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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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249話 聖都セレスティア20

 中庭に集まって皆で藍鷲のゲート待ちとなった。

「王化。魔王。」

 藍鷲が言うなり左手小指にしたリングにはまった藍色の石から、藍色の煙が立ち上り藍鷲の姿を覆い隠す。

 次の瞬間、煙は藍鷲の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく鷲を思わせる藍色のフルフェイスの兜と、同じく藍色の全身鎧に身を包んだ魔王の姿があった。

「ではまずはクロムウェル帝国の首都ゼーテから行きましょうか。蒼龍さん、準備はいいですか?」

「うむ。頼んだ。」

「では、ゲート。オープン。」

 不気味な装飾が施された3m四方程の門が現れて、その扉が開くとその先には青色の旗がはためく一軒家の庭が見えた。

「では行って来る。」

 蒼龍が言ってゲートを潜って行った。


「あっ。」

 思い出した俺は一緒にゲートを潜る。

「蒼龍、借りた一軒家の鍵、渡すの忘れてた。」

「お?そうか。借家には鍵が必要か。龍の谷の家には鍵などないから忘れておったわ。」

「龍の谷って家に鍵付けないの?」

「まぁ全員知り合いだしな。勝手に入られても問題もないしな。」

「そっか。人間の街では鍵が必須だからな。掛け忘れたりしないでくれよ。泥棒に入られちまう。」

「ははは。盗賊であるお前に言われるとはな。」

「あ、確かにな。まぁ気を付けてくれよ。」

「分かった。外出時には鍵を掛けよう。」

 そう言って一軒家に入っていったので、俺はゲートをくぐり聖都側に戻る。


「もう忘れ物ないですかね?ゲート閉じますよ?」

 藍鷲が念を押してくる。

「あぁ、もう大丈夫だ。」

「では、クローズ」

 藍鷲が言うと門の扉が閉まり、門が消えていった。

「次は銀狼さん、準備はいいですか?」

「あぁ。俺は宿屋に泊まるし鍵の心配はないからな。」

「では、ゲート。」

 再び悪趣味な門が現れる。頂点にある髑髏がまた怪しさを増している。

「オープン。」

 灰色の旗がはためく、城内の訓練場が門の中に見える。

「城の訓練場に旗を立てたんだったな。では行って来る。」

 銀狼が門をくぐり抜け、モーリスの地に降り立った。

「じゃあまたな。」

 軽く手を上げて銀狼が門の前から消えていった。

「クローズ。」

 藍鷲が言うと扉が閉まり門が消えていく。


「次は碧鰐さん、準備はいいですか?」

「おう。大丈夫だ。」

 藍鷲の一声に碧鰐が答える。

「では、ゲート。オープン。」

 怪しさを満点の門が現れて扉が開く。

 門の中には碧色の旗と『この旗触るべからす』と書いた看板が目に入る。

「おぉ、村の入り口か。」

 流石に住んでいるだけあって、門の中の景色で何処に旗を立てたのかも把握できたようだ。

「では、またな。」

 碧鰐が門をくぐり抜け去って行った。

「クローズ。」

 藍鷲が言うと扉が閉まり門が消えていく。


「次は朱鮫さんですね。準備はいいですか?」

「ワイは来たばっかりでまた帰って行くんやねぇ。まぁええけど。」

 軽くぼやきながらも朱鮫が前に出る。

「ゲート。オープン。」

 もう何度となく見ている為、見慣れてきた門がまた開く。

 扉の先には赤い旗がはためく。

「ほな、また。」

 朱鮫が軽く挨拶を交わしてゲートを潜って行った。

「クローズ。」

 扉が閉まり門が消えていく。


「こんなにゲートの魔法を連発しても大丈夫なのか?」

 俺は気になり藍鷲に尋ねる。

「えぇ。ゲートの魔法自体はそこまで魔力消費はありませんから。」

「そうか。」

「次はドワーフ王国ですね。茶牛さん、準備はいいですか?」

「おぉ。大丈夫だぁ。特に持ってくもんもねぇしなぁ。あっちに戻れば色々あるから問題ねぇ。」

「では、ゲート。オープン。」

 不気味な装飾が施された門が現れて扉が開く。


「クロさん、また離れ離れですね。」

 しおらしく白狐が言った来た。

 いつもは狐の目みたいな糸目を目一杯開いて潤ませた瞳で見つめてくる。

「何だよ。離れ離れったって10日前後の事だろ?」

「んーでもまた10日程度でもクロさんの料理が食べられないと思うと。」

「なんだよ。料理かよ。」

「えぇ?なんですかぁ?クロさんに会えなくて寂しいって言って欲しいですかぁ?」

「な、何だよ。そんなんじゃねーよ。」

「ふふっ。嘘ですよ。クロさんに会えなくて寂しいんですよ。」

 イタズラっぽく笑っていいやがる。

 全く。参ったね。

「大丈夫だよ。今度は自分からいなくなったりしねーから。」

「えぇ。信じてますよ。クロさん。」


 そんな話をしていたらゲートの行く先は金獅子の番になっていた。

「じゃあまたな。緑鳥、藍鷲、黒猫、白狐、紫鬼、紺馬。」

 それだけ言うと金獅子がゲートを潜って行った。

 次は紫鬼の番だ。

「紫鬼さん、準備はいいですか?」

「あぁ。金も持ったし、問題ない。」

 紫鬼は財布を見せてきた。

 ケイル王国では宿屋に滞在予定だったはずである。その資金の事だろう。

「では、ゲート。」

 悪趣味な門が現れる。

「オープン。」

 門の扉が開き、紫の旗がはためく王城の中庭が見えた。

「では、白狐、黒猫、紺馬、緑鳥。またな。」

 それだけ言うと紫鬼がゲート潜って消えて行った。

「クローズ。」

 門の扉が閉まり、門が消えていく。


「あ、そうだ。紺馬、これ。」

 俺は鍵を渡す。

「なんだこれは?」

「サーズダルに借りた物件の鍵だよ。」

「そうか。確かに受け取った。」

「うん。」

「それじゃ黒猫さんも準備いいですか?」

「あぁ。大丈夫だ。」

「ではクロさん、また。」

「あぁ。またな。」

「ゲート。オープン。」

 悪趣味な門の扉が開き、見慣れた森の中が見える。

「じゃあ、緑鳥、藍鷲、紺馬。またな。」

 俺は挨拶を交わすとゲートを潜ってワンズの外れの森の中に降り立ったのであった。


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