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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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244話 獣王国2

 翌日目覚めた俺達3人は客間の前で集合した。

 金獅子の姿はない。どこが奴の寝室なのかもわからないので、適当に城内を歩く。

 昨晩別れた場所がちょうど謁見の間の前だったらしく、中から金獅子の声が聞こえてきた。

「では各村には決戦準備を進めさせているのだな?」

「は、都以外が攻め込まれた際にはのろしを上げて報告するように各部族へ通達しております。」

「うむ。都以外が攻められる可能性もなくはない。十分用心するように、改めて通達せよ。残りの1ヶ月をきった。それぞれの部族が手を取り合ってこの戦を乗り切るのだ。」

「はっ。畏まりました。」

 犀の獣人が代表して返事をしていた。もしかしたら偉い文官なのかもしれない。


 やがて謁見の間の前にいた俺達に金獅子が気付いた。

「おぅ。お前らも起きていたか。すまんな。案内の者を出すのを忘れておったわ。」

「あぁ。大丈夫だ。それにしてもこうして見ると金獅子はやっぱり国王なんだな。何か新鮮だ。」

「ですね。いつもの金獅子さんとはちょっと違いますね。」

 俺が言うと白狐も同意する。

「なに、俺様は俺様よ。変わらんさ。さて、旗を立てに行くか。やはり中庭にゲートが開くのが1番良いように思えるのだが、ちょっと見てくれ。」

 そう言って金獅子は謁見の間を出て1階の中庭に向かっていった。

 俺達も後を追う。

 連れてこられたのはこれまた立派な中庭だった。

 あちらこちらに色とりどりの花が咲き乱れ、如何にも南国らしい雰囲気である。

「この辺りでどうだ?」

「わたしは構いませんがもう少し端に寄せた方が邪魔にならないのではないでしょうか?」

「む?ならこの辺りか?」

 金獅子と藍鷲が旗を立てる位置について話している。

 この中庭なら馬での出入りも可能なため、何の問題もないだろう。

 やがて2人の話し合いは終わり、藍鷲が黄色旗を立てた。ここでも全体重を乗せて短槍を突き刺す。

「これでよしっと。では外からゲートが繋がるか試してきますね。」

 藍鷲は駆けていった。


「獣王国としては甲蟲人対策は十全なのか?」

「あぁ。各部族にも通達がいっておる。問題は無いだろう。ただ蜚蠊」(ごきぶり)レベルの相手となれば総崩れにならんとも言えない。攻め込まれたら早々に神徒達が集まる必要はあるだろうな。」

「その為の、通信用水晶と藍鷲のゲートだからな。藍鷲には頑張って貰わないとな。」

「あぁ。作戦の要だからな。」

 そんな事を放していたらゲートが開き、王化した藍鷲が顔を覗かせた。

「ゲートは問題ないですね。クローズ。王化、解除。」

 藍鷲がゲートを消し去り王化を解いた。

「よし、次はマジックヘブンだな。」

「獣王国での用事はもう大丈夫なのか?」

「あぁ。指示は出した。もうここでやる事は無い。先を急ごうぞ。」

「では参りましょう。」

 庭に放たれた馬の手綱を引いて白狐が言う。


「朱鮫はまだマジックシティにいるのか?」

「いや、昨日確認したがもうマジックヘブンに戻っているとの事だ。だから我々もマジックヘブンに向かえば良い。」

「真っ直ぐマジックヘブンに向かえば15日くらいですかね?」

「そうさな。マジックシティまでが10日程度だったからそのくらいだろう。」

 馬を引きながら街を歩く。

「獣王様、またお出かけかい?」

「あぁ、行って来る。」

「獣王様。今度はいつ頃戻ってくるの?」

「すぐ戻ってくるさ。」

「獣王様、リンゴが持っていって下さいな。お好きでしょリンゴ。」

「あぁ。ありがたく頂こう。」

 街の人々皆に声を掛けられながら街の外まで移動してきた。


 マジックヘブンまではまた両サイドを森に囲まれた街道を走る。

 道は整備されているため、馬達も走りやすそうである。

 森の木々には見慣れないカラフルな鳥の姿も見える。

 その後も魔物、魔獣に襲われる事無く順調に旅は進み、8日が経過した。

 道は北と西に伸びている。

 北の道を行けばマジックシティ、西の道を行けばマジックヘブンに着く分かれ道だ。

 俺達は迷いなく、西への道を選択した。

 すでに辺りの森は遠くなり、平原が広がっている。


 この辺りは草食動物達の住み家らしく、ユニコーンやペガサスなどの珍しい魔獣にも遭遇したが、交戦の意図はないらしく、俺達の横を普通に通過していった。

 どうやら近くに水辺があるようで、そこに向かっているようだった。

 ちょうどいいので俺達も水辺へと向かう。


 着いた先は大きな湖で対岸が見えない程である。

 先に着いていたユニコーンやペガサスなどの魔獣達も水辺で喉の渇きを潤している。

 俺達も乗っている馬を下り、馬達を休ませる。

 ついでに俺達も食事の準備をする。

 メニューはまだ残っていた蛙肉のからあげにした。

 簡単に下味が付くようにフォークで肉を突き刺してから砂糖、酒、醤油、ニンニクに付け込み、よく揉み込む。

 片栗粉をよくまぶして揚げれば簡単なからあげの出来上がりだ。

 炊きたての米を影収納から出す。

 汁物がないのは勘弁して貰おう。


 馬達にも牧草を上げて一緒に昼飯にした。

 しばらく戦闘が無く順調に進めている為、平和だなぁとか思ってた。

 この後に襲い来る魔獣の事など全く考えていなかった俺達は昼飯後に少しのんびりと過ごすのだった。


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