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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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192話 ケイル王国1

 旧王国首都ワンズと聖都セレスティアの間には小国のケイル王国がある。

 最近、ララ法国との戦争に負けた国と言えばわかりやすいだろうか。

「ケイル王国までは1週間程度ですかね?」

 宿屋から出て馬留に向かう途中で白狐が言う。

「あぁ。途中の魔物にどれだけ遭遇するかで変わるけど、大体そんなもんだろう。」

 俺は答える。

 ワンズとケイル王国首都ケイルの間は森と草原になっており、そこまで起伏は激しくない。

 その為、草原は馬で駆け、森は慎重に馬で進めば1週間くらいで到着する。

 ワンズの馬留に来た俺達。

 そこで俺は見慣れない馬車を見つけた。

「これってもしかして?」

「あぁ。ワタシが乗ってきた馬車だ。荷台に翠鷹も乗るぞ。」

 紺馬が答える。

「まぢか。馬車じゃ森を抜けるのは厳しいだろ。ワンズに来る時はどういったルートで来たんだ?」

「聖都に向かおうとしてたところで引き返して、森は北に迂回して街道を走ってきました。」

 白狐が答えてくれる。

「じゃあ、同じ道のりで行くか。街道をひたすら走る感じで。途中の分かれ道を南下してケイルに寄ろうか。」

「この辺の地理に詳しくなりましたね。クロさん。」

「あぁ。1人で仕事(盗み)しに色々回ったからな。」

「成長しましたね。」

 白狐に褒められた。

 そうして俺達5人はワンズを後にしたのだった。


 街道沿いを行く為、そこまで強力な魔物は現れない。出てきてもホーンラビットやブレードラビットなどの兎種やジャイアントボアなどの猪種程度である。

 そのほとんどは馬車に近づく前に紺馬が射て殺していた。

 今まで弓矢使いはいなかったが、いればここまで頼りになるとは新発見だった。

 射殺した兎種や猪種はすぐさま血抜きして影収納に収めた。

「ホントに倒した魔物は喰らうのだな。」

 紺馬が驚いたように言う。

「今までは携行食だけで?倒した魔物の肉を焼いたりもしただろ?」

「確かにすぐ様昼食打の夕食だのの時間になれば食べたが普通は持ち歩くのが大変だからな。倒しても放置した魔物の方が圧倒的に多い。」

「そうか。俺の場合は影収納に入れておけば時間経過による劣化も防げるからな。」

「なんだその便利機能は?ホントに便利な術だな。」

 紺馬が言う。

「まぁな。俺も最初は驚いたもんだ。とんでもない性能の保管庫だなって。」

「ほんま。ウチも欲しい術ですわ。」

 馬車の荷台から顔を出した翠鷹も言ってくる。


 1日目、2日目は何事もなく街道を進んだ。

 3日目の昼過ぎにそいつらは現れた。

 オーガだ。しかも群れてやがる。

 オーガ10体にホブゴブリン10体、ゴブリン20体の大所帯だった。

「数が多いから王化して挑みましょう。王化。破王。」

 白狐が王化し、右耳のピアスにはまる王玉から真っ白な煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると狐を想起させるフルフェイスの兜に真っ白な王鎧を身に着けた破王形態となり駆け出す。

「王化!鬼王!剛鬼!」

 紫鬼が王化し、右腕にしたバングルにはまる王玉から赤紫色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると額に2本の角を持つ鬼を象ったフルフェイスの兜に赤紫色の王鎧を身に着けた鬼王形態となり駆け出す。

「王化!精霊王!」

 紺馬が王化し、左手薬指のリングにはまる王玉から紺色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると馬を象ったフルフェイスの兜に紺色に輝く王鎧を身に着けた精霊王形態となる。

「王化!賢王!」

 翠鷹が王化し、右手薬指のリングにはまる王玉から翠色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると鷹を象ったフルフェイスの兜に翠色に輝く王鎧を身に着けた賢王形態となる。

 最後の俺も王化する。

「王化!夜王!!」

 左耳のピアスにはまる王玉から真っ黒な煙を吐き出しその身に纏う。

 その後煙が晴れると猫を思わせるフルフェイスの兜に真っ黒な全身鎧、王鎧を身に着けた夜王形態となる。

 俺は影収納から主力武器である黒刃・右月と黒刃・左月を取り出す。


 矢を持たずに紺馬が弓を番える動作をすると風の矢が発生し、真っすぐオーガの左目に突き刺さった。

「グオォォォォ!」

 呻くオーガ。その他のオーガ、ホブゴブリン、ゴブリンが俺達を敵だと認識して襲い掛かってくる。

 翠鷹は細剣を装備し、迫りくるオーガを突刺し、穴だらけにした。

 そこに紫鬼が間に入り、剛腕から繰り出す拳でオーガを殴りつけて吹き飛ばした。

「グガァァァァ!」

 白狐は抜刀の構えから神速の抜刀術でオーガの首を斬り落とす。

「グェ!」

 俺も負けじと跳躍しオーガの首筋に黒刃・左月を振り抜く。首こそ落ちなかったが動脈を切断されたオーガは首から大量出血してその場に崩れ落ちた。

 紺馬が風の矢を同時に3本も射放つ。左目を突刺されたオーガの右目、額、首筋に3本の矢が命中し、オーガはその場に倒れ込んだ。

 紫鬼が剛腕を振るってオーガを次々を吹き飛ばす。

「「「グオォォォ!」」」

 翠鷹が細剣でホブゴブリン、ゴブリンを突刺して倒していく。

 紫鬼に吹き飛ばされたオーガを追って、白狐が白刃・白百合を振り抜く。首を刎ねられたオーガがその場に沈む。

 腹部に強烈なアッパーを叩き込んだ紫鬼が蹲ったオーガの後頭部を両手を組んで振り下ろし、ダブルスレッジハンマーを繰り出す。後頭部を強打されたオーガはそのまま頭を地面にめり込ませる事となった。

 俺はオーガの首元へと跳躍し、その首筋を斬る事に専念する。

 気が付けば10体もいたオーガ、ホブゴブリン達は皆その場に崩れ落ち、残るはゴブリン数体となった。

 四方八方に逃げ出すゴブリン達。そんなゴブリンを狙って一度に3本の矢を放つ紺馬。

 3本の矢は次々とゴブリンの後頭部に突き刺さり、その場に沈ませた。

 紺馬に翠鷹の戦闘の様子は初めて見るが強い。つい最近王になったとは思えないくらい王化を完璧に使いこなしているようだ。

 戦闘開始から30分も経過した頃、紺馬と翠鷹の王化が解けた。王化持続時間が30分程度らしい。

 俺の王化持続時間を確認する為、俺は王化を継続する。

「「王化。解除。」」

 白狐と紫鬼は王化を解除する。

 また馬と馬車で街道を進む。

 王化から2時間くらいが経過して俺の王化が解けた。ヨルが王化した時と同様に2時間程度は王化出来るらしいことが分かったのであった。


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