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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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180話 モーノ共和国8

 碧鰐の家に泊まる事になったその日の夜、金獅子は通信用水晶で緑鳥に碧鰐が仲間になった事を伝える為に通話した。

「そうですか。4人目の発見ですね。今白狐さん達からも連絡があって、ララ法国の軍師に会いに第二の都市、ララ・ライカから首都ララ・ダウトに明日から向かうとの連絡がありました。」

「その軍師が神徒なのか?」

「いえ。まだそこまでは分からないそうです。ただここ最近になって頭角を現した人物との事で、最近加護を得たのではないかと考えているそうです。」

「そうか。その軍師が神徒であれば残り1人だな。」

「えぇ。そうなりますね。」

「ふむ。ではこれから俺様達は更にせ西進して帝国に向かってみる。」

「帝国に、ですか?」

「うむ。ここからなら城塞都市モーリスには2日も掛からないで辿り着く。そこから第三の都市ガルダイア、第二の都市ダームールー、首都ゼーテと南下して行こうと思うておる。」

「なるほど。確かに帝国にも王になった人がいないとも限りませんしね。分かりました。道中お気を付けて。」

「うむ。また何かあれば連絡する。白狐達の状況も分かれば教えてくれ。」

「畏まりました。ではまた。」

 そう言って通信は切れた。


 翌日、金獅子は碧鰐に帝国に向かう事を告げた。

「何?聖都セレスティアに行くのではないのか?」

「まだあと2人、神徒が残っておる。東に向かった仲間達も捜索中だが、西側は俺様達で探す必要があるのだ。」

 金獅子が顎髭を撫でながら言う。

「そうか。まだ仲間を集めるのか。それにはオラァも同行しないとマズイか?」

「ん?どう言う事だ?」

「むぅ。仲間が集まってから聖都セレスティアに向かうのだろう?したらば仲間が集まるまではこの村の守護を続けたいと思ってな。」

「なるほど。そう言う事か。」

「オレ達が帝国に向かった後で聖都セレスティアで合流となるとその道中1人になってしまうぞ?」

 銀狼が口を出す。

「そうか。帝国に行ってからまたここに戻ってくる訳にはいかないか。」

「んー。あまり残り時間もないからな。早く残りの王を見つけてオレ達も王化持続時間を延ばす特訓をしなけりゃいけない。」

「むぅ。そうか。」

「聖都からモリノ迄で、約10日、モリノからここまでで4日。となると14日間も1人で旅する事になるぞ?実際オレは1人で10日間移動したが、夜間も魔物に襲われないように留意する必要があってろくに眠れないし、結構キツかったぞ?」

「むぅ。悩ましいな。」

「俺様がマジックシティで仕入れたこの通信用水晶があれば連絡は取れる。俺様達が聖都に向かうタイミングを教える事は出来るぞ?」

 金獅子の言葉を受けて碧鰐はスキンヘッドの頭を抱えて考えて込む。


 台所で朝食の準備をしてくれていた碧玲が部屋にやってきて碧鰐に言う。

「お父さん、まだそんな事言ってるの?銀狼さん達も困ってるじゃない。村のことはいいから行ってらっしゃいって言ったでしょ?」

「むぅ。しかしなぁ。魔物が凶暴化しているのは事実だ。以前のように村の者だけで対処出来るか心配なのだ。」

 そこに台所から朝食を運ぶ妻もやって来た。

「あなた。村の事は大丈夫だから、行ってらっしゃいな。」

「むぅ。そうか?」

 妻が碧鰐のスキンヘッドを撫でながら言う。

「えぇ。世界を救う英雄になって来てちょうだい。旦那が世界を救っただなんて、皆に自慢出来ちゃうわ。」

「はははっ。そうだな。英雄の妻になるな。」

「えぇ。だから村の事は任せて。行って来てちょうだい。」

「むぅ。分かった。一緒に帝国に行こう。」

 碧鰐の心も決まったようだ。


 朝食を終えて気付いた。

 碧鰐の馬がない。

 そこで牧場を持っている村の者に馬を一頭譲って貰いに行く事になった。

 牧場は村の外れの広大な草原にあった。

 牧場主と碧鰐は知り合いのようで会うなり話を始めた。

「今度村を出ることになってな。」

「おめぇさんが村を出る?傭兵はもう止めたんだろ?またどうして?」

「まぁ野暮用だな。2年くらいは帰って来ないかもしれん。」

「そりゃ大変だ。村の守り神、仁王がいなくなるとあっちゃ、狩人共が騒ぎ出すだろうよ。」

「まぁな。それで今日はこの人達が用があって来たんだ。」

 金獅子達を紹介する碧鰐。

「実は馬を譲ってほしいのだが。」

 牧場主に単刀直入に切り出した金獅子。

「馬?牛じゃなくてか?馬だとうちにも三頭しかいねぇ。ちょっとやそっとの金額じゃ売れねぇぞ?」

「三頭か。その中でも1番脚の速い馬を頼む。大金額2枚でどうだ?」

「だ、大金貨2枚?!そんなの普通の馬二頭ぶんだぞ?なんでうちの馬なんか?」

「急ぎで欲しくてな。この村にはここにしか馬はおらんのだろ?ならここで買うしかあるまい。」

「お、おう。売るよ。売ってやる。好きなの一頭持って行きな。」

「脚の速い奴がいいのだ。」

「それなら黒毛の奴だな。まだ若いし力もある。」

「ならアイツを貰おう。」

 そう言うと大金貨2枚を牧場主に渡す金獅子。

「あぁ。売った。持って行ってくれ。」

 と言う事で碧鰐の馬を購入した金獅子達であった。


 それからは急ぎで村長に碧鰐が挨拶しに行き、村を離れると言う事で村に住む傭兵や狩人が集められてと大騒ぎだった。

 しかし、誰も碧鰐を引き留める事は無く、

「無事に帰って来いよ。」

「村の事は任せてくれ。」

「お前の家族のことも心配するな。」

 と好意的な言葉で見送られた。


 そうして金獅子達3人は隣国の帝国、正式名称はクロムウェル帝国の城塞都市モーリスへと旅立って行くのであった。


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