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黒猫と12人の王  作者: 病床の翁


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160話 ドワーフ王国3

 ドワーフ王国の傭兵ギルドに向かった3人。何か手頃な依頼は無いかと壁に貼られた依頼書を見ていく。

 するとそこに走り込んできたドワーフが1人。みんな髭面なので年齢はわからないが声で男性だと分かる。

「た、大変だぁ。鉱山にギガントワームがでやがったぁ。」

 ギガントワームは体長2、30mの巨大な芋虫であるが、その巨大な口には何千と言う小さな牙が生えており、土から人までなんでも喰ってしまう。鉱山や田畑等に多く生息しており、場所によっては土を耕すのに貢献してくれているが、基本的には出てきたら駆除される害虫である。

 ランクは体の大きさにもより、CランクからAランクまで振り幅がある。

 聞けば鉱山にはまだ人が取り残されており、このままではギガントワームの餌にされてしまうと言う。

「オレ達が対処する。場所を教えてくれ。」

「外の人かぁ?案内するだよぉ。」

 銀狼達は急ぎ走り込んできたドワーフに連れられて鉱山へと向かった。

 その鉱山はアダマンタイトやオリハルコンなどを産出する事で有名なドワーフ王国きっての大鉱山だった。

「この中だぁ。」

 ドワーフに連れられて中に入っていく3人。

 鉱山の中は迷路のようになっており、とてもじゃないが案内無しには進めそうもなかった。

 鉱山に入って500m程度進んだところでギガントワームの姿が見えた。

 地表に出ているだけでも20mはある巨体だ。


 銀狼達は取り残されたドワーフ達の前に躍り出た。

「デカいな。王化して臨もう。王化!龍王!」

 蒼龍が声を上げると、首から下げたネックレスにはまる王玉から蒼色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると龍の意匠が施されたフルフェイスの兜に蒼色の王鎧を身に着けた龍王形態となり、三叉の槍を構える。

「王化!牙王!」

 銀狼が声を上げると、左手中指のリングにはまる王玉から銀色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると狼を象ったフルフェイスの兜に銀色に輝く王鎧を身に着けた牙王形態となると双剣を強く握り直す。

「王化。聖王!」

 緑鳥が王化し、額に輝くサークレットにはまる緑色の王玉から緑色の煙を吐き出しその身に纏い、その煙が晴れると鳥をイメージさせるフルフェイスの兜に緑色の王鎧を身に着けた聖王形態となり、2人から1歩引いた位置に移動し、怪我人の様子を見る。


 ギガントワームの攻撃方法は単純だ。巨大な口で噛みついてくるか、巨体を活かして体当たりしてくるか、またに粘液を吐き出してくるか、くらいなものである。

 ただデカい。直径2mはある巨大な口には何千もの小さい牙が生えており、微かに蠢いている。見ているだけで気持ち悪い。

 龍王と牙王は一斉に飛びかかる。

 龍王が三叉の槍でその巨体を跳ね上げると、空いた所に牙王が入り込み双剣を振るう。

「ギシャァァァァア!」

 ギガントワームが吼える。

 地表にさらに体を伸ばして牙王に体当たりをしてくる。

 牙王が双剣で受け止めると、龍王が三叉の槍で突く。

 明確な目などのような弱点となる部位が無いため、狙いが定まらない。

 とにかく突いて、斬ってを繰り返す。

「土の中に逃げ込まれたら面倒だ。一気に畳みかけよう。」

 牙王はそう言うと双剣をクロスさせて斬りかかる。

「双狼刃!」

 さらにクロスさせるように斬りかかる。

「氷結狼々剣!」

 斬りつけた部位を凍らせる事に成功。

 続けて龍王も三叉の槍で連続突きを放つ。

「龍覇連突!」

「ギシャァァァァア!」

 連続突きを受けて体を千切られながらギガントワームが吼える。

「まだまだ!氷結狼々剣!」

 さらに牙王が巨体を斬り裂き凍らせる。

「水撃・龍翔閃!」

 突き出された槍の先端から高圧の水撃が放たれ、ギガントワームの口から入り体を貫通させる。

「ギシャァァァァア!」

 体に大穴を空けられながらも巨体を振り乱すギガントワーム。

 だが一部が凍らされている為にそこまで大きく身を振ることが出来ない。

「これで終わりだぁぁぁ!双狼刃!」

 頭上でクロスさせた双剣を振り抜く牙王。その斬撃によりギガントワームの体が前後に斬り分けられる。

 斬られた頭部分はそれこら暫く蠢き続けたがやがて動かなくなった。

 土には埋まっていた巨体を引きずり出してみると、40mもある巨大な個体だったことが分かった。

「随分と育った個体だったなぁ。」

 その場にいたドワーフ達も驚いていた。

 聖王の活躍もあり、怪我人の治療も行われてその場は収まった。

 報酬は鉱山を管理する会社からギルド当てに支払われた為、傭兵ギルドに行って受け取った3人だった。


 翌日もドワーフ王国の回りの森でワイルドウルフやレッドボアなどを相手に戦闘訓練をした銀狼と蒼龍。

 すっかり義手の方は体に馴染んだ様子だった。


 そして約束の日。

 また工房を訪れた3人を待っていたのは完全防備に身を包み、巨大なリュックに大きな槌を背負った茶牛の姿だった。

「待ってたぞぉ。準備は出来とるでぇ行くべかぁ。」

「店主には挨拶とかいいのか?」

「もう済ませたでぇ大丈夫だぁ。」

「よし、じゃあまずは聖都に戻るか。」

 ドワーフ王国には馬が売っていなかった為、緑鳥と相乗りで馬に乗って貰うが、ずんぐりむっくりな体型のせいで足が鐙まで届かない事が分かった。

 これでは馬を買っても乗りこなせないなと思った3人。

 そんな4人となった銀狼達は一路聖都セレスティアに向けて出発したのであった。


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