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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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224話 モーノ共和国13

 聞いたとおりに進み、村長宅にやって来は村の外で待機中だ。

 村長宅をノックする。

 出てきた村長はヨボヨボのおじいちゃんだった。

「はい、どちらさま?」

 白いタンクトップ1枚で肌寒くないのかなと思っていたら思ったより大きな声で声を掛けてきた。


 白狐が丁寧にハッキリとした口調を意識して言う。

「この村の村長さんですか?」

「あぁ。わしが村長じゃよ。」

「では村長さん、まずは碧鰐さんの手紙を読んで下さい。」

「おぉ。碧鰐からの手紙か。あいつは元気にやっとるかい?」

 そう言うと手紙を受け取り内容を確認していく。

「ふむ。2枚目以降は家族に宛てた手紙のようじゃ。わしが責任を持って渡しておこう。それにしても村に旗を立てたいとな?奇怪な申し入れじゃな。」

「その旗が重要なんです。刺したら誰にも触られない。引き抜かれたりしない場所に立てさせて下さい。」

 藍鷲が頭を下げる。

「ふむ。誰も触らせないとなればわしの家の庭が1番かのう。家庭菜園をやっとるで誰にも足を踏み入れさせんぞ?」

「あ。家庭菜園がある場所はちょっと。そこにゲートを開きたいんです。実際に見て貰った方が早いかな。」

 藍鷲は言うと王化する。


「王化。魔王。」

 藍鷲が言うなり左手小指にしたリングにはまった藍色の石から、藍色の煙が立ち上り藍鷲の姿を覆い隠す。

 次の瞬間、煙は藍鷲の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく鷲を思わせる藍色のフルフェイスの兜と、同じく藍色の全身鎧に身を包んだ魔王の姿であった。

「おほっ!碧鰐と同じじゃな。唐突に鎧姿になりおった。」

「はい。碧鰐さんと一緒です。じゃあ見ていて下さい。ゲート。」

 藍鷲が短杖を振ると目の前に悪趣味な門が現れる。

 そして10m先にも門が現れる。

「な、なんじゃ。魔術か。」

「オープン」

 藍鷲の声で門が開く。

「こんな感じでどこにいてもここモードの村に門を開けるように目印となる旗を立てたいんです。」

 いいながら門をくぐり、10mの距離を行ったり来たりしてみせる藍鷲。


「これは瞬間移動の魔術か。初めて見るわなぁ。」

 村長は興味津々だ。

「くぐってみても?」

「えぇ。どうぞ。」

 村長がゲートをくぐり抜け10mの距離を移動する。

「おぉー!すっごいのぅ。なるほど、この門を立てる場所の目印としての旗を立てたいんじゃな?」

「そうなんです。クローズ。」

 藍鷲の言葉に反応して門が閉まっていく。


「王化、解除。どうでしょう?人が行き来する場所になるので家庭菜園のある場所以外でお願いしたいんですが。」

「碧鰐さんをこの街に待機させて万が一敵がこの辺りに出た場合には私達も今のゲートをくぐってこちらに来る想定なんです。馬が通れるくらいの場所が好ましいですね。」

 白狐も重ねて言う。

 村長は腕を組みながらやや考え込む。

「むぅ。刺したら誰にも触らせない場所でかつ馬も通れる場所かぁ。」

 俺達は村長の考えが纏まるまで待つ。


「ふむ。やはり馬が通るとなれば村の入り口に立てて貰うのが1番じゃな。誰も触ったり専用なわしから皆に言っておこう。それでどうじゃ?」

「ええ。村の方々にしっかり伝われば問題はありません。ただし、引き抜かれでもしたら碧鰐さんが戦っているところに救援が駆けつけられなくなるので、くれぐれも触らないように厳重注意して下さいね。」

「うむ。わしが責任を持って看板も立てよう。『この旗触るべからず』とな。」

「では、それでお願いします。」

 藍鷲が頭を下げる。

「うむ。ではまずはわしが看板を作るでな。持っていてくれろ。」

 そう言うと村長は俺達を家へと招き入れてくれた。


 しばらく待つと村長がデカデカと『この旗触るべからす』と書いた看板を手にしてきた。

「これで大丈夫じゃろ。どれ、村の入り口に立てに行くべさ。」

 村長に促されて俺達は村の入り口に移動した。


村の入り口には木の柵で覆われた村の周りとは事なり、特に門やそれに類するものは無かった。

その木の柵の終わり際に村長は立て看板を刺した。

「ここでいいじゃろ。ほれ、その旗も立てなさいな。」

「では失礼して。」

藍鷲は立て看板の後ろに碧色の旗を刺した。全体重を乗せて突き刺した為、ちょっとやそっとじゃ抜けないようになっている。


「では5か月後くらいにゲートをくぐって碧鰐さんが戻ってきます。いいですね。誰にも旗を触らないように周知お願いしますね。」

白狐が念を押した。

「あぁ。任しておきなさいな。しっかり村民には言って聞かせるから。」

「では、私達は次の街に向かいます。」

「なんだ。今日は泊まって行けば良いのに。」

「いえ。急ぎ各地を回りたいと思っていますので。」

白狐が村長の申し出を辞退した。

「では、また。」

「おぉ。気をつけてな。」

村長に見送られて村を後にした。


蒼龍の待つ所まで戻る。

そろそろ昼だ。簡単に昼食を終えて俺達は次の街、クロムウェル帝国の城塞都市モーリスに向かう事にした。

ここからモーリスまでは2、3日の距離だと言う。

急ぎ馬を走らせれば2日間くらいだろうか。

俺達はまた旅を続けるのだった。


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