーキを頬張りながら残り日数を思う。

 あと2日間で邪神の言う1年後の日付になる。

 それまでに影縫いは完成するか、敵は何処に攻め込んでくるのか、敵の規模はどのくらいか、敵の戦力はどの程度か。

 考えても仕方ないがやはり頭をよぎる。

 あと2日間。今のペースだと王化状態ご延びても2時間15分程度だろう。

 敵の規模にもよるがまだ呪王形態を使うのは先になりそうだ。

 王化持続時間が半分になっちまうからな。やっぱり3時間程度まで延ばしてから使うべきだろう。


 あと2日間。しっかり備えておこう。


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