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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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215話 聖都セレスティア11

 中庭に移動した俺達。

 確かに中庭にはシュウカイワンの姿があった。

「藍鷲様、白狐様達がお戻りになられました。」

 声を掛けられて振り向く藍鷲こと、シュウカイワン。

 まだ藍鷲ってのには慣れないな。

「あぁ!皆さん。お久しぶりです。」

 にこやかに挨拶してくるシュウカイワン。こうして見るとやっぱり若干顔色が青白いのと、耳が少し尖っている以外は人族と変わりない。魔族だとは言われない限りわからないだろう。

 案の定、紺馬は、

「む?ホントに魔族なのか?人族と見分けがつかないが。」

 と言っていた。

「えぇ。わたしは魔族ではありますが、もともとは何の力もない無能の魔族でした。無能の魔族はほぼ人族と変わらない見た目だと言います。違うのは体内で魔素を魔力に変換する力が備わっているくらいなものです。」

 シュウカイワンが説明する。

 そんなシュウカイワン、藍鷲に白狐が2人を紹介する。

「こちらが精霊神の加護を持つ紺馬さん、こちらが軍神の加護を持つ翠鷹さんです。」

 紹介された2人は頭を下げる。

「精霊王の紺馬だ。よろしく頼む。」

「ウチは賢王、翠鷹です。宜しゅうお願いしますね。」

 それを受けて藍鷲も姿勢を正して頭を下げる。

「藍鷲です。魔神の加護を得た魔王になります。」

「魔族で魔王か。魔王が仲間とは面白いな。」

 紺馬が言う。

「えぇ。まさか魔王とお会いする事になるとは思いもしませんでしたわ。」

 翠鷹も言う。

「はははっ。わたしも自分が魔王になるとは思ってもみませんでしたよ。」

 終始和やかなムードで顔合わせは終わった。


「それで魔法を創ってるんだって?」

 俺が尋ねると、

「はい。一応瞬間移動の仕組みは完成しているんです。ただ、今は目視出来る範囲にしか移動先のゲートを開く事が出来なくて。」

「移動先のゲート?」

「はい。座標を思い浮かべるといいますか、イメージの問題ですかね。移動先を指定する必要があるんです。」

「移動先のイメージねぇ。いっそのこと目印でも立てたらどうだ?」

「え?」

 俺は影収納をガサゴソやって緑色の布きれとナイフを1本取りだした。

「例えば聖都には緑鳥がいるから緑色の旗を立てるのさ。そしたらそこをイメージすればもっと楽になるんじゃないか?」

 そう言うと俺はナイフで緑色の布きれを地面に刺した。

「ここに移動先を指定してみてくれよ。」

「分かりました。魔法の創造には王化する必要がありますので。王化。魔王。」

 藍鷲が言うなり左手小指にしたリングにはまった藍色の石から、藍色の煙が立ち上り藍鷲の姿を覆い隠す。

 次の瞬間、煙は藍鷲の体に吸い込まれるように消えていき、残ったのはどことなく鷲を思わせる藍色のフルフェイスの兜と、同じく藍色の全身鎧に身を包んだ魔王の姿であった。


 俺が布きれを突き刺した位置から20mほど離れた位置に移動して藍鷲が呪文を唱える。

「では、ゲート。」

 藍鷲が言って短杖をかざすと、目の前に巨大な門が現れた。

 大魔王城の銅熊がいた部屋の扉を思わせる造りで若干不気味である。

 次の瞬間には俺が緑色の布を突き刺した場所にもう一つ門が現れた。

 こちらも不気味な造りには変わりない。

「あ。移動先のゲートの指定がスムーズでした。緑色の旗をイメージしたらすぐにゲートが開きました。あ、オープン。」

 言っている間に門が開く。

 藍鷲の目の前の門の先には、俺が突き刺した緑色の布きれが見えた。

 確かに別々の空間が広がっているようだ。

「くぐってみていいか?」

「どうぞどうぞ。」

 俺は藍鷲の巣許可を得てから門をくぐってみた。

 確かに瞬間移動だ。20mほどだが一瞬で移動出来た。

「ワシもくぐってみたい!」

「私も!」

「どうぞ。」

 紫鬼と白狐も門をくぐる。

 俺と同じく20mほどの距離を一瞬で移動した。

「おぉ!」

「凄いですね!」

 2人とも興奮気味である。

「こっちの門をくぐったらどうなる?」

 藍鷲から離れた位置にある門の前で俺が尋ねる。

「こちらに移動出来ますよ。相互移動可能です。」

 俺は布きれを刺した位置に出来た門をくぐる。すると藍鷲の目の前に出てきた。

「クローズ。」

 藍鷲が言うと門が閉まり消えていった。

「これでいけそうな気がします。ちょっと神殿の外からゲートを開きますので少々お待ち下さい。」

 そう言って走って行く藍鷲。


 暫くすると緑色の布きれを刺した地面に先程と同じく門が開き、藍鷲が一瞬のうちに現れる。

「凄い!黒猫さん天才ですね!そうか。移動先に目印を置けばよかったのか。これなら世界各地に目印を置ければ何処にでも移動が出来ます!」

 興奮気味の藍鷲。行き詰まっていたようだが光明が見えた様で良かった。

「でもわたし自身が行ったことのある場所にしかゲートを開けないので先に各地を回る必要がありますね。」

「そうか。じゃあその辺りの話も皆でしようか。金獅子達の所に案内してくれるか?」

 俺は緑鳥に頼む。

「もちろんです。こちらにどうぞ。」

 緑鳥が先頭に立って歩き出す。俺達は後を着いていく。

 なんか緊張するな。どんな顔して会ったらいいんだっけ?

 そんな事を考えながら俺達は祈りの間に移動した。


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