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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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182話 クロムウェル帝国2

 一晩明けてモーリスに到着した翌日。

 朝から傭兵ギルドや酒場を回り情報収集していた金獅子達。

 昼飯を挟み、さて午後からも聞き込みするかと思った矢先にそれは起きた。

 まず最初に耳に入ったのは街に敵襲があった事を知らせる鐘の音だった。

 続いて兵士達が慌ただしく北門に向かう姿を見た金獅子達は何事かと、北門へと向かった。


 北門にはすでに沢山の兵士が集まっており、兵士長のミジャーノの姿もあった。

 兵士達をかき分けてミジャーノに近付く金獅子達。

「ミジャーノ。何があった?」

「あ。金獅子殿。ちょうど良かった。敵襲です。オークですが、オークキングやオークジェネラルの姿が多数発見されています。これはオークの最上種オークエンペラーが出たのかもしれません。」

 慌てた様子でミジャーノが言う。

「オークエンペラー?」

「はい。Bランクのオークキングすら手下に加えたAランクの魔物です。オークキングのなかからごく稀に存在進化して発生すると言われているオークの最上種です。」

「なるほど。Aランクか。となると兵士達だけでは厳しいかもしれんな。手を貸そう。」

「本当ですか?助かります。」

「そうさな。そのオークエンペラーは俺様が挑むから銀狼と碧鰐はその周りのオークキングを頼む。」

「おう。」

「分かった。」

「念の為王化して挑もう。最大王化持続時間を超えるほど、王化持続時間も延びると言うしな。」

「そうだな。分かった。」

「むぅ。了解だ。」

 そう言う事になった。


 すっかり砲台の運用に慣れた兵士達が、砲弾を発射する。

 先頭を走っていたオーク、ハイオーク達を巻き込み爆発する。

 それでもまだ数は多い。100体はいるだろうか。

 戦闘集団が門まであと50mとなった時には開門され、兵士達と共に金獅子達も門を出る。

 兵士がで終わった頃合いを見て再び門が閉められる。

 最初に集団を飛び出したのは金獅子だった。

「では行くぞ!王化!獣王!」

 走りながら金獅子が声を上げると、右手中指のリングにはまる金色の王玉から金色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると獅子を想起させるフルフェイスの兜に金色に輝く王鎧を身に着けた獣王形態となる。

「王化!牙王!」

 銀狼が声を上げると、左手中指のリングにはまる王玉から銀色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると狼を象ったフルフェイスの兜に銀色に輝く王鎧を身に着けた牙王形態となり走り出す。

「王化。仁王。」

 碧鰐が声を上げると、右手人差しのリングにはまる王玉から碧色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると鰐を想わせるフルフェイスの兜に碧色の王鎧を身に着けた仁王形態となり駆け出す。


 そのまま迫り来るオーク、ハイオークをすれ違いざまに張り倒しつつ、後方のオークキング、オークエンペラーへと一直線に向かっていく。

 オークキングの前に陣取るオークジェネラルの壁は大きく跳躍して跳び越える。

 獣王がオークエンペラーの前に到着したのと牙王、仁王がオークキングの前に到着したのはほぼ同時。

 オークエンペラーは1体、オークキングは4体いる。


 オークエンペラーは手にした長剣を獣王に振るって来た。

 獣王はそれを大剣で跳ね上げるとさらに懐に入り込み、大剣の柄でオークエンペラーの鳩尾を突く。

 オークエンペラーの胴体を守る鎧が大きく凹むもその動きは止まらず、引き戻した長剣で斬りかかってくる。

 大剣で受けてから大きく弾き上げる。そのまま大上段から大剣を振り下ろす。

 咄嗟に後ろに跳びこれを避けるオークエンペラー。


 さすがAランクだけはある。

 動きにキレがありそう簡単に隙は見せない。

 長剣で突きを放ってくるオークエンペラー。

 それを受け流し大剣を振り抜く。

 大剣は胴体を守る鎧を大きく切り裂くも肉体にはダメージは通っていない。

 ギリギリのところで躱されたのだ。

 引き戻した長剣を上段に構え距離を取るオークエンペラー。

 獣王はそれを追うように大剣での突きを放つ。

 長剣で突きを弾かれた獣王、オークエンペラーはこれを勝機と見たのか懐に入り込むと長剣を薙いできた。

 咄嗟に後方に跳びながら大剣を振り下ろす獣王。すると長剣を持ったオークエンペラーの腕に当たり、肘から先が宙を舞う。

 しかし流石オークエンペラー。反対の腕で飛んだ自身の腕ごと長剣を宙で掴むと、そのまま斬り込んでくる。

 これを大剣で受け止めた獣王。力任せに長剣を押しのけ、オークエンペラーの首元に大剣を突き入れる。

 肉を斬った確かな感触の中、オークエンペラーの首が落ちた。


 無事にオークエンペラーを制した獣王。

 他のメンバーを見やると、牙王はすでに2体のオークキングを倒し、オークジェネラル達を相手取っていた。

 仁王は1体のオークキングを倒し、もう1体と交戦中。

 オークキングが振り下ろしたメイスを戦斧で受け止め、大きく弾いて体に戦斧を叩き付ける。

 鎧に守られてるとは言え、完全に入った斧の一撃は鎧を斬り裂き、オークキングの胸に大きく傷をつける。

 だがオークキングも負けじとメイスを振り下ろす。

 ガシッと戦斧でこれを受け止めた仁王。それを大きく弾いて再度同じ軌道で胸に斬撃を叩き込む。

「グボッ!」

 オークキングは吐血しながらも尚もメイスを振り回す。

 しかし仁王はそれを全て受け止め、弾いての攻撃に移る。

「堅実な闘い方をするのう。」

 それを見ていた獣王が独り言ちる。

 やがて仁王も2体目のオークキングを打ち倒した。

「おっと。見ている場合ではなかったな。俺様もジェネラル退治と行くか。」

 獣王もオークジェネラルに向かっていく。


 戦闘は30分以内に完了した。

 街の兵士達も奮闘し、迫り来るオーク、ハイオークを蹴散らした。

 オークジェネラルにやられた兵士もいたが、一命は取り留めていた。

 あれだけの数を相手に死傷者なしである。


 王化状態のままの獣王に兵士長のミジャーノが駆け寄ってくる。

「流石金獅子殿に銀狼殿。それに碧鰐殿も。おかげさまで死傷者なしで戦闘を終える事が出来ました。お三方がキングとエンペラー、それにジェネラルを討伐して下さったおかげです。本当にありがとうございます。」

 頭を下げるミジャーノ。

「何。大した事をした訳ではない。街の危機とあれば戦うのが傭兵だからな。」

 獣王が返す。

 30分経過して碧鰐はすでに王化が解けてしまっている。

 獣王と牙王は王化持続時間ギリギリまで王化を続けるつもりである。

「素材は傭兵ギルドに買い取って貰って他にも戦闘に参加した傭兵達にも分けられます。お三方も是非傭兵ギルドで報酬を受け取って下さい。」

「む?そうか。なら後で傭兵ギルドに行ってみよう。」

「はい。是非。それでは私は負傷者の手当などがありますのでこれで失礼します。」

 再び頭を下げて去って行くミジャーノ。


「流石に王化状態のまま街に入るのは躊躇われるな。」

「王化が解けるまでは外にいようぜ。」

「ちょうどいい。オラァの戦闘訓練に付き合ってくれぃ。」

「おぉ。やるか。」

 そう言って牙王と碧鰐が向かい合う。

 そんな2人を見守る獣王であった。


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