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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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214話 聖都セレスティア10

 俺達が聖都セレスティアに到着したのはヌベラを出発して6日目の事であった。

 時刻はまだ昼下がり。

 馬留に馬を預けた俺達はさっそく神殿に向かった。


 道中、何人かの聖者、聖女と思われるローブ姿の人達に「巡礼ですか?入信ですか?」と聞かれたが、「私達は傭兵なので」っと白狐が言うと離れて行った。何なのだろう?

 気になって白狐に尋ねてみた。

「あぁ。聖邪結界崩壊前は良くあったんですよ。聖都に来る人の多くは聖地巡礼の修行中の聖者、聖女が主なので巡礼ですかって聞かれるんです。他にも聖者、聖女になろうって人も沢山いるので、入信ですかって質問になるわけです。」

「そうだって答えたらどうなるんだろうな?」

「さぁ?神殿に連れて行かれるか、自身の派閥に取り込むのか。神殿にも派閥はあるようですからね。」

「へぇ。神殿は一枚岩だと思ってたよ。」


 歩きながら話す俺達。

「今は緑鳥さんが聖王ですから緑鳥さんの派閥がトップって事ですね。聖王に成りたい人もいるんでしょうから、そう言う人達が別の派閥を創るんでしょう。」

「なるほどな。宗教家も楽じゃないってか。」

「えぇ。緑鳥さんにも政敵というのがいるんだと思います。ただ聖邪結界崩壊を受けてその辺りもどうなったか分かりませんけど。」

「世界が大変な時に人族同士で争っている暇はないって事か。」

「聖王に成りたくても戦いには出たくない人もいるでしょうしね。その点、今の聖王が緑鳥さんで良かったですよね。文句も言わずに戦いの場に出てきてくれるし。」

「そうだな。緑鳥で良かったよ。」

 そんな事を話しながら歩いていたら神殿に到着した。


 神殿の中を行き交う聖者と思しきおじさんに白狐が声を掛ける。

「私達、聖王に用があって来たんですが、今聖王はどちらに?」

「何?聖王様は忙しいお方だ。傭兵如きが簡単に会えるお方ではないわ。」

「あー神徒って言えば分かりますか?」

「何?しんと?何を言っているのかは知らんが聖王様に会いたければそれなりの手順を踏みなさい。」

 そう言っておじさんは去って行った。

「神徒って言っても通じない人もいるんだな?」

「末端の聖者辺りじゃ知らないのかもですね。」

「案内なしでも奥に行けるかな?」

「奥に行くには僧兵が守る扉をくぐる必要がありますからね。誰かわかる人がいればいいんですが。あっあの人、緑鳥さんの側近の人ですよね?」

 言われてそちらを見ても誰を指してるのかわからない。

「ちょっと行って来ます。」

 白狐は俺達を離れて1人の聖女の元へと駆けて行った。


 暫くすると戻ってきて、

「話が通じる人がいました。奥に案内して下さるそうです。」

「それは良かった。」

 俺達は聖女の後を着いていく。

「聖都には初めて来たが随分立派な神殿があるのだな?」

 紺馬が言う。

「ウチが聞いた話やと世界最古の建物らしいですよ。何千年か何万年かずっと建ってるって事になりますわ。」

 翠鷹が解説してくれる。

「所々補修は入ってますがベースは建てられた時のままなんですよ。」

 先を行く聖女が補足してくれた。

 そんな話をしていると執務室らしき場所に案内された。


 案内してくれた聖女が扉をノックする。

「聖王様。神徒の皆様がおいでです。」

 すると中から声がした。

「入って頂いて下さい。」

「失礼します。こちらへ。」

 聖女が扉を開けて中へと促してくれた。

「では私はこれで。」

 聖女が去って行く。

 執務室の中では緑鳥が机に向かっていた。

「ちょっと待って下さいね。これだけ仕上げてしまいますから。」

 何やら書類を書いていた。


 暫く待つと顔を上げて席を立つ。

「すいません。お待たせしました。」

「そんなに待ってないから大丈夫ですよ。」

「白狐様に紫鬼様。長旅お疲れ様でした。」

「あぁ。ホントに長旅だったな。結局4か月以上掛かってしまったな。」

「黒猫様もお久しぶりです。お元気そうで何よりです。」

「あぁ。久しぶり。自分から出て行ったのに戻ってきちゃったよ。」

「何を仰いますか。戻られて安心しました。」

「こちらはエルフの里で仲間になった紺馬さんと、ララ法国で軍師をされてた翠鷹さんです。」

 白狐が2人を紹介する。

「わたしは聖王をやらせて頂いております、緑鳥と申します。よろしくお願い致します。」

 緑鳥が深々と頭を下げる。

「あぁ。精霊王の紺馬だ。よろしく。」

「ウチは軍神の加護を得た賢王、翠鷹言います。宜しゅうお願いします。」

 2人も頭を下げる。


 顔合わせは終了だ。あとのメンツにも会わないとな。

「それで他の皆は?」

 俺が尋ねると、

「あぁ。皆様は祈りの間にて王化持続時間を延ばすために特訓されてます。藍鷲さんは中庭で魔法の創造をされてます。」

「魔法の創造?造れるって事か?」

「えぇ。神託がありまして、各地を移動する為に神々が使う瞬間移動の魔法、ゲートと言う魔法を創造されております。」

「そうか。藍鷲ってシュウカイワンなんだよな?」

「えぇ。あのシュウカイワン様です。」

「確かに魔法組み合わせて新しい魔法造ったりしてたもんな。」

「はい。その力が魔王に選ばれてから飛躍的に上がったそうです。」

「シュウカイワン?」

 紺馬が疑問を口にする。

「あぁ。魔族領で一緒に旅してた奴なんだ。魔族だけど気持ちの良い奴だよ。今は藍鷲と名乗ってるらしいけど。」

「魔族…?大丈夫なのかそいつ。」

「問題ありません。今も必死に甲蟲人対策の為にご尽力頂いてますから。」

「そうか。問題ないなら魔族でもワタシは構わない。」

「ウチも魔族に対する偏見は特にありゃしません。」

 2人は魔族のシュウカイワンでも受け入れてくれるそうだ。つい口が滑って魔族だってバラしちゃったけど、今後一緒にやっていく仲間なんだし、言っておいた方がいいだろう。

「ではさっそく藍鷲様のところから参りましょう。」

 緑鳥に続いて中庭に向かう俺達であった。


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