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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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207話 聖都セレスティア8

 1週間に渡る主神祭が終わった。

 この1週間は訓練に入る事もなく、のんびりと過ごしていた金獅子達だったが、祭りも終わった為、また特訓の日々に戻った。


 そんな特訓の合間に金獅子と銀狼、蒼龍は藍鷲の魔法創造の様子を見に来ていた。

「どんな感じだい?」

 気安く銀狼が話しかける。

 王化状態の藍鷲がそれに気付き振り向く。

「あ、皆さん。ゲートの魔法自体は創造出来たんです。ちょっと見ていて下さい。」

 そう言うと藍鷲は目の前に短杖を振るう。

「ゲート!」

 藍鷲が言うと目の前に3mはありそうな重厚な扉が現れる。

 扉の周りには装飾が施されており、まるで銅熊がいたあの部屋の扉のようだった。最上部には髑髏すらくっついている。


 暫くすると中庭の100mほど離れた位置にも同じ様な扉が浮かび上がる。

「オープン!」

 その言葉を合図にその扉が開くと離れた位置にある庭の花々が門の中に広がっていた。

「凄いな。くぐってみていいか?」

 金獅子が興味津々といった様子で問いかける。

「はい。くぐってみて頂いて問題ありません。自分でも何度も試してますから。」

「ではくぐるぞ。」

 金獅子が藍鷲の前の扉をくぐると、その姿は100m先の扉の中から出てきた。

「おぉ!凄いな!離れた位置に瞬間移動したぞ!」

 興奮気味の金獅子。


「オレもくぐってみたい。」

「我もいいか?」

 その様子を見ていた銀狼と蒼龍も興味津々である。

「どうぞどうぞ。」

 2人が門をくぐる。すると100m先の門からその姿が出てくる。

「逆にそちらをくぐればこちらに戻って来られますよ。」

 藍鷲の言葉に3人が100m先の門をくぐると、先程までいた藍鷲の前の門から出てきた。

「凄いな!ホントに瞬間移動だ。」

「うむ。くぐった時にも何の抵抗も感じない。少しくらい次元を超えた際には抵抗があると思っていたが。」

 感動すら覚える銀狼。

 冷静に魔法の負荷を感じ取ろうとしていた蒼龍。

「はい。あくまで門をくぐるだけで離れた位置に移動出来るようにしました。」

 藍鷲が言う。


「これが出来ればもう魔法は完成ではないのか?」

 金獅子が問う。

「いえ。移動先に門を開くのが、今は目につく範囲に限られているんです。街の外に出てみようとしたんですが、中々街の外に門を開くイメージが出来なくて。」

「そうか。今は目につく範囲内での瞬間移動しか出来ないと言う事か。」

「はい。もう少しではあるんですけど。」

 と門を見上げて銀狼が尋ねる。

「それにしても、この悪趣味な門の形状はどうにかならなかったのか?まるで大魔王がいた部屋の門じゃないか?」

「そうなんですよね。あの門の前で皆さんを待っていたせいか、門を想像したらあの形になってしまって。」

「あー長時間見つめていた門だから記憶に残っちまったのか。」

「はい。今から門のイメージを変えるとなると創造し直す事になってしまうので、もうこのままいこうかと。」

「見てくれはどうでも良かろう?その魔法の効果さえ間違いなければ問題はない。」

 金獅子が言う。

「うむ。それだけあの時の門を見つめていた記憶が鮮明だったと言う事だな。」

 蒼龍も頷いている。

「そうなんです。あ、クローズ。」

 門が閉まって消えていく。

「門を開いている間は絶えず魔力消費するのでこまめに開けては閉じてを繰り返しているんです。」

 藍鷲が説明してくれる。


「王化持続時間の方はどうだ?」

 銀狼が尋ねる。

「はい。毎日限界まで王化して魔法の創造をしていたので、今は1時間程度は王化を続ける事が出来ています。」

「そうか。理想を言えば3時間。少なくても2時間を目標にして欲しい。」

「はい。皆さんの方はどうですか?延びてます?」

「俺様と銀狼は1時間半程度は王化持続出来るようになった。」

「我は中々に厳しいな。2時間と10分程度で止まっている。」

「蒼龍さんは元々が2時間王化出来たんですもんね。やっぱり最初の方が延びはいいんですね。」

「あぁ。2時間を超えてからが難しいところだな。」

 藍鷲の言葉に蒼龍が答える。

「茶牛さんと碧鰐さんはどうです?」

「あぁ。あの2人も1時間は王化出来るようになってる。茶牛の方は今は1時間10分くらいだ。」

 銀狼が答える。

「いずれにせよ、あと5ヶ月程度だ。それまでには王化持続時間も延ばしつつ、魔法も、完成させなければならない。藍鷲の方が負担は大きいが、頼んだ。」

「はい!任せて下さい。」

 蒼龍の言葉に強く頷く藍鷲であった。


 緑鳥が探していたと聖女に聞いて、急ぎ祈りの間へと戻る金獅子達。

 そこには緑鳥の姿があった。

「どうかしたか?探していたと聞いたが?」

「はい。白狐様から通信がありまして、現在はララ法国の首都ララ・ダウトに到着されたそうです。」

「まだララ・ダウトか。そうなると後一月はかかるだろうな。」

 金獅子が顎髭を撫でながら言う。

「そうですね。そうなると皆さんには一刻も早く王化状態を延ばして頂き、藍鷲様と各地を巡って頂く必要があるかと存じます。」

「そうか。藍鷲の魔法は行ったことのある場所にしか行けないんだったな。」

 銀狼が気付く。

「そうです。流石に行ったことのない土地にゲートを開くのは難しいと聖神様もおっしゃっておりましたから。」

「順当に行けば俺様と蒼龍、それに銀狼と藍鷲の4人くらいで各地を回る事になるか。」

「茶牛と碧鰐には残って王化持続時間を延ばす特訓を続けて貰う感じだな。」

 金獅子の言葉に銀狼も頷く。

「ひとまずは金獅子と銀狼が2時間の王化状態継続が出来るようになる事と、藍鷲の魔法の完成を待ってから出発だな。」

 蒼龍が言う。

「だな。じゃあまずは俺様達が頑張らねばな。」

 金獅子が祈りの間へと入っていく。

「そうだな。」

 続いて銀狼も入る。

「また、何かあったら教えてくれ。じゃあ特訓に戻る。」

「はい。頑張って下さいね。」

 緑鳥に見送られて蒼龍も祈りの間に入る。


 甲蟲人の侵攻まであと5ヶ月程度である。

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