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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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193話 クロムウェル帝国5

 帝国の第三の都市ガルダイアで領主への面会を求めていた金獅子達。

 そこに緑鳥から連絡が入り、6人目となるシュウカイワン、今は藍鷲と名乗っている魔王が合流したと言う。

 であればもう領主に会う必要もなくなったのだが、一度面会を申し入れてしまった為、ひとまずは会ってから聖都に戻る事にした金獅子達。

 宿屋への使者はその日のうちにやって来た。

「明日の9時に領主邸に来て頂きたい。」

 執事らしき恰好をした壮年の男に言われた為、それを了承した金獅子。

 6人目が見つかった為、酒場での聞き込みも必要なくなり、ちょうど宿屋にいたのだ。

 その日は翌日に備えて早く就寝した金獅子達であった。


 明けて翌日。

 朝9時に領主邸に到着した金獅子達。

 門番は金獅子達の訪問を聞かされていたようで、スムーズに中に入れられた。

 門をくぐり、長い庭を歩き、屋敷の扉の前で昨日の執事らしき壮年の男に出迎えられた。

「ようこそおいで下さいました。こちらへどうぞ。」

 執事に言われるがままに屋敷に入り、応接室に入れられる。

「もうすぐ主人が参ります。少々お待ちください。」

 執事は部屋を出て言った。

 応接室には金がかけられていると一目でわかるような調度品が溢れていた。ここの領主は自身の権力を見せつけたいタイプらしい。

 しばらく待つと、応接室の扉が開き、全身着飾った太めの男が入って来た。

 金獅子達は一応立ち上がり太めの男が口を開くのを待った。

「ワシがこの街の領主、ジェイコブだ。」

 太った男が言う。

「俺様は金獅子。獣王国の国王をしておる。」

 金獅子が言うと太った男、ジェイゴブは慌てる。

「そんな。獣王国の国王ですって!?ワシは傭兵団が来るものだとばかり思っておりましたが。」

 言葉遣いも変わって慌てるジェイコブ。

「そうだな。今は訳あって傭兵団として行動しておる。気遣いは無用だ。」

「そうですか。獣王国の国王様。残りの2名はお供ですかな?」

「いや。仲間だ。傭兵団の一員、こっちの銀髪が銀狼、こっちのスキンヘッドが碧鰐だ。」

「銀狼だ。」

「碧鰐です。」

 2人も挨拶する。


「いやーそうですか。国王が傭兵団に。ほうほう。そんな事もあるんですな。」

 ジェイコブは座りながら金獅子達にも椅子を勧める。

「それでモーリスのカイゼスからの紹介状は読みました。なんでも探し人だとか?」

 それを聞いた金獅子は申し訳なさそうに言う。

「いやな。人探しの旅に出ておったのだが、昨日聖都の方にその捜索していた人物が現れたと言うのでな。実はもう目的は達成出来たのだ。」

「へ?そうなんですか?」

「あぁ。ちょうど昨日連絡があってな。探し人が聖都に現れたようだ。」

「ほうほぅ。自分から集まってきたと言う訳ですか。」

「あぁ。だから人捜しは不要だ。しかし、邪神復活と甲蟲人の侵攻があるからな。将軍のバルバドスから聞いているか?」

「はい。つい先日首都から使者が来ましてね。なんでも半年後くらいに異界からの侵略者が攻め入ってくるとか?」

「あぁ。その認識で間違ってはいないな。」

「ですから今から街の軍備を調えるのにバタついてましてね。」

「そんな時に来てしまって悪いな。」

「いえいえ。正式な紹介状をお持ちの方を待たせる訳にもいきませんからな。」

「うむ。助かる。だが甲蟲人の侵略についても知っているようであればもう用件は済んだ。ここらでおいとましよう。」

「はい。獣王国の方もくれぐれもご注意下さい。」

「ありがとう。ではこれで。」

金獅子達は応接室を後にし、領主邸から帰る。


「もう聖都に戻るんだろ?どう言う道程で行くよ?砂漠を抜けるのが1番早いが。」

銀狼が問いかける。

「そうさな。砂漠の旅はこりごりなんだが、3人いれば平気か。北をぐるりと回るとなると時間もかかるしな。」

「砂漠を行くのか?なら馬じゃなくて駱駝の方がいいんじゃないか?」

碧鰐が言う。

「うーん。しかし砂漠を抜けてからは馬の方が早かろう。」

「それはそうだが、馬だと水を大量に持ち歩かないといけないだろ?砂漠では駱駝を買って、砂漠を抜けてから馬を買い直した方がいいのではないか?」

碧鰐が言う。

「オレの馬はそれなりに一緒に旅してきた奴だからな。手放したくはないな。」

銀狼が反論する。

「俺様はモリノで買った馬だからな。まぁ手放しても惜しくはないな。」

「オラォの馬も買って貰っておいてなんだが、砂漠を抜けるのには適してないだろうさ。」

「ではこうしよう。俺様と碧鰐の馬は売って駱駝に買い換える。銀狼の馬はそのまま連れて行こう。」

「兄貴がそれでいいならオレは構わない。」

「オラォも賛成だ。」

と言う事で金獅子が乗っていた馬と碧鰐に買った馬はここガルダイアで売り、代わりに駱駝を買うことにした。


帝国のすぐ隣は砂漠地帯の為、ここガルダイアでも多くの駱駝が売られていた。

まずは牧場に行って馬を売りたい旨話をすると、馬留に泊めている馬の査定に向かった。

まど若く力強い事から2頭で大金貨2枚と金貨5枚の値がついた。

「今までありがとうな。」

金獅子は自身を乗せてきた馬に最後の挨拶をした。

そのまま馬は牧場に連れて行かれ、牧場で駱駝の購入に移る。

駱駝は馬よりも安く、2頭で大金貨1枚で買えた。

そのまま駱駝を連れて街で水や食料を買い込む。

砂漠から来たのか、他にも駱駝を連れて歩く人はちらほら見られた。

準備は整った。

いざ砂漠を越えて1番近場の首都マジックヘブンを目指す。


金獅子にとっては今旅2回目の砂漠越えが始まった。


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