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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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233話 ドワーフ王国6

 ドワーフ王国の王城を王女ベアトリスの後をついて歩く俺達。

 ドワーフ王国の庭には沢山の花々が咲き誇っており、華やかな庭となっている。

「それにしても皆さんお強いですねぇ。ワイルドベアすらもすぐに倒してしまわれてぇ。」

 王女ベアトリスが言ってくる。

「まぁ私達鍛えてますからね。」

 白狐が答える。

「それだけお強ければ街道に出る山賊団の壊滅も出来るかもですねぇ。」

「山賊団?あの山賊達以外にも街道に山賊達が出るのか?」

 俺は気になって尋ねた。

「はい。ここ数ヶ月前の間に山賊達が街道を占拠して道行く人達を襲っているという話ですぅ。その一団に私達も襲われたと言う訳ですぅ。」

「そうか。甲蟲人が攻めてくる前にそう言う輩共も一掃しておいた方がいいだろうな。」

 言いながら王城の庭の一角にやって来た。

「ここでどうでしょうかぁ?」

 ベアトリスに連れてこられた場所は城壁にほど近い庭であった。

「ここならちょうど良さそうですね。」

 藍鷲が言って茶色の旗を立てる。全体重をかけて短槍を突き刺した。


「んで、その山賊団ってのの情報はどのくらい集まってるんだ?」

 俺はベアトリスに尋ねた。

「そーですねぇ。兵士長のマクベスだったらそれなりに情報を集めているかと思いますがぁ。」

「じゃあ、そのマクベスとやらに会わせてくれるか?」

「はい。わかりましたぁ。こちらへどうぞぉ。」

 ベアトリスに先導されて王城を進む。

 その先には大きな広場になっており、兵士達が訓練を行っていた。

「マクベスぅ。マクベスはいますかぁ?」

「はぁーい。姫君じゃないですかぁ。ご無事でしたぁ?山賊に襲われたと聞きましたがぁ?」

 呼ばれてやって来たのは髭を2つに縛り三つ編みにしたドワーフだった。

「私は大丈夫ですぅ。この方達が助けて下さいましたぁ。」

 ベアトリスが俺達をマクベスに紹介する。

「そいつはありがたい事でぇ。オイラからも礼を言いますだぁ。」

「礼なら王様からも貰ったよ。それより山賊の情報をくれ。俺達がぶちのめしてくる。」

「なんとぉ?近々討伐隊を組む話も上がってたんだぁ。」

「そうなのか?じゃあ具体的なアジトとかも把握できてる?」

「あぁ。3日ほど行った北の山に元々木こりが休む為の小屋があったんだぁ。そこを根城にしているらしいって情報があってなぁ。」

「3日ほどの北の山ですか。確かに王女様が襲われていた辺りではありますね。」

「んじゃ有力情報か。よし、今から行ってくる。」

「ホントかぁ。助かるなぁ。」

 と言う事で山賊対峙する事にした。


 ドワーフ王国から3日間ほどの距離を聖都に向かって戻り、北の山に入り込んだ。

 山に入って1日中歩き回ったところで、その山小屋を発見した。

 確かに山賊達の根城になっているようで、パッと見だけで20人はいそうだ。

 時刻は夕方であり、外で焚き火を囲んでいる。

「で、どうします?このまま突っ込みますか?」

「流石に作戦は必要であろう。」

 白狐の提案に蒼龍が答える。

「そうだな。今は使われてない山小屋だって言うから壊しても文句は言われないよな。」

「そうですね。実際山賊達の根城になっちゃってるくらいですから無くても良いでしょうね。」

 白狐が同意する。

「なら藍鷲に魔法で焼き払って貰おうか。そしたら小屋の中にいる奴らも外に出てくるだろ?」

「焼いちゃっていいんですか?」

「あぁ。藍鷲、頼めるか?」

「そうですね。もうちょっと近付かないと厳しいですね。」

「んじゃ蒼龍と藍鷲で裏手に回って小屋に火を放ってくれ。で後方に逃げる奴がいたら殲滅して欲しい。俺と白狐は小屋が焼けたら正面から突っ込む。」

「分かった。」

「分かりました。」

「小屋が焼けたのを合図に正面からも突撃するから。よろしく。」

 2人は頷くと大回りに小屋の裏手に回って行った。


「どうします?山賊如きに王化は不要ですかね?」

「うーん。敵の強さ見てから必要に応じてい王化すればいいんじゃないか?」

「ですね。」

 なんて話してたら小屋の背面が焼け始めた。黒い煙がモウモウと立ち上がる。

 それに合わせて小屋の中からさらに10数人が飛び出してきた。

「何事だ?!」

「それが急に小屋が焼け始めて。」

「何?ボヤでも起こしたのか?あれ程たばこの火の始末には気をつけろと言っていただろうが!」

 外にいた隻腕の男が声を荒げる。雰囲気からしてアイツが頭領っぽいな。

「小屋が…。」

「焼けていく…。」

 燃える小屋を見て固まる山賊達に俺と白狐は音も無く近付くと、一気に斬りかかった。

「な?!なにもんだテメェら!」

「いきなり何しやがる?!」

 こちらに気付いて振り返った者達をばったばったと斬り倒して行く。

 すると隻腕の男が片手に大剣を持って近付いてきた。

「テメェら、おれが千剣のヅイードだと知って乗り込んで来たのか?」

 大剣を肩に担ぎながら男、ヅイードが言う。

「千剣…ヅイード?ヅイード!!あの千剣のヅイードですか?確かAランクの傭兵で1匹狼ながらも数々の功績を挙げた千剣のヅイード!」

 白狐には心当たりがあったらしい。

「なんだ、その千剣ってのは?」

「確か100の剣術道場に通い身につけた剣技の数が千にも及ぶとかで千剣のって二つ名が付いてたはずです。」

 ヅイードが笑いかける。

「フッ。随分おれに詳しいじゃねーか。その千剣のヅイードだと知ってもまだやる気か?」

 元Aランクの傭兵か。今の自分の実力を測るにはちょうどいい相手に思えた。

「白狐、こいつは俺がやる。残りの雑魚は任せて良いか?」

「えぇ。問題ないですよ。ただ、ヅイードは相当な手練れだったはずです。危なくなったら王化を。」

「あぁ。分かった。」

 こうして俺と千剣のヅイードの対決が始まった。


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