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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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222/548

221話 モーノ共和国10

 聖都セレスティアを出て7日目。

 予定では後3日でモーノ共和国の首都モリノに到着する。

 そんなタイミングで出くわしたのはジャイアントスネークの上位種であるギガントスネークだった。

 ジャイアントスネークが10m以下であり、10m以上をギガントスネークと呼称する。

 目の前にいるのは体長20m近い大型のものだった。

 その体の太さは大人が腕を広げて抱きついても両手がくっつかない程に太い。

 あれに巻き付かれたらかなり危険、と言うか圧死させられるだろう。


 俺達は王化して挑む事にした。

「ではいきますね。王化!破王!!」

 いうなり白狐の右耳にしたピアスにはまった真っ白い石から、白い煙が立ち上り白狐の姿を覆い隠す。

 次の瞬間、煙は白狐の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく狐を思わせる真っ白いフルフェイスの兜と、同じく真っ白い全身鎧に身を包んだ白狐の姿だった。

「ふむ。我も行くとするか。王化!龍王!」

 蒼龍が言うと胸に下げたネックレスにはまる蒼色の王玉から蒼色の煙が吐き出される。

 その煙は体に吸い込まれるように晴れていき、残ったのは龍をモチーフにしたような兜に蒼色の全身鎧を纏った蒼龍の姿だった。

「王化。魔王。」

 藍鷲が言うなり左手小指にしたリングにはまった藍色の石から、藍色の煙が立ち上り藍鷲の姿を覆い隠す。

 次の瞬間、煙は藍鷲の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく鷲を思わせる藍色のフルフェイスの兜と、同じく藍色の全身鎧に身を包んだ藍鷲の姿であった。

「んじゃ俺も。王化!夜王!!」

 左耳のピアスにはまる王玉から真っ黒な煙を吐き出しその身に纏う。

 その後煙が晴れると猫を思わせる兜に真っ黒な全身鎧、王鎧を身に着けた夜王形態となる。

 俺は影収納から主力武器である黒刃・右月と黒刃・左月を取り出す。


 先頭を走るのは白狐だ。

 白刃・白百合を鞘に入れたまま抜刀術の構えでギガントスネークに近付く。

 ギガントスネークは身を捩り尻尾部分での薙ぎ払いを放ってきた。

 これを跳躍して避けた白狐。

 そのまま空中で抜刀し、胴体よりも直径が短い尻尾部分を切断する。

 切断された尻尾はまだ動き続ける。

 これをおもちゃ代わりにドランが戯れ始めた。最後には炎を吐いて焼いて食っていた。

 そんなドランはさておき、尻尾を斬ってもまだ本体の方は健在である。

 尻尾を斬った白狐に対して噛みつこうと首をもたげる。

 そこに蒼龍が割り込み、顔面に向けて三叉の槍を突き出す。

「水撃・龍翔閃!」

 突き出された槍の先端から高圧水流がギガントスネークの顔面を襲う。

 仰け反るギガントスネーク。

 そこに白狐が斬り込む。

 胴体部分は幅が広く、白刃・白百合の一閃でも切断には至らなかった。

 俺は遅れてギガントスネークに近付くと白狐が斬った傷跡を狙って黒刃・右月を振るった。

 胴体部分の切断に成功。

 もう頭の部分は5mもない。


 と、ここで奇っ怪な事が起こった。

 切断した胴体部分のだけが単独で動き、蒼龍の体に巻き付いたのだ。

「うぐっ!」

 思わず声が漏れる蒼龍。

 締め付ける力は王鎧を砕きかねないほどの圧迫である。

 頭部分の相手は白狐に任せて俺は蒼龍の救出に向かう。

「大丈夫か?」

「む、全く身動きが取れん。こいつはヤバいな。」

「ちっと待ってろ。今斬るから。」

 俺は黒刃・右月と黒刃・左月で巻き付いた胴体を斬っていく。

 しかし二重三重に巻き付いた胴体は中々斬れない。

 その間も締め付ける力は強まっていき、蒼龍を苦しめる。

「うぐぐっ。」

 そこに藍鷲がやって来る。

「黒猫さん、ちょっと退いておいて下さい。魔法で切り刻みます。

「アイス、ウィンド、ウィンドカッター!」

 胴体に無数の切り傷が生まれるが切断までには至らない。だがキリキリが出来た事でナイフの入りが良くなった。

「サンキュー。藍鷲。斬りやすくなったぜ。」

 俺は急いで胴体部分を斬っていく。

 最後の一巻きにまで達した。

「ウィンドカッター!」

 また藍鷲が風の刃で切り刻む。

 出来た切り傷を狙って黒刃・左月を突き入れて黒刃・右月と共に切り開く。

 そしてどうにか蒼龍を救出する事が出来た。


 見れば王鎧に罅が入っている。

 あのまま締め続けられたら王鎧が砕けていたかもしれない。

 そうこうしているうちに、頭部分のと白狐の決着が着いたらしい。

 ドスンと音を立ててギガントスネークの首が地に落ちた。

 白狐に近付くと

「ふー。上手いこと心臓部を斬ることが出来ました。いやーデカイってだけでやっぱり脅威ですよねぇ。」

 王化を解いた白狐が言う。

「む。我もしてやられた感じだ。」

 こちらも王化を解いた蒼龍が言う。

「どうでした?締め付けは?」

「全く身動きが取れんかった。1人で挑んで巻き付かれたら最後だな。黒猫と藍鷲のお陰で助かった。」

 俺も王化を解いて、黒刃・右月と黒刃・左月を仕舞いながら会話に入る。

「まさか、斬られた胴体部分をだけで動くとはな。驚きだ。」

「ホントにどう言う原理で動いてるのか不思議ですよね。」

「多分脊髄反射ですよ。」

 藍鷲が言う。

「動物には脳からの命令で動くのと脊髄からの命令で動く反射行動があります。恐らくは切り離した胴体に接触刺激があって反射行動として巻き付いたんだと思います。」

「へぇ。詳しいな。」

 俺は感心した。

「脊髄反射か。覚えておこう。」

 蒼龍も知らなかったようだ。


 さて、デカイ蛇の肉が手に入った。

 今日の夕飯は蛇の蒲焼きだな。

 俺達は巨体を影収納に入る大きさに切り分ける。

 途中切った肉を自分のブレスで焼いてドランが食べていた。食欲旺盛である。

 肉を切り分けて全部影収納に仕舞った俺達は野営場所を求めてまた進み始めたのであった。


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