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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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235話 ドワーフ王国8

 山賊団を倒した俺達は藍鷲のゲートの魔法でドワーフ王国へと戻った。

 時刻は夜であるが早めに報告しておいた方が方がいいだろう。

 俺達は兵士長のマクベスを探した。


 件の人物はまだ訓練場で訓練中だった。

「おーい。マクベスー。」

「んあ?おぉ!あんたらは傭兵のぉ。帰って来たのかぁ。」

「あぁ。無事に山賊団は壊滅させて来たよ。」

「ホントかぁ?そいつは朗報だぁ。王様にも報告せねばなぁ。」

「報告は任せるよ。」

「もう行くのかぁ?」

「あぁ。今日はここドワーフ王国の宿屋に泊まって明日の朝出発するよ。」

「そうかぁ。とんでもなく世話になったなぁ。何かあったら言ってくれぇ。力になるでなぁ。」

「あぁ甲蟲人が攻めてきた際には思う存分力を振るって貰う事になると思う。その時はよろしくな。」

「おぉ。任せとけぇ。」

 って事で俺達は王城を後にして街の宿屋を探す。


 1度来ている蒼龍が一緒だったので迷わず宿屋に着いた。

 明日は茶牛の手紙を奴のいた工房に持っていってから東に向けて進む事になる。

 この先はヌイカルド連邦国の小国を通ってララ法国の取得ララ・ダウトに向かう。

 その道程は約20日間にも及ぶ。その為、明日は食料品や水などを買い込んでから出発する事にした。ヌイカルド連邦国の小国にはなるべく立ち寄らないで先に進む事にしたのだ。

 その夜は街の食堂で済ませて宿屋に戻り、すぐに就寝となった。


 翌朝、茶牛からの手紙を奴の職場である『鋼の四肢』に持っていく事にした。

 場所は蒼龍にお任せだ。

 街の中を歩くが確かに金属製の手足を持ったドワーフが所々見られる。

 気になって聞いてみると、

「ドワーフ達は採掘場での仕事で危険が付きまとうらしくてな。手足を失う者も後を絶たないそうだ。」

 と蒼龍が聞いた話を聞かせてくれる。

「それこそギガントワームになんて襲われたら命があるだけマシって話だった。先日立ち寄った際に対峙したがドラゴン並に面倒な相手であった。」

「ギガントワームですか。確かに地中の王者なんて言われるような魔物ですからね。鉱山夫が出会ったら手足を失っても生き残るのが精一杯かもしれませんね。」

 白狐も続けて言う。


 そんな話をしているうちに『鋼の四肢』に着いたようだ。

「すまんが、店主はいるか?」

 蒼龍が声を掛ける。

「はいよぉ。ちょっと待ってなぁ。おぉ!あんちゃんは聖王様と一緒に来てた人だよなぁ?なんか不具合でもあったかぁ?」

 奥から立派な髭を蓄えたドワーフがやって来た。

「いや、義手に不備はない。今日は茶牛からの手紙を預かってきた。」

「手紙だぁ?どれぇ見してみろぉ。」

 蒼龍が手紙を手渡すとその場で開き始める店主。

「うむうむぅ。なになにぃ。王城に伝が欲しいと書いてあるなぁ。」

「あぁ。その点はもう大丈夫だ。運良く王女と面識を得てな。用事は済んだ。」

「そうけぇ。したらあとは近況が書いてあるなぁ。修行の毎日でくたくただって書いてあるわぁ。」

「まぁ、特訓漬けだからな。」

「なんにせよ、元気でやっとるようでよかったわぁ。アイツのこと、よろしく頼むなぁ。」

「あぁ。任せてくれ。」

「う。用はそれだけか?」

「あぁ手紙を渡しに来ただけだ。これから東のララ法国に向かう。」

「そうかぁ。ララ法国は結構遠いからなぁ。しっかり準備していけぇ。じゃあなぁ。」

 店主は奥に引っ込んでいった。

 俺達も『鋼の四肢』を後にした。


 その後は市場で食料品や水などを購入していく。

『鋼の四肢』の店主にも言われたが結構な移動距離だ。準備はしっかりしておこう。

 途中果物屋にも寄った。長い旅になるのだ。たまには甘味も欲しくなるだろう。

 手持ちのリンゴはこの前全て食べてしまったので新しく仕入れる。

 ミカンやオレンジなんかもあったので買っておく。

 珍しい物として梨が出ていた。

 これは季節によって出たり出なかったりする果物なので、折角だから購入しておいた。


 そんなこんなで買い物も終え、いよいよドワーフ王国からララ法国の首都ララ・ダウトに向かう。

 地理的にはここから2つ山を越えた丘陵地帯にララ法国はある。

 山道で注意すべきはなんと言ってもギガントワームだ。

 奴らは地中にいる為、唐突に戦闘になる事が多いと言う。

 出没前には軽く地震が起こるらしいので、その前兆を見逃さないように注意が必要だ。


 そんな風に考えながら山道を進むこと2日目にして、馬に乗っていてもわかる程の地響きを感じた。

 俺達はすぐさま馬を下りて、近くの木に手綱を括り付ける。

 そして出会ったのは2体のギガントワームである。

 1体は全長20m程度、もう片方は全長30m程度の巨体である。

「王化して一気に攻めましょう。王化!破王!!」

 いうなり白狐の右耳にしたピアスにはまった真っ白い石から、白い煙が立ち上り白狐の姿を覆い隠す。

 次の瞬間、煙は白狐の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく狐を思わせる真っ白いフルフェイスの兜と、同じく真っ白い全身鎧に身を包んだ白狐の姿となり駆け出す。

「うむ。王化!龍王!」

 蒼龍が言うと胸に下げたネックレスにはまる蒼色の王玉から蒼色の煙が吐き出される。

 その煙は体に吸い込まれるように晴れていき、残ったのは龍をモチーフにしたような兜に蒼色の全身鎧を纏った蒼龍の姿となり駆け出す。

「はい。王化。魔王。」

 藍鷲が言うなり左手小指にしたリングにはまった藍色の石から、藍色の煙が立ち上り藍鷲の姿を覆い隠す。

 次の瞬間、煙は藍鷲の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく鷲を思わせる藍色のフルフェイスの兜と、同じく藍色の全身鎧に身を包んだ藍鷲の姿となり駆け出す。

「じゃあ俺も。王化!夜王!!」

 左耳のピアスにはまる王玉から真っ黒な煙を吐き出しその身に纏う。

 その後煙が晴れると猫を思わせる兜に真っ黒な全身鎧、王鎧を身に着けた夜王形態となる。

 俺は影収納から主力武器である黒刃・右月と黒刃・左月を取り出し、皆に合わせて駆け出した。


 自然とデカイ方を白狐と蒼龍、小さい方を俺と藍鷲で相手取る事になった。

「藍鷲!火の魔法を頼む!」

「はい!ファイアストーム!」

 火炎を伴った暴風がギガントワームを焼く。

「おりゃー!」

 俺は黒刃右月と黒刃・左月を振るい、ギガントワームの頭を斬り落とそうとする。

 しかし、ギガントワームもしぶとい。

 炎に身を焼かれながらも身を捩り、その巨体で体当たりをしてくる。

「藍鷲!」

「大丈夫です!ギリギリ避けました。」

 そう言うなり藍鷲は魔法を放つ。

「ウォーターブラスト。」

 高圧の水流がギガントワームの巨大を弾く。

「サンダーテンペスト。」

 水で濡れた体表を伝うように雷が走り、その身を焼いていく。

「ウィンドカッター。ロックハリケーン。」

 風の刃で巨大を切り刻み、土石流に吞まれて体表を削っていく。

「ギシャァァァア!」

 魔法を嫌がったギガントワームが俺に向かってくる。

 俺は手元の黒刃・右月と黒刃・左月を高速で走らせる。一呼吸の間に16回斬り込む、俺が1人で傭兵やってた頃に産み出した技だ。

 これによりギガントワームの頭は胴体から離れ、頭を失った胴体がウネウネ動く。

「ファイアストーム!」

 まだ動き続ける胴体に藍鷲が火炎放ち焼いていく。

 ただ燃やすだけで無く体表を炎が走る為、水分を失ったギガントワームの胴体は小さく縮んでいく。

 見れば白狐達もデカイ方のギガントワームを制圧していた。

 1人で相手取るのは骨が折れそうだったが2人がかりならダメージを受けること無く倒しきれる事がわかった。


 さて、あと何体ギガントワームに襲われるだろうか。

 山は奴らのエリアである。

 また予兆の地震を見逃さないように、慎重に馬を進める俺達であった。


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