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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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201話 ララ法国9

 ケイル王国首都ケイルを出発した俺達がララ法国の首都ララ・ダウトに到着したのは8日後の事だった。

 旅の間は順調そのもので、魔物・魔獣が出ようとも紺馬、翠鷹も王化して退治に動いてくれるお陰で1人当たりの対処数も格段に減り、皆怪我を負うこともなく戦闘を終了させる事が出来ていた。

 特に紺馬のあの1度に3射~5射する弓技が凄い。

 5射にもなると狙いが付けにくくなるようだが、3射までは確実に相手の弱点を狙って射ることが出来ている。

 どんな訓練を積んだら出来るのか、全くわからない妙技だった。

 それに翠鷹の細剣使いも絶妙だ。

 兎に角相手の弱い所を目にも留まらぬ高速で突き刺さしまくる剣技は見ていても素晴らしいとしかいいようがない。

 白狐は相変わらずBランク程度なら一刀の元に斬り捨てるし、紫鬼はパンチで頭を爆散させるなんてのがざらだ。

 その点、俺はと言えば相手の首筋にナイフを走らせるだけ。

 中にはそれで首を刎ねる事もあるがほとんどが出血多量で事切れるのを待つ感じだ。華がない。

 大量に影収納には投げナイフのストックがある。

 どうにかして影縫いなどの妖術も覚えられないものだろうか。

 こんの事ならもっとちゃんとヨルに色々とレクチャーして貰うべきだったと後悔した。いや、後悔役に立たずだ。前を向こう。


 ララ・ダウトには途中休憩で寄っただけである。

 特に用事があるわけではない。

 だから俺は街を歩き、気になる食材を買い集めていた。

 傍らには白狐のみ。

 他のメンツは宿屋で休むそうだ。

 俺よりも長く旅を続けている分、疲れも溜まっているだろう。

 白狐も休めばいいのに、ついてくると言って聞かないので、一緒に買い物している。

 ララ・ダウトの街並みは煉瓦造りの家や石材で出来た家、木造で出来た家など、統一性のない作りになっていた。

 これはララ・ダウトの周りの土地に森もあれば岩山もあり、様々な資材が手に入る環境だからだと到着した時に翠鷹に教えて貰った。

 木造家屋の横に煉瓦住宅があったり、石造住宅があったり、見ていても飽きない街の造りになっていた。

 そんな俺は八百屋の前で足を止める。

 色鮮やかなパプリカを見つけたのだ。

 赤に黄色、オレンジの3色だ。俺はそれらとピーマン、タマネギを大量に購入した。

 パプリカとピーマンがあればアレを作るしかない。

 ドライカレーだ。

 その後は肉屋に行って粗挽き肉と細挽き肉を購入した。

 早速先日貰ったレシピが役に立つ時がやって来たのだ。


 宿屋に戻った俺は早速調理に取りかかる為に、厨房を借りた。

 宿屋の店主は穏やかそうな人で無償で厨房を貸してくれると言う。

 まずは具材を切る。

 白狐も手伝ってくれると言うのでタマネギ、ピーマン、パプリカをみじん切りにして貰う。

 その隣で俺はショウガとニンニクを大量にすりおろす。

 ニンニクは大量に扱うと指先が痛くなるのでこまめに手を洗う事も忘れない。

 ある程度すりおろしたら次は肉だ。

 先日貰ったレシピ通りに粗挽き肉と細挽き肉を混ぜ合わせる。

 そして親指の先くらいの大きさの肉団子を大量に作っていく。

 タマネギなどのみじん切りが終わった白狐にはデッカいフライパンでタマネギを炒めて貰う。

 飴色にする為、中火でゆっくりとかき混ぜながら炒める。強火でやると焦げるから要注意だ。

 飴色になる手前でパプリカ、ピーマンも投入する。

 軽く焦げ目を付けるくらいがちょうどいい。

 そしたら一旦皿にあけて、フライパンで親指の先くらいのサイズのミンチ肉を炒める。

 焦げ付かないように気をつけつつ周りにきちんと火が通ったら皿にあけたピーマン、パプリカ、タマネギをフライパンに戻す。

 そこで、大量のすりおろしニンニク、すりおろしショウガを投入する。

 そこで俺特製のスパイスの出番である。

 全て混ぜ合わせたところで完成である。

 プチハンバーグドライカレーだ。

 肉の割合に拘っている為、食べる肉団子によっては食感が異なっていい感じに出来上がった。

 味見した白狐も

「美味しいですぅ。」

 と言ってくれた。

 大量に作ったので小さい鍋に小分けにして影収納に入れ込んでいく。

 今日の夕飯の準備は完了である。


 夕飯の時間になり皆が宿屋の食堂に集まってくる。

 俺は早速作ったドライカレーをよそって渡してやると、

「おぉ。ドライカレーではないか。エルフの里ではカレーと言ったらドライカレーなのだ。」

「どらいかれー?初めて食べますなぁ。」

 と紺馬と翠鷹の反応はそれぞれ違う。

「おぉ。ドライカレーか。ワシはこれも好きだぞ。」

 紫鬼も反応はいい。

 いざ実食の時である。

 3人がスプーンを口に運ぶ。

「なんだこれは?里で食べていたものよりも美味しいじゃないか!」

「どらいかれーも美味しいですなぁ。」

「うんうん。この味じゃ。これも美味いのぅ。肉がゴロゴロ入っとるのがいいな。」

 評価も上々だった。

 俺と白狐も食べ始める。

「うーん。やっぱりクロさんのカレーは格別ですねぇ。」

 白狐の評価もいい感じだ。

 自分で食べてみても初めて肉団子で作ってみたがこれはこれで肉肉しさをより感じられてありだと思った。


 そんな食事を終えて、流石にここでも仕事(盗み)すると2人にバレそうだったので、皆と一緒に就寝したのだった。


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