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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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187話 クロムウェル帝国4

 金獅子達が城塞都市モーリスを立ってから4日目にして、クロムウェル帝国の第三の都市ガルダイアに到着していた。

 ガルダイアはモーリス同様に煉瓦造りの2階建て家屋が建ち並んでいた。中には3階建ての家屋もあるが、1階部分は商店になっているものがほとんどだった。

 到着は夕方であった為、宿屋を取って夕飯を食べ、その日は旅の疲れを取るために早く寝た。


 翌日、朝から傭兵ギルドに顔を出し、情報収集を開始した。

 帝国内と言え、傭兵ギルドは他の都市と変わりなく、壁には沢山の依頼の書かれた紙が貼り出されており、受付カウンターの隣には簡易的な食事が出来るような休憩所が併設している。

 すでに数人から話を聞いて分かった事だが、帝国では帝国軍と勇者のお陰で大魔王を討伐したと言う話になっており、そこに金獅子達神徒が関与していた事実は伝わっていなかった。

 その為、帝国内では軍部の評価がうなぎ登りであった。

 さすが大陸一の軍事国家であるだの、さすがは皇帝陛下の息子にして勇者のバッシュ・クロムウェル様だとか。

 事実を知る金獅子達からすれば笑い話である。

 だが、確かに帝国軍兵士達がいたお陰で助かった場面もある。一概には嘘だとも言いにくく、なんとなくモヤモヤした気持ちになった金獅子と銀狼であった。


 そんな中、緑鳥から通信用水晶に連絡が入った。

『金獅子様ですか?緑鳥です。』

「おぉ。緑鳥。どうした?何かあったか?」

『はい。白狐様達がララ法国で賢王、翠鷹様をお仲間に加えたそうです。やはり法国の軍師様が神徒だったそうです。』

「おぉ!それでは残りは1人だな。俺様達は昨日ガルダイアに着いて、今日から聞き込みを行っておる。」

『そうですか。もうガルダイアに到着されたのですね。』

「あぁ。モーリスの領主カイゼスからこの街の領主宛の手紙も預かっておる。今から領主邸に行ってみるつもりだ。」

『分かりました。ご武運を。』

「あぁ。また何かあれば連絡する。」

 そう言って通信を切った。


「5人目が見つかったのか。」

「うむ。これであと1人だな。」

「帝国内にいると思うか?」

「むぅ。どこぞの女神の使者がおるからな。絶対にないとは言いにくいだろ?」

「まぁな。」

 金獅子と銀狼の話を聞いて碧鰐が疑問を投げかける。

「そのどこぞの女神の使者って何だ?」

「あ?あぁ。巷で話題の勇者様って奴さ。女神の使者を名乗ってるんだ。」

「女神のって何の神なんだ?女神と言っても沢山いるだろうに。」

「それがわからんのだ。神にも男神と女神がいて、破壊神や大地母神なんかは女神だろ?」

「あぁ。その認識だ。オラォに加護を与えて下さった守護神は男神だったな。」

「俺様に加護を与えてくれた獣神も男神だ。戦神もそうであろう?」

 金獅子に問われて銀狼が答える。

「あぁ。オレに加護をくれた戦神も男神だった。」

「むぅ。女神の使者か。何の女神のなんだろうな?」

 疑問を口にする碧鰐。

「さぁ?ただ魔族領に行った時から神の使者を名乗ってたんだ。新たな神徒があの勇者って訳はないのは確かだな。」

「うむ。だろうな。」

 顎髭を撫でながら金獅子が言う。

「まぁ、勇者の事は良かろう。カイゼスからの手紙を領主に渡しに行こうではないか。」

「だな。」

「むぅ。そうだな。」

 3人は領主邸に向かった。


 領主邸は周りをぐるりと高い塀で覆われており、門の左右には門番が立っており、門番はしっかりと鎧に身を包んでいた。手には槍を携えており、微動だにしない。

 金獅子は片割れの門番にモーリスの領主カイゼスからの紹介状を渡し、領主に渡して欲しいと伝えた。

「む?確かにカイゼス卿の封蝋であるな。お前達は手紙の搬送を依頼された傭兵か?」

「いや、その手紙は紹介状だ。領主に会いに来た。」

「む?領主に会いたいと言ってもすぐには会えんぞ?まずはこの手紙を領主様にお渡しする。中身を改めてからお前達とお会いになるか領主様がお決めになる。」

「うむ。そうか。我々の泊まっている宿屋を教えておこう。紹介状を読んで会ってくれるとなったらそこに来て伝言でも残してくれ。」

「む?そうか。わかった。宿屋を聞いておこう。」

 金獅子は泊まっている宿屋の名前を伝える。

「む。分かった。呼びに行く際にはここに伝言を残すとしよう。」

「よろしく頼む。」

 そう言って金獅子達は門番から離れて行った。


「オラォ紹介状があれば直ぐに会って貰えるもんだと思っておったが、中々難しいものだな。」

 碧鰐が言う。

「まぁな。紹介状が本物かどうかの審査からどう言った用があるのか、どんな人物なのか、害はないか、など確認する事は多い。獣王国でもそう簡単に俺様には謁見出来んぞ?」

「おぉ。そうだったな。金獅子は獣王国の王様なんだったな。どうも一国の王だと言う事を忘れてしまうな。」

「まぁ、今は同じ目的を持った仲間だ。一国の王としての地位はさておき、だ。」

「さて、どうする?しばらくは領主からの使者も来ないだろうし、まずは飯にするか?もう昼になるし。」

「そうだな。昼飯がてら食堂で聞き込みを行うか。その後はいつも通り酒場などで聞き込みだな。」

「オラォ肉が食いてぇな。昨日の夜は魚だったし。」

「よし、肉を食らいに行くか。」

 そうして3人は手頃な食堂に入り、昼食にするのだった。


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