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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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198話 マジックシティ5

 金獅子達がマジックシティを出てから4日目。

 それまでは順調だった旅路に邪魔者が入った。

 ワイバーンの群れだ。

 ちょっとした崖の上に巣を作っており、その数は十数にも及んだ。

 ワイバーンと言えばBランクの魔物であり、その数を考えると騎乗の馬を守りながらの戦闘はなかなか厳しそうな雰囲気だった。


「王化!獣王!」

 金獅子が声を上げると、右手中指のリングにはまる金色の王玉から金色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると獅子を想起させるフルフェイスの兜に金色に輝く王鎧を身に着けた獣王形態となる。

「王化!牙王!」

 銀狼が声を上げると、左手中指のリングにはまる王玉から銀色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると狼を象ったフルフェイスの兜に銀色に輝く王鎧を身に着けた牙王形態となる。

「王化。仁王。」

 碧鰐が声を上げると、右手人差しのリングにはまる王玉から碧色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると鰐を想わせるフルフェイスの兜に碧色の王鎧を身に着けた仁王形態となる。

 王化持続時間を延ばす事を目的として戦闘の際には王化するようにしている。

 いつもは連戦を想定して1人ずつ王化していたりしたのだが、流石にBランク数十ともなれば全員で挑む必要がある。


 と、ここで仁王の権能が明らかになった。

 それは障壁と作製出来ると言う権能である。

 仁王化してからでないと使えないようだが、その障壁は自身の前面だけでなく、自身から離れた位置にも展開出来るらしい。

 今までは自分が戦う際に使用する程度だった為、碧鰐自身も知らなかったようだが、馬を離れた位置に待機させ、その馬の前に障壁展開してみたら出来たそうだ。

 しかもその展開数はサイズにもよるが、通常であれば16枚。

 四方を守るにしても各方面4枚ずつ展開出来る。

 これは金獅子達にとって僥倖だった。

 魔族領に行った時には聖王、緑鳥を守る護衛を必ず置いていたが、この障壁があれば聖王を障壁内に入れ守り抜く事が出来る。

 そうなれば碧鰐自身も前線に出て戦う事が出来、戦闘力の向上が見込まれる。


 そんな障壁を馬達の周り四方に展開し、金獅子、銀狼、碧鰐はワイバーンに対峙した。

 ワイバーンの攻撃手段は鋭い牙による噛みつきか、鋭い爪による爪擊である。

 ドラゴンと異なり前腕が翼となっている為、脚での爪擊になる。

 しかし、やはり空飛ぶ魔物、1番厄介なのはその翼による飛行である。

 上空から急降下してきて牙または爪での攻撃を仕掛けてくる。

 金獅子達はそれを弾き返しながら翼を狙って攻撃を仕掛ける。

 しかし中々相手も翼を攻撃させてはくれない。そこで痺れを切らした金獅子と銀狼が技を繰り出す。

「断頭斬!」

「氷塊弾!」

 金獅子が大きく跳び上がり上空のワイバーンの1体を大剣で斬り伏せる。

 銀狼が振り抜いた双剣から氷塊を弾の如き速度で射出し、上空のワイバーンにぶち当てる。

 斬られたワイバーン、氷塊が当たったワイバーンが墜落してくる。

 碧鰐はそれらを確実に仕留めて行く。

「断頭斬!」

「氷塊弾!」

 ワイバーンが次々と墜落していく。

「兜割り!」

 碧鰐も跳躍からの戦斧の振り下ろしでワイバーンの頭を割る。

「大木断!」

 丸で大木を切り倒す彼の如き太刀筋でワイバーンの首を刈る。

 そんな戦闘を30分も続けた後、ワイバーンを全て駆逐する事が出来た。


 ワイバーンと言えばその爪が傭兵ギルドで売れる事で有名である。

 流石に指1本1本から爪だけ抜くのは手間であった為、その脚を斬り取る事にした。

 あまり荷物になっても困るので足首ギリギリを切断していく。

「それにしても仁王の権能は凄いものだな。ワイバーンの突撃も弾き返しておったわ。」

「まぁな。オラァもよく1人で戦ってた時には世話になったからな。」

 仁王の権能により生み出された障壁は聖術のシールドと異なり1回の攻撃を防ぐものではなくそれなりの耐久性もある。

「どのくらいの耐久性があるんだ?試しても良いか?」

「あぁ。ちょっと待て。今馬達を避難させるから。」

 そう言うと三方の障壁を消し馬達を障壁の前から避難させた。

「さぁどうぞ。」

「うむ。ではいくぞ!」

 金獅子による大剣の全力フルスイングだ。

 ガキンッと音がして大剣が弾かれた。

「おぉ!弾かれたぞ!次はどうだ。」

 それから障壁1枚は4回の大剣の全力フルスイングを耐えた。

 5回目のフルスイングを受けてパリンと音を立てて崩れ落ちた障壁。

 それでも金獅子の全力フルスイングを5回も防いだのだ。それが4枚ともなれはかなりの防御力である。

「うむ。かなりの強度だな。俺様の全力のフルスイングなら鉄の盾すら曲げるからな。それ以上の強度だ。」

「オラァも障壁が割れたの初めて見たわ。凄い膂力だな。」

「なぁ。権能の確認もいいけど、手伝ってくれよ。ワイバーンの数十もいるだから分担して爪回収しようぜ。」

「うむ。そうだな。さっさと回収するか。」

 その時になって碧鰐の王化が解けた。

 40分程度にまで王化持続時間が延びている。

 やはり限界まで王化を続ける事で王化持続時間を延ばす事が出来ている。

 金獅子、銀狼も王化の限界まで王化を続ける。

 そうしてワイバーンの爪の回収を終えた3人は再び聖都に向けて進み出すのであった。


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