表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

242/549

241話 旧王国領3

 サーズダルで不動産屋を探す俺達4人は、如何にも街の不動産屋と言った雰囲気の壁に沢山の部屋の間取り図を貼り付けた不動産屋を発見した。

 特にに拘りはない為、その不動産屋に入る。

「いらっしゃいませー。本日はどう言ったご用件で?」

 カウンターの中から元気なお姉さんの声がした。

 恰幅の良い20台と思しき受付嬢がにこやかな笑みを浮かべてこちらを見ていた。

 代表して俺がカウンター前に座る。

「一軒家を探してるんだ。出来れば広めの庭があって街の外郭に近いところがいい。」

「はいー。一軒家ですねー。少々お待ち下さい。」

 受付嬢は言うなり席を立ち、何やらファイルを持って戻ってきた。

「外郭に近い庭付きの一軒家となりますと、こちらとこちら、それにこちらなんかがお薦めですね。」

 そういって3枚の間取り図をファイルから出した。

 1軒目は確かに広い庭付きではあるが、3階建ての6LDKもある。そこまでの広さは求めていない。

 残る2軒は似たり寄ったりで2階建ての4LDKだった。

 どちらも賃貸で家賃は大銀貨数枚とお高い。

「別に一人暮らしだからそこまで部屋数はいらないんだ。平屋でも庭さえあればいい。」

「あら。そうですか?となると、こちらか、こちらでどうでしょう?」

 次に見せられた物件は平屋の2LDK、家賃は大銀貨1枚と銀貨数枚とリーズナブルだ。

 間取り図を見る限りどちらもそこまで違いはなさそうだった。

「うん。この2軒の内見は出来る?実際に場所とか見ておきたいんだけど。」

「内見ですね。今ご準備しますので少々お待ち下さい。」

 受付嬢は奥に行くと、2本の鍵を持って戻ってきた。

「では参りましょう。ご案内致します。」

 この受付嬢が付いてきてくれるらしい。


 一軒目は東門と南門の中間辺りにある平屋の一軒家で、庭の広さは申し分ない。3mのゲートの門が開くのには十分な広さであった。

 家の中も綺麗で1人で短期間過ごすには十分だった。

 ただ、南東の方角にあるのが気になった。

 サーズダルの南東にはなにもなく、断崖絶壁が広がるばかりである。

 正直何のために門を作ってあるのかもわからないくらいだ。

 なんとなくだが、甲蟲人が攻めてくるにしても、こんな何も無い東の果ての地に亜空間との扉を開けるだろうか?

 敵の思惑がわからない以上あり得なくはないが、イメージ的には北西か、南西方向から攻め込まれる気がするのだ。

 ひとまずは保留として、次の2軒目に向かった。


 2軒目は街の中の南南西に位置していた。

 外郭寄りではあるが、若干1軒目よりは中心部に近い。

 庭の広さは4m四方程度。ゲートの門を開くには十分な広さだ。

 家の方は1軒目よりは古さが見えるが汚いというほどではない。

 なにより家具付きだと言うので、新しくベッドなどを購入しなくて済む。

 家賃は銀貨14枚、14万リラだ。まぁそんなもんだろう。

 俺がここで決まりかなと思って皆の顔を除くと3人とも首を縦に振ってくれた。

 決まりだ。

「こっちの家を借りたい。いつから入居出来る?」

「はい、こちらでしたら今日中に書類さえ頂ければすぐにでも。」

「なら決まりだ。俺は契約書類書いてくるから3人は布団とか必要な家財を買ってきてくれ。買い物が終わったらここに集合で。」

「分かりましたぁ。」

 白狐と蒼龍、藍鷲はそのまま街に買い物に行った。

 俺は恰幅のお姉さんについて不動産屋に戻った。


 不動産屋に戻った俺は契約書類にサインして、敷金礼金として3ヶ月分の家賃総額大銀貨4枚と銀貨2枚を払った。

 家の鍵も受け取ったので、さっき行って来た一軒家に戻った。

 暫くすると3人も戻った来た。

 手には布団やら枕やらの寝具を抱えている。

「家具付きですから寝具くらいあればいいですよね?」

 白狐が言ってきた。

「そうだな。後の細かいものは紺馬に好きに買って貰えば良いだろう。」

「では早速旗を立てちゃいますね。」

 藍鷲が紺色の旗を全体重を掛けて庭に刺した。

「一応街の外からゲート開くか確認してきます。」

 藍鷲は言って街の外へと向かった。


 そう言えば藍鷲は傭兵登録などしていない為、身分証明書がなかった。

 そこで聖都が発行している聖人証を身分証明書として持ち歩いている。

 だから藍鷲は聖者扱いになる為、街の行き来が可能になっているのだ。

 魔族が聖者扱いってのも不思議なもんだけどな。

 そんな事を考えていたら庭にゲートの門が開いた。

 そこから顔を出す藍鷲。

「ゲートの指定先としては問題ないですね。それじゃ聖都に戻りましょうか。クローズ。王化、解除。」

 俺達は聖都に戻るため、馬留に預けた馬を取りに向かった。


「王化、魔王。」

 藍鷲が言うなり左手小指にしたリングにはまった藍色の石から、藍色の煙が立ち上り藍鷲の姿を覆い隠す。

 次の瞬間、煙は藍鷲の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく鷲を思わせる藍色のフルフェイスの兜と、同じく藍色の全身鎧に身を包んだ藍鷲の姿となる。

「ゲート。オープン。」

 邪悪そうな門が現れて扉を開くと、その先には聖都の神殿の中庭が見える。

 白狐、蒼龍、俺、藍鷲の順にゲートを潜る。

「クローズ。王化、解除。」

 藍鷲が王化を解く。

 やっと大陸東側の旅が終わった。

 残るは獣王国と魔術大国マジックヘブンである。

 そういえばそろそろ朱鮫と言う最後の神徒が合流する頃じゃないか?

 ドランに熱烈な歓迎を受けながらも俺達は金獅子達がいるであろう祈りの間に向かうのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ