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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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189話 聖都セレスティア3

 緑鳥は慌てて金獅子に通信用水晶で連絡を取った。

「金獅子様!金獅子様!」

『どうした?緑鳥。珍しく慌てて。』

 水晶から金獅子の声が聞こえる。

「それが先程6人目の神徒が聖都に自ら現れたのです。しかもそれがシュウカイワン様で、今は藍鷲と名乗っていらっしゃって。」

 まだ慌てている緑鳥は早口で説明する。

『何?よく分からん。6人目が揃ったのか?』

「はい。6人目が聖都に現れました。」

『そうか。そうかそれほ僥倖。で、それがシュウカイワンだと?』

「はい。6人目、魔王に成られたのはシュウカイワン様でした。」

『ほう。そんの事もあるか。まぁ確かに魔神の加護を得るとしたら魔族の中に現れてもおかしくなかったか。』

「はい。そうですね。盲点でした。」

『で、そのシュウカイワンが藍鷲と名乗っていると?』

「はい。人族領でシュウカイワンと名乗ると魔族である事が丸わかりだと言う事で鳥の鷲に海の海湾色で、藍色の鷲、藍鷲様と名乗っているそうです。」

『そうか。確かに魔族だと分かれば人族領の人々が忌避するかもしれんな。名前を変えて正解だな。』

「そうですね。まだ魔族の中にも人族と共闘出来る方もいるとは知られていませんしね。」

『うむ。その通りだ。兎に角6人目も集まったのであればもうガルダイアいる必要もないな。聖都に戻る事にしよう。』

「はい。わたしはまた神交して神様の御言葉を聞きたいと思います。」

『うむ。次は神器の使い方だな。よろしく頼む。』

「はい。お任せ下さい。」

 そう言って通信を切った。


 次は白狐達にも連絡する。

「白狐様、白狐様。聞こえますか?」

 先程よりは落ち着いてきた緑鳥は静かに通信用水晶に語りかける。

『はいはい。緑鳥さん。どうしました?』

 水晶から白狐の声が聞こえる。

「先程聖都に6人目の神徒がやってきました。しかも白狐様も御存知の方です。」

『6人目が見つかったんですか?しかも直接聖都に?知り合いって誰です?』

「シュウカイワン様です。シュウカイワン様が魔神の加護を授かって魔王になって人族領に来たんです。」

『シュウカイワンさんが?なるほど。魔神の加護を得るのは魔族の可能性もありましたね。盲点でした。』

「はい。わたしもそれは頭になかったです。」

『でも6人目が見つかって良かったです。』

「それで人族領を来る時にシュウカイワンの名だと魔族だとバレて騒ぎになる為、名前を変えたそうです。シュウカイワンは鳥の鷲に、海の海湾と言う事で、海湾色の藍色に鷲で藍鷲様と名乗っておいでです。」

『藍鷲?まぁ、確かにシュウカイワンのままだと魔族だってバレてしまいますもんね。藍鷲さんですか。分かりました。紫鬼さんにも伝えておきますね。』

「はい。お願い致します。わたしはまた神交を行い、神器について神託を受けたいと思います。」

『お願いします。では私達も聖都に戻りますね。』

「はい。分かりました。金獅子様達も戻って来られるとのことです。」

『分かりました。』

 そう言って通信は切れた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 祈りの間にて緑鳥が聖神との神交を行っていた。

「聖神様、新たな神徒6名を加えた12名が揃いました。次は神器の扱い方をご教授頂きたいのですが。」

『12名?おかしいですね。13名では?』

「え?いえ、先の戦いで残った6名と新たな神徒6名で12名ですよ?」

『先の戦いで残ったのが6名?おかしいですね。元々が11名でしたよね?そこで魔導神の神徒がまず倒れました。』

「はい。橙犬様が亡くなり、そこで10名になりました。」

『次に武神の神徒、闘神の神徒が倒れました。』

「はい。紅猿様と灰虎様です。」

『そして最後に死神の神徒が倒れました。11名から4名の神徒が倒れて残りは7名でしょ?』

「いえ、聖神様。最後は暗黒神の加護を得ていたヨル様が倒れました。」

『え?おかしいですね。暗黒神の神徒が倒れたとは聞いていません。まだ暗黒神の神徒は地上界にいるはずですよ。』

「え?まだ地上界に?」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 俺は皆から離れて直ぐに旧王国の首都ワンズに戻ってきた。

 他の街に繰り出す事を考えてワンズの馬留に馬を預けて、懐かしの我が家に戻ってきたのだ。

 ツリーハウスの下にはヨルと出会った祠がまだそのままに残っていた。

 だが猫の石像はあれどヨルの姿はない。

 もしかして、と思って来てみたがやはりヨルはあの時に消滅してしまったようだ。

 魂を砕かれたのだ。仕方ない。

 だが俺はまだ影収納が使える。どうした事だろうか?俺の中にまだヨルの残滓が残っているのか、よくわからないが。


 その後の俺は言えば気が向いたら傭兵ギルドに赴き、依頼をこなし。気が向けば夜の街に出て盗みを繰り返した。

 親父の遺言通り、殺し屋には戻らなかった。普通に生きるのだ。

 ヨルがいなくなってからと言うもの、独り言が増えた。どうも近くに誰かがいる感覚が抜けない。

 1人で喋っていて途中で気付くのだ。周りには誰もいない事に。

 前までは親父以外と喋る機会もほとんど無かったのだ。あの頃に戻っただけだ。

 少し寂しくはあるがこれが普通なんだろう。


 その日俺は日中傭兵ギルドで仕事を受けて、夜にはツリーハウスに戻って来ていた。

 夕飯のカレーを仕込み、さて食べようかと思っていた所で、強烈な寒気を感じた。

 これは知っている寒気だ。妖気を感じ取った時の寒気だ。

 まさかと思いつつ、ツリーハウスから降りる。

 そこには見知った顔があった。

「クロさん。迎えに来ましたよ。」

 白狐がそこにいた。


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