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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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218話 聖都セレスティア14

 買い物しに街にやって来た俺と白狐と藍鷲の3人は、まずは藍鷲が各地に立てる旗の素材を求めて生地屋にやって来た。

「さぁ、いらっしゃい。どんな生地をお探しで?」

 恰幅のいい中年女性店員が声を掛けてくる。

「どんなのが欲しいんだ?」

 俺が尋ねると藍鷲は悩む。

「うーん。大きさは1m、1mの正方形でいいですかね。色は皆さんの名前の色で金色、銀色、白色、黒色、蒼色、茶色、紺色、翡翠の翠色、碧眼の碧色、朱肉の朱色でいいですかね。」

「色んな色が必要なんだね。ちょっと待ってな持ってくるから。」

 そう言うと店員は置くに向かった。

「まずは白色と黒色。」

 白い生地と黒い生地を持ってくる。

「茶色と紺色。」

 次は青色と茶色、紺色の生地を持ってくる。

「次が翠色と碧色と。」

 深めの緑をした翠色と青み掛かった緑をした碧色の生地を持ってきた。

「あー今は蒼色と朱色がないねぇ。青と赤で良いかい?」

 と青色と赤色の生地を持ってきた。

「他との比較が出来るからこれでいいですよ。」

 藍鷲は答える。

「あとは金色と銀色だったね。これも黄色と灰色でいいかねぇ?金糸銀糸は高いから取り扱ってないんだよ。」

「取り扱ってないなら仕方ないですね。黄色と灰色でいいですよ。」

「じゃあこれだね。」

 黄色と灰色の生地を持ってくる。

「で、縦1m、横1mだったかい?」

「はい。1mでお願いします。」

「んじゃ切るからね。」

 店員がメジャーと裁断バサミを使って1mずつの正方形に切っていく。

「1枚大銅貨3枚で十枚だから銀貨3枚だね。」

「はいよー。」

 俺は銀貨3枚を手渡す。

「はい、ちょうど頂きます。また来てね。」

 そう言うと店員は出してきた生地を片付け始めた。

「ありがとさん。」

 俺達は礼を行って店を離れた。


 店を出てから俺は買った生地を影収納に収めた。

 あとは旗の棒と白狐の脇差しだ。

「旗の棒ってどうする?」

「そうですね。突き刺すことも考えて短槍でどうでしょう。」

「短槍ね。だったら脇差しも一緒に買えるな。武器屋に行こうか。」

「はい。」

「脇差し、脇差し♪」

 白狐はご機嫌である。

 聖都には武器屋が3軒ある。

 俺達は1番近かった店に入る。

 中には沢山の剣が壁に飾られており、武器だけでなく鎧等も展示してあった。

 店の奥のカウンターの中からおっさん店主が声を掛けてくる。

「いらっしゃい。何を探してんだい?」

「短槍はあるか?後は脇差しを。」

「素材にこだわりはあるか?」

「短槍の方は鉄でいいよな?」

 俺は藍鷲に確認する。

「はい。地面に刺すだけなので鉄で十分です。」

「うぃ。脇差しはどうする?」

 俺は白狐に聞く。

「そうですね。出来ればアダマンタイト製がいいですけど、難しければミスリル製でも。」

「うちにあるのはミスリル製までだな。アダマンタイト製なら街の中心部に近い武器屋トラネコが取り扱ってるよ。」

 店主が言う。

「そうか。んじゃ脇差しはそっちで見るか。鉄製の短槍はあるかい?」

「あぁ。鉄製なら沢山あるよ。何本必要なんだ?」

「10本欲しいんだけどある?」

「素槍の短槍ならあるぞ。」

 店主が言う。

「素槍でいいよな?」

 俺が藍鷲に尋ねると、

「すいません。素槍ってなんですか?」

 と質問が来た。

「素槍ってのは穂の部分が直剣みたいになってる槍だよ。他には十文字槍だの片鎌槍だの穂の形によって呼び方が変わるんだ。」

 店主が説明してくれた。

「あぁ。それなら素槍でいいです。ご説明ありがとうございます。」

「はいよ。素槍の短槍10本ね。ちょっと待ってろ。奥から持ってくるから。」

 そう言うと店主は店の奥に行った。


 戻って来た店主の腕の中には10本を超える短槍が抱えられていた。

「これがうちにある全部だ。曲がってたりはしないだろうが、好きなのを選んでくれ。」

「藍鷲、選んで。」

「あ、わたしですか。ちなみにお値段に変わりはありますか?」

「いや、鉄製だからな。どれも1本銀貨4枚だ。」

「では適当に10本選びますね。」

 そう言って藍鷲は10本の短槍を選んだ。

「はいよ。これで10本ね。大銀貨4舞だよ。」

「はいよー。」

 俺は大銀貨4枚を店主に手渡す。

「毎度あり。」

 俺達は店を出て、影収納に買った短槍を収めてから、教えて貰った中心部にある武器屋トラネコを目指した。


 武器屋トラネコは直ぐに分かった。

 店先にでかでかと剣の形をした看板が出ていたのだ。

 中に入ると堅物そうなおやっさんが1人カウンターの中にいた。

「らっしゃい。何探してんだ?」

 ぶっきらぼうな言い方である。

「アダマンタイト製の脇差しを探してんだけど、あるかい?」

「脇差しね。それにアダマンタイト製とはね。ちょっと待ってろ。」

 奥に消えていく店主。

 戻った来た時には手に3本の脇差しを持ってきていた。

 長さはそれぞれの30cm、45cm、60cmと差がある。

「んー私の愛刀、白刃白百合が大太刀で約90cmなので、30cmだと短過ぎる感じですね。ちなみにお値段は?」

 白狐が尋ねると

「30cmのが白金貨1枚と大金貨5枚、45cmのが白金貨2枚で、60cmのが白金貨3枚だな。」

 出た億超え。さすがはアダマンタイト製って感じだな。

「ちょっと持ってみてもいいですか?」

「あぁ。なんなら試し切りするか?奥の中庭に試し切りのわら人形はあるが。」

「そうですね。折角だから試し切りさせて下さい。」

「じゃあ、こっちだ。」

 俺達は店主に続いて店の奥に向かう。


 店の奥には中庭があって、1体のわら人形が置かれていた。

「では、まずは45cmの方から。」

 白狐は脇差しを手に取り、わら人形に近付いていく。

 抜刀の構えを取る白狐。その姿が一瞬ブレたかと思えば目の前のわら人形が半分に斬られていた。

「うん。切れ味はいいですね。」

 一瞬体がブレたようにしか見えなかったがその一瞬で刀を抜いてまた鞘に戻していたらしい。とんでもない早業だ。

 これには店主も驚いたようで、

「なんだ?何をしたんだ?」

 と疑問を投げかけて来た。

「あれはあいつの得意な超高速の抜刀術だよ。」

「超高速ったって限度があるだろよ。」

「それだけ凄い使い手って事だよ。」

 45cmの脇差しを置いて60cmの脇差しを手に取る白狐。

「あっ。待ってろ。わら人形替えてやるから。」

 店主は急いでわら人形を新しいものに替えてくれた。

 白狐は60cmの脇差しを持って抜刀術の構えを取る。

 また一瞬体がブレたと思ったらわら人形が半分に斬られて、上の部分がずり落ちてきた。

「うーん。やっぱりある程度長さがあった方が扱いやすいですかね。こっちで良いですか?」

 白狐が俺に聞いてくる。

 まぁ金を出すのは俺だからな。今更白金貨1番くらいを惜しんだりしないさ。

 俺は頷いてやる。

「じゃあこっちの60cmの方を下さい。」

 にこやかに白狐が店主に言う。

「はいよ。白金貨3枚だな。」

「はいよー。」

 俺は白金貨3枚を手渡す。

「はい、毎度あり。」


 買い物を終えた俺達は八百屋、肉屋、調味料屋をはしごしながら神殿に戻る。

 さて、蒼龍も連れて各地を回りますか。


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