162話 ヌイカルド連邦国2
傭兵ギルドにやって来た白狐達。
「登録かぁ。懐かしいのぅ。」
しみじみと紫鬼が言う中、白狐に促された紺馬は登録・受注用の列に並ぶ。
「はーい。本日はどのようなご用件でしょう?」
受付の女性が声をかけてきた。
「傭兵登録をしに来た。」
「はーい。傭兵登録ですね。試験について説明させて頂きますねー。試験期間は3日間、その期間内に単独撃破できた魔獣や魔物のランクに応じて、初期傭兵ランクを決定しまーす。」
「魔物のランク?」
「はーい。魔獣や魔物にはF~Sのランクが設けられており、それに対応して傭兵ランクもF~Sまで存在しまーす。その傭兵ランクに応じて受注できる依頼も変わってくる訳でーす。」
「各ランクの詳細は?」
「はーい。Fランクは戦闘の心得がある者として、魔獣、魔物はジャイアントマウス、ジャイアントトード、ホーンラビット、ゴブリン、スライムなどになりまーす。」
「Fランクが1番下ね。」
「はーい。次がEランクでこちらは多少腕に自信がある者で、魔獣、魔物はジャイアントボア、ブレードラビット、オーク、ゴブリンソルジャー、ジャイアントスライムなどになりまーす。」
「なるほど。」
「はーい。次がDランク。こちらは腕に自信がある者で、魔獣、魔物はレッドボア、ハイオーク、ゴブリンジェネラル、ホブゴブリン、ジャイアントスコーピオンなどになりまーす。」
「なるほど。」
「はーい。次はCランクになりまして、こちらは村を守れる者。魔獣、魔物はジャイアントベア、ジャイアントスネーク、ゴブリンキング、オークジェネラルなど、放置すれば村に被害をもたらす者になりまーす。」
「なるほど。」
「はーい。次はBランクでこちらは町を守れる者として、魔獣、魔物はレッドベア、オーガ、オークキング、ワイバーン、ジャイアントセンチピートなど放置すれば町に被害がおよぶ相手になりまーす。」
「なるほど。」
「はーい。次はAランクでこちらは街を守れる者。魔獣、魔物はクリムゾンベア、トロール、サイクロプス、ミノタウロスなど放置したら街に被害が及ぶ大型の魔獣、魔物になりまーす。」
「なるほど」
「はーい。最後はSランクでこちらは国を守れる者として一部の英雄などしか過去に該当した人はいませーん。魔獣、魔物はドラゴン、オーガキング、ジャイアントキング、フェンリルなど国をも滅ぼし兼ねない相手になりまーす。流石にこのレベルになると単騎で撃破できる人は今の時代にはいないですかねー。普通大勢で倒しまーす。」
「ドラゴン。フェンリル。」
「はーい。ただし初期登録でなれるのはBランクまでで、Aランクに上がるには実績と信頼を得てからになりまーす。これはAランクは指名依頼などを受注する事になりますのでそれなりに身元が保証され実績がある人にしか任せられないからになりまーす。」
「なるほど。」
「はーい。試験期間は3日間でーす。その間当ギルドの職員がともに行動し、単独撃破を確認させて頂きまーす。同席するギルド職員は傭兵ランク的にはCランク程度の実力があり、自衛する分には問題がありませんので、ご安心くださーい。ただどんな状況になろうとも当ギルド職員は手を出しませーん。危険と判断すれば単独で逃走する事もありますのでご自分に合ったランクの魔物、魔獣と戦闘してくださーい。」
「分かった。この辺りでBランク相当の魔物は何が出没する?」
「はーい。この辺りですと、オーガ、オークキング、レッドベア、ワイバーン辺りが出没しまーす。」
「そうか。で、試験はすぐに受けられるのか?」
「はーい。少々お待ち下さーい。」
受付嬢が奥へと消えていく。
戻ってきた受付嬢は筋骨隆々な1人の女性を連れてきた。
髪は金色の短髪で一瞬男かと思ったが、それとなく主張している胸で女性だと判る。
「はーい。こちら試験官のジェシーさんでーす。」
受付嬢が紹介してくれる。
「ジェシーだよ。よろしく頼むね。」
「あぁ。紺馬だ。よろしく頼む。」
「じゃあ早速行くかい?試験の準備は出来てるかい?」
「あぁ。問題ない。あ、そうだ。試験には仲間も一緒に参加出来るのか?」
「あくまで単独撃破した魔物を観察出来ればいいからね。仲間が一緒でも共闘しなけりゃ大丈夫だよ。」
「そうか。おい。破王に鬼王。一緒に来るだろ?」
急に話を振られた2人だったが、白狐が答える。
「紺馬さん、この辺りの地理詳しくないですもんね。一緒に行きますよ。」
「とかなんとか言って自分も刀を振りたいだけだろう。」
「えへへ。バレました?」
「まぁ準備が出来てるならとっとと行こうか。」
ジェシーに促されて3人も傭兵ギルドを後にする。
「狙い目はやっぱり南の森ですかね?」
白狐がジェシーに問う。
「へぇ。あんた詳しいね。この辺りじゃ南の森が1番ランクの高い魔物がでるね。」
「じゃあ紺馬さん、南に向かいましょう。」
と言う事で、4人は南門から森に出る。
森に入って2時間もした頃に目前の茂みに魔物がいた。オークにハイオークが4体ずつだ。
「オークとハイオークですね。群れでいるって事は近くにオークキングもいるかもしれませんね。」
白狐が言う。
「私と紫鬼さんはオークを倒しますから紺馬さんはハイオークをお願いします。」
「分かった。」
「お?ワシも戦うのか?見てるだけじゃと思ったおった。」
「少しは体動かした方が健康的じゃないですか。」
「それもそうじゃな。」
と言う事で、オークに飛びかかる白狐と紫鬼。
紺馬は弓に4本の矢を番えてハイオークを狙う。
パシュッ
放たれた矢は3本はハイオークスの眉間に、1本はハイオークの瞳に引き刺さった。
「ちっ。1本外れたか。」
紺馬は冷静に次の矢を番えて瞳に矢が刺さったハイオークの眉間を狙う。
パシュッ
見事に矢はハイオークの眉間に突き刺さり4体のハイオークは息の根を止めた。
「うん。ハイオークの単独撃破を確認した。今でDランクには合格だ。」
付き添いのジェシーが言う。
その頃にはオークを倒し終えた白狐と紫鬼も戻ってくる。
「Dランクか。別に身分証明書としてはDランクでも構わんのだろ?」
紺馬が白狐に聞く。
「まぁDランクでもいいですけど、高ランクの方が街の出入りする時の審査なんかが早いですね。きっとオークキングがいますって。もうちょっと進みましょう。」
そう言って1人先に行く白狐。後を追う形で3人も続く。




