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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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170話 モーノ共和国4

 今日も今日とて賑やかしい酒場を回る金獅子。

 夕方を回った時刻の為か大半がすでに出来上がりギャンブルに負けた者はくだを巻き、勝った者は羽振り良く周りに酒を振る舞う。

 まだ話が出来そうな者に声をかけては加護持ちついて話を聞く。

「最近神の加護を得た者に心当たりはないか?」

「神の加護だぁ?30年くらい前にはギャンブルの神加護を持ってるなんて言う奴もいたが最近はなぁ。聞かんなぁ。」

「そうか。ありがとう。」

 やはり収穫はない。

 夕食の時間になった。

 傭兵ギルドに併設された食事処で傭兵の話でも聞きながら食事にしようと、傭兵ギルドへと向かう。

 本日2度目の入場だ。

 キメラの素材を提出しに来た時よりも人が多く活気がある。

 空いたテーブルに座り、肉の定食を頼む。

 傭兵達の話に耳を傾けるが今日の敵は強かっただの、あの時はもっとこう動くべきだだの、あの時は助けてくれてありがとうだのと今日の依頼について話す声が多い。

 気になる神の加護持ちについての話題などはなかった。

 運ばれてきた食事に手をつけようとした時に声をかけられた。

「金獅子の兄貴!着いたぜ!」

 銀狼である。

 銀狼は街に着くと馬留に馬を預けて一直線に傭兵ギルドに来たらしい。

「おぉ。着いたか。予定通り10日間だったな。問題なかったか?」

「あぁ。途中リザードランナーの群れに出くわしたり、オークのメスの群れに追い回されたりしたけどな。全部討ち取ってやったさ。俺も久々のちゃんとした食事にありつこうかな。」

「おぉ。そうだな。食え食え。金なら稼いだ。好きな物をたんと食え。」

「そうか?なら」

 近くのウェートレスに声をかける。

「焼き肉定食を大盛りで、あと焼き魚を2尾頼む。」

「はぁーい。かしこまりましたぁ。」

 ウェートレスが去って行く。

「金稼いだって傭兵の依頼でも受けたのか?」

「あぁ。それもあるが情報収集がてら賭博場にいってな。ギャンブラーはギャンブラーの話しか聞かないってんで少しゲームに参加したのさ。そしたら元手がだいぶ増えた。」

「そうか。あれだろ?ルーレットで2択に賭けたんだろ?」

「何故分かった?」

「兄貴は昔から2択には強かったからな。道に迷った時も必ず正解の道を選んでた。」

「そうだったか。」

「そうだよ。」

 そこで焼き肉定食大盛りと焼き肉2尾が運ばれてくる。

「あぁ。久々のちゃんとしたメシだ。携行食だけだとやっぱり飽きるよな。」

「うむ。黒猫がいた時のように外できちんとした飯にありつけたのが非常識だったからな。」

「黒猫かぁ。今頃どうしてるかな?」

「さて。盗賊稼業に戻ったか。傭兵として生活しているか。案外料理人になってる可能性もあるか。」

「確かにあいつは料理上手かったしな。」

「うむ。まぁそれより神徒の情報だが、この街は全くだな。皆ギャンブルの話しかせん。」

「あぁ、モリスって言ったらギャンブルの街だもんな。」

「今日は一晩ここに泊まるとして明日からはまた移動だな。連日の移動になってしまって悪いが。」

「いや、大丈夫だ。にしてもここから西って言ったら帝国くらいしかないぞ?」

「そうさな。帝国か。」

 すでに、食事を終えた金獅子は顎髭を撫でながら言う。

「モーノ共和国には他に小さな町があったはずだな?」

「あぁ。ここから北西にモノリスの町ってのがあったはずだ。」

「そこにでも行ってみるか。」

「まぁ西進だしな。帝国には近付くし、いいんじゃないか?」

「うむ。そうするか。俺様は一応最後にこの街を回って情報が集まってないか確認してこよう。お前はどうする?」

「宿を取ってから一緒に回るさ。どこの宿屋に泊まってるんだ?」

「おう。なら先に一緒に宿屋まで行こう。」

 食事を終えた2人は宿屋にチェックインする。

 幸い金獅子が泊まっている宿屋に空きがあった為、銀狼も部屋を取る。


 2人がまず向かったのは金獅子が最初に行った支配人バレールがいた賭博場だ。

「オレもカジノには初めて入るがかなり騒々しい所だな。」

「だろう?長居すると耳がやられる。だから10連勝程度で切り上げて次に向かっておったのだ。」

「10連勝ってホントに2択に強いな。」

 そんな事を話していたら支配人のキッチリ七三分けのバレールに遭遇した。

「あぁこの前のお客様。ちょうど良かった。先日お尋ねになっていらっしゃった神の加護を持つ王について、これはと言う情報を得まして。」

「なに?本当か?」

「はい。もしかしての話でございますが。ここは少々騒がしいですね。こちらにどうぞ。」

 支配人バレールに連れられて応接室に通される。

「どうぞ。お座り下さい。」

「あぁ。それで王の話と言うのは?」

「はい。ここモリノの北西にモノリスの町があるのは御存知でしょうか?」

「あぁ。知っている。ちょうどそこに行こうかと話をして折ったところよ。」

「そうでしたか。そのモノリスの町から更に北上するとモードの村と言う小さな村があるのです。」

「モードの村か。」

「はい。先日その村から来た業者が話していた中に『ニオー』と言う言葉が出て参りまして。何でもその『ニオー』が村を守ってくれているとか何とか。」

「『ニオー』?」

「はい。もしかしてその『ニオー』とは仁王ではないかと思ったのです。」

「なるほど!仁王か!」

「はい。お客様牙お探しの神の加護を持つ王に関係するのではないかと思い、記憶に留めておいたのです。」

「モードの村だな?強力感謝する。」

「いえいえ。お力に成れたなら本望でございます。」

「助かった。早速明日向かってみる。」

「そうですか。それでは良い旅を。」

「あぁ。ありがとう。」

 そう言って応接室を出た。

「やったな、兄貴。情報があったじゃないか。」

「あぁ。ここ数日の賭博場通いも意味があったな。」

 2人は宿屋に戻り、翌日に備える為、早く就寝する事にした。


 次の目的地はモーノ共和国のモードの村だ。


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